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安倍政権が支持される驚くべき理由(浜矩子)

安倍政権に対する支持率はなぜもっと下がらないのか。この質問をよく頂戴する。傾向的にみれば、支持と不支持が拮抗していて、実は通念的にイメージされているほどの高支持率政権ではない。

だが、モリカケ問題や閣僚・準閣僚の不審発言の連発ぶりをみれば、確かに不思議だ。もっと劇的な支持率急落に見舞われていておかしくない。なぜ、そうならないのか。

その要因は三つある。かねがね、筆者はそう考えてきた。一に確信犯的右翼要因。二に迷える若者たち要因。三に状況変化待ち経営者要因。

一については多言を要しない。国粋主義的愛国精神に燃える人々だ。二は先行き不安に怯えているから「強い日本を取り戻す」や「一億総活躍社会」などの元気出る風メッセージに引き寄せられてしまう人々である。そして三は、苦しい経営環境を何とか変えてほしい、変えてくれるまではこの政権を支持し続けるほかはないと観念している人々だ。

この読みが大きくはずれているとは思わない。ただ、ごく最近、第四の要因があることが解った。これも経営者要因だ。ある講演会で質問を受けている時に判明したものである。

 1人の質問者から、概略、次の通りの質問を頂戴した。「講師の安倍政権批判はよく解る。だが、本日の話はむしろ野党政治家たちに聞かせてほしい。彼らが、安倍政権による政策の軌道修正につながるような提案ができるよう、方向付けしてやっていただきたい」こう力説された後、質問者は次のように続けた。

「ここにいるのは皆、中小企業経営者だ。つまり保守派である。政権交代を望んでなどいない。政策がまともになってさえくれればそれでいい。講師も、結局は同じですよね?」

講師は、決してそうではない。この政権が退場しなければ、政策は絶対にまともにはならないと確信している。だから、そう申し上げた。そこは見解の相違ということで円満に終わった。

だが、それはそれとして、この質問者の発言は実に示唆的だ。それを裏打ちしている論理の脈絡は、次の通りだ。

まず出発点として、中小企業経営者である以上、保守派でなければいけないという認識がある。保守政治を守り抜くことは必須。それが大前提となっている。だが、安倍政権の主張や姿勢には、どうも危うさを感じる。それは否定できない。だが、この安倍政権の危うさが政権交代を招いてしまうのは、絶対的にまずい。

だから、安倍政権に何とかまともな保守政権らしくなってほしい。そうなるまで、支持を止めるわけにはいかない。

この論法でいくと、どうなるか。それは、安倍政権を巡って失策や醜聞、傲岸不遜や傍若無人が明らかになればなるほど、より強くこの政権を支持しなければならないという行動論理につながっていく。

世論が総じて安倍政権から離反しそうになればなるほど、自分たちが頑張ってサポートしなければならない。それが保守派たる中小企業経営者の使命だ。そういう思い込みが募る。こうした皆さんの必死の思いにつけ込んで、支持率を積み上げている。それが安倍政権だ。ますます、許し難い。

(はま のりこ・エコノミスト。2019年4月26日号)

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