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- 2019年05月20日 08:02
画像加工界における“桑田Matt”という衝撃 きゃりーぱみゅぱみゅ×盛り顔研究者・久保友香対談 人間は今後どのような“顔”に進化するのか?
2/2韓国メイクが流行っているのはアプリが先か? リアルが先か?

BLOGOS編集部
きゃりー:私はもう本当とてもじゃないけど、普通のiPhoneのカメラだけで撮りたくないですね。撮れないというか……「誰!?」みたいになる(笑)。
久保:どんなカメラアプリを使ってますか?
きゃりー:インカメラで「SNOW」のオリジナルかなあ(編注:オリジナルとは加工をしていない状態。韓国製アプリ)。“SNOWのオリジナル一番盛れる説”が出てきたんですけど、「Ulike」(編注:中国製アプリ)のほうが顔は変わりますね。
久保:うんうん。
きゃりー:で、「Foodie」(編注:日本製アプリ)も撮るんですけど……。
久保:えー、それって料理を撮影するアプリですよね。顔にも使っちゃいますか。
きゃりー:「Foodie」は結構顔がよくて、そんなに変わらないんですよ。顎周りとか変わらないし……。けど、ソフトになるし肌がきれいだから、盛り初心者は「Foodie」がいいかもしれないなって思いますね。
久保:加工が抑え気味なのが逆にいいんですね。
きゃりー:今、また韓国の“オルチャンメイク”が流行ってますけど、「Ulike」で撮影するとまさに韓国人みたいになるんですよ。欅坂46の若いメンバーの子から「きゃりーさんUlikeって知ってます? 全員、桐谷美玲ちゃんみたいになれますよ」って教えてもらいました。

久保友香「『盛り』の誕生」(太田出版)より
久保:今はアプリのアルゴリズムが、トレンドを作ってるんでしょうね。
きゃりー:今日先生としゃべって思ったのは、その作れる顔にみんな寄せていってるのがすごい面白いなと思いました。今、韓国っぽいのが流行ってるのも、“こうしてこうしたら寄る”っていうルールが決まってて、それができるツールがあるからなんですね。次何が来そうとかあります?
久保:私はそれをきゃりーさんにお聞きしたかったんですよ(笑)。私は新しいものはやっぱり技術が作ると思ってて、ドローンで撮ったりするようになるんですかね、これからは(笑)。
きゃりー:すごいですね、それ。
久保:最近だと皆さんは“自然体”を撮りたいって言ってますよね。キメ顔とかはちょっと恥ずかしいから。だからシーン全体で盛るっていう感じになってますね。
きゃりー:シーン全体?
久保:ディズニーランドとかファンタジーな場所へ行って、そこで耳つけて撮影したりだとか、そうですね……みんながコスプレイヤーになってる感じはしますね。で、カメラの解像度も上がっているから全体で可愛くなろうと。背景も含めたらみんな可愛くなれるっていう感じになりつつあるのかなと思います。あとはそうですね……、動画でも盛れるようになったりだとか。
もはや動画でも盛れる時代 薄れる“リアルな顔”の意味

久保:そうですね。「TikTok」(編注:中国製動画アプリ)とか。
きゃりー:もう動画も写真と同じ感じで行けちゃいますよね。「TikTok」とか、なぜあんなに可愛い子が多いんだろうと思って、ちょっと研究したんですよ。するとやっぱり、動画だけど盛れてるんですよね、あのアプリ。
久保:どうやって研究してるんですか?
きゃりー:私はインスタで、盛りすぎた“びっくり人間”を見るのがめっちゃ好きなんですけど、そういう人って美容師さんがタグ付けで上げてる写真と全然違うんですよ。
久保:ヘアメイクの実例紹介をしている美容師さんのアカウントでは、加工をしていないんですね。
きゃりー:だから「TikTok」の可愛い子も、まずその子のインスタに飛んで、そのインスタのタグ付けから美容師さんが上げてる写真に飛んで、「あ、TikTokってこんなに変わるんだな」っていう。タグ付けが一番見えるんです(笑)。
久保:それでビフォーアフターがチェックできるのか、なるほどね〜。
きゃりー:でもすごい人だと、美容師さんにも盛れた写真を送る人がいるらしいですよ。友達にも加工後の写真を送るから、そうなってくるとわからなくなる。
久保:リアルがひとつも見えないということになると。美容師さんがキーパーソンなんですね。なんか盛りが分析できそうな気がしてきました(笑)。
きゃりー:あと、もうひとつ思っているのが、運転免許証盛れないです。あそこにもリアルが残ってます(笑)。私、カラーコンタクトレンズを入れてるんですけど、それをしたまま運転免許の写真を撮るのはダメなんです。でも謎なのが、私はこれで常に運転してるんですね。で、怒られるときもこの顔じゃないですか。
久保:そうですね(笑)。
きゃりー:このシステムが謎。それに写真を撮るときに、例えばそこがカメラだとしたら、普通はちょっと盛りたいので本当はこれくらい顎を引いて撮りたいんですけど、運転免許のときは「顎上げてください」って言われて、こんな顎上げた感じでしかも裸眼っていう……4年後、再チャレンジします。盛りで。
久保:デジタルやコスメの技術が進化した結果、もはやリアルな姿を見ること自体がなくなってますからね。
きゃりー:“パスポート・運転免許盛れ”をもうちょっと頑張っていただきたいです、令和は(笑)。

プロフィール

1993年、東京都生まれ。歌手・モデル。高校を卒業した2011年に『もしもし原宿』でメジャーデビュー。『つけまつける』を始め、可愛くなりたい現代の女の子の歌を歌い、“カワイイ”のアイコンとしても活躍。高校時代から読者モデルとして活躍し、かつてアメーバブログでアクセス1位を記録。現在Twitterは524万人、Instagramは120万人のフォロワーを抱えている。SNSをテーマにした新曲『きみがいいねくれたら』発売中。好きな人からの“いいね”で気持ちが乱高下する今の女の子たちの気持ちを歌っている。

1978年、東京都生まれ。東京大学大学院情報理工学系研究科特任研究員、東京大学先端科学技術研究センター特任助教、東京工科大学メディア学部講師などを歴任。環境学博士。専門はメディア環境学。
女の子が現実とは違うビジュアルを作り、新しいメディアで公開する技術を“シンデレラテクノロジー”と名付けて研究。
2015年には総務省による独創的な研究「異能(Inno)vation」プログラムに採択されている。著書『「盛り」の誕生 女の子とテクノロジーが生んだ日本の美意識』発売中。



