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画像加工界における“桑田Matt”という衝撃 きゃりーぱみゅぱみゅ×盛り顔研究者・久保友香対談 人間は今後どのような“顔”に進化するのか?

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今や“自撮り”は普通になり、さらにその写真に加工を施して実物よりも“盛る”こともごく当たり前。SNSと画像加工アプリの登場により、人間はリアルとしての自分と、バーチャルとしての“盛った自分”という、2つの顔を持つようになった。よくよく考えてみれば、これは人類史において未曾有の状況だ。

なぜ人は盛るのだろうか? 美しさとは一体何なのか? そして盛りはこの先どこへ向かい、それに伴って人はどう進化していくのか?  “カワイイ”のアイコンとして活躍する歌手のきゃりーぱみゅぱみゅさんと、東京大学大学院情報理工学系研究科特任研究員などを歴任し、盛りを数値化して研究している久保友香博士の2人の専門家に対談をしていただいた。

【文/木下拓海 撮影/晴山寛子】

対談ダイジェスト動画



何を“主”とするかで顔の作り方が変わる


きゃりー:すごい最近気になってるのは、桑田Mattさん(笑)。

久保:一緒です(笑)。どこまでがリアルなお顔で、どこからがバーチャルとして作ってるのか、その線がすごい気になりますよね。


きゃりー:最初、Mattさんをテレビで見たとき「わあすごいな、王子様かバービー人形みたい」って思ったんですけど、久しぶりにMattさんの「Instagram」を見たら、そこからさらに進んでらっしゃってて……。リアルなメイクも、バーチャルな画像加工も進化したんでしょうね。

久保:ひょっとしたら美容整形もしているかもしれません。そうじゃないとメイクと加工だけであそこまでは……。

きゃりー:名前をオープンに言えないんですけど、耳打ちしていいですか?

久保:あ、はい(笑)。

きゃりー:……(耳打ちした人)にお会いしたときに、生で見ると鼻がめちゃくちゃ高すぎでびっくりしたんですけど、一緒に撮った写真ではめちゃくちゃ盛れてて二度びっくりしました。自分の顔を写真に寄せに行ってるんでしょうね。

久保:なるほど。写真の自分を“主”としてるってことですね。

きゃりー:そう、リアルの自分じゃなくて、そっちを主としてるんだと思います。その人は映像とか写真集を出している人なので、そうなってくるんでしょうね。

久保:そもそも“盛る”という言葉がいつ出てきたのか調べてみたんですけど、2002年くらいだったんですよ。渋谷の“サークル”があった頃で、当時のプリクラはまだデジタル画像加工技術があまり取り入れられていなかったから、ストロボで白飛びさせて肌をきれいに見せていたんですね。リアルに見たら変だけれども、そんなプリクラで撮ったらちょうどいいみたいな顔をメイクで作るときに、“盛る”っていう言葉が生まれたみたいなんです。


きゃりー:そうなんですね〜。もともとはプリクラに寄せに行った顔が“盛る”だったんですね。そしてそれが今でも続いているということか〜。

久保:今では主にSNSを通して、リアルとバーチャルが全然違うのが当たり前みたいになりつつありますが、それについてどう思います? もはやハンドルネームとネット上の写真だけで知ってて、リアルは全然わからないっていうことすらよくありますけど。

きゃりー:ここ2〜3年インスタグラマーの登場によって、私のプライベートの友達もすごい自撮りをインスタに上げるようになったりだとか、みんながみんなアイドルみたいになってますよね。それについては、自分のことを好きになって表現できているってことだし、すごくいいなって思います。だけど、出会い系の人とかは大変そう。「ちげーじゃん!」ってなっちゃうから(笑)。

久保:中国とか本当にそれで殺人事件起きたりしてますからね。実際に会ってみたら、違ったということで。

きゃりー:……こ、殺しちゃうんだ!

美人とは、そのときの技術をうまく使いこなしているということ


きゃりー:このまま理想の顔を突き詰めていったら、いつかみんな“グレイ宇宙人”になるって思うんですが、先生はどうお考えですか?

久保:グレイ宇宙人?

きゃりー:前から私はデカ目は絶対したいし、顎ももっとシュッとさせたいと思ってたんですけど、インスタとか見てたら、最近みんなも顎を尖らせてて、でもデカ目で……最終形態はグレイに近づいてるんだなって私思ったんですよ。“盛り”っていうか、“人”の最終形態が。なんならハゲてる人もグレイに近づいてるってことなのかも……って。

久保:(笑)。美人画の歴史を調べてみると、昔は目が細い平安美人だったのがどんどん進化していって、この流れを見ていくと……(著書を開く)。

久保友香「『盛り』の誕生」(太田出版)より



きゃりー:わー、これ、グレイ!

久保:その通りだと思ってたんですよ(笑)。

きゃりー:私は今度、京都の南座で歌舞伎ライブするので(編注:4/30開催)、白塗りとかメイクをすごい研究してるんですけど、ちょうど最近この話になって、なぜ美人が変わっていくのかすごく気になってたんです!

久保:私は“技術が美人を変えている”って思います。急に大正時代から目が大きくなってくるんですけど、それまでは白粉でアイメイクもしてたんですよ。

きゃりー:浮世絵みたいな顔ですね。

久保:江戸時代の化粧書とかを見てみると、ビフォーが大きな二重の顔でアフターが細い一重の顔だったりして、どうやって目を細くするかという方法も書いてあるんですよ。白粉でいかに目の周りをぼかして、ちょっと目を細くしながら歩くときれいになります、みたいな。

きゃりー:逆ですね!

久保:今の逆なんですね。それはやっぱり当時は白粉が化粧品だから、それをどう使いこなすかがポイントになっていて、使いこなした人が評価される。けど明治時代になって、黒いお化粧が西洋から入ってくると、今度はそちらを使いこなした人が評価されるようになって、目が大きくなってきたのかなあと。化粧品が変わったから、美人も変わったのかなって思うんですよね。

きゃりー:なるほど。そのときにある技術を一番うまく使った結果が“美人”になるということなんですね。今、Mattさんが注目されているのも納得です。

久保:日本人って基本的に作って“盛る”ことが好きなんだと思います。これもある種のモノづくりですからね。

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