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【読書感想】手塚治虫アシスタントの食卓

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 レオが西武ライオンズのキャラクターとして、3000万円で「売り飛ばされた」話には、そのレオが野球をしている絵で、手が左右逆に描かれているくらい、手塚先生は運動オンチだった、なんてエピソードもありました。

 先輩アシスタントの送別会の際に、みんなの前でピアノを披露する(『鉄腕アトム』を弾いておられたそうです)手塚先生も、すごく魅力的でした。  

僕は以前、赤塚不二夫先生のことを書いた本を読んだことがあります。
fujipon.hatenadiary.com

この本の著者の武居さんは、赤塚不二夫のマンガ家生活晩年の作品について、

 僕は、赤塚の『クソばばあ』を読んで、唖然とした。『クソばばあ』は、赤塚が一人でアイデアをやった。赤塚が一人で描くと、こんなにつまらない作品になるのか。赤塚一人にアイデアをさせちゃいけない、と思った。

 とまで酷評しています。
 その一方で、

 赤塚は、自分のアシスタントを次々に一本立ちさせる。それは、すなわち自分の作品を痩せさせることだ。右腕を、左腕を切り落としていくのと同じだ。アイデアが薄まり、絵が枯れていく。赤塚にも、それが判っている。判っていながら、それをやる。僕は、それを見ていて、本当に立派だと思う。人の道に外れていないと思う。

 と、自分の優秀なアシスタントたちをどんどん「独立」させていった「潔さ」に最大の賛辞も贈っているのです。

 赤塚さんのフジオ・プロからは、高井研一郎(『総務部総務課 山口六平太』)、北見けんいち(『釣りバカ日誌』)、土田よしこ(『つる姫じゃ〜っ!』)、古谷三敏(『ダメおやじ』)、とりいかずよし(『トイレット博士』)など、多くの人気マンガ家が独立していきました。武居さんはこの本のなかで、「神様・手塚治虫のアシスタントからは、とうとうひとりも名の知られたマンガ家は出なかったのに」と書かれています。

 この本の巻末には、当時のアシスタントたちの座談会が収められていて、読みどころのひとつになっているのです。

 手塚先生も、多くのアシスタントを漫画家に育てたんだよなあ、と僕には思われます。ただ、手塚先生は雲の上の人すぎて、アシスタントたちも手塚先生を尊敬しすぎていて、「天才すぎる人に圧倒されて、『手塚治虫のアシスタントとして成長する』ことが目的になってしまい、自分のオリジナリティを信じ切れなかった」面もあるのかもしれませんね。

 これはむしろ、赤塚先生がすごすぎる、という話なのでしょう。  

 読んでいて、自分が子供の頃に食べたものや、若い頃にがんばっていたことを思い出さずにはいられなくなりました。

 今の僕は、というか、多くの人は、この時代のアシスタントたちよりも、ずっと立派なご飯をふだんから食べているはずなのに、ここに描かれている食べ物は、ものすごく美味しそうなんですよ。

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