■ウォルマートが16日発表した第1四半期(2月〜4月期)決算は、グローサリーピックアップや宅配サービスの拡大が寄与し予想を上回った。
会員費等を含む総売上高は1.0%増となる1,239.3億ドルだった。為替変動の調整では総売上高は1257.8億ドルとなり、前年同期から2.5%の増加だった。純利益は前年同期から80%の増加となる38.4億ドルだった。
売上高の約6割を占める国内のスーパーセンターやディスカウントストア、ネイバーフッドマーケットなどウォルマートUSの売上高は803億ドルと前年同期比2.6%の増加だった。
ウォルマートUSの既存店・売上高前年同期比(ガソリン販売は除外)は食品やペット用品、玩具、イースター商品がけん引し3.4%の増加となった。これにより2014年8月〜10月期から19四半期連続で前年を上回った。
3.4%の増加は過去9年間の第1四半期としては最大の伸び。内訳は客数が18四半期連続となる1.1%の増加で、客単価は2.3%の増加だった。
Eコマースはカーブサイド・ピックアップが2,450店に拡大し宅配サービスも1,000店舗以上からデリバリーできるようになったことで37%の増加となった。
サムズクラブの既存店ベース(ガソリン除外)は0.3%の増加にとどまった。客数は4.7%の増加となったが、客単価が4.4%減少。サムズクラブの既存店ベースのプラスは13四半期連続となっている。ボピスとなるクラブピックアップを含むサムズクラブのEコマースは28%の増加となった。
ウォルマート第1四半期(2月〜4月期)
総売上・前年同期比:1.0%増
純利益・前年同期比:80.0%増
既存店・売上高前年同期比:3.4%増(ウォルマートUS)
ウォルマート店舗数(19年1月31日)
アメリカ国内店舗数:5,355店
スーパーセンター:3,570店
ネイバーフッドマーケット:698店
ディスカウントストア:386店
小型店など:102店
サムズクラブ:599店
海外店:5,993店
総店舗数:11,348店
トップ画像:ウォルマート・ピックアップタワーでネット注文品をピックアップするIT&オムニチャネル・ワークショップ参加者。他の参加者はビデオ撮影も行っている。スマートフォンのバーコードをかざした直後、参加者の目の前に注文品が現れて、参加者全員が感嘆の声を上げた。グローサリー・ピックアップや宅配、ピックアップタワーなどのEコマースがウォルマートの店売上を支えているのだ。
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。実際にネット注文してカーブサイド・ピックアップやピックアップタワーなどを体験し、チェーンストアECのケーススタディを行う、IT&オムニチャネル・ワークショップは当社だけのオリジナルカリキュラムです。
成功/失敗事例としてECを取り上げ、研究・分析するカリキュラムは他ではやっていません。先日のコンサルティングセッションでは参加者がウォルマートのカーブサイド・ピックアップで生鮮品を前日に注文しました。受け取りでは注文品を吟味してもらい「気に入らない」という理由でその場でスタッフに返品というアクションを取ってもらいました。
日本にはない買い物の仕方(注文時に代替品の有無の選択など)であり、日本ではありえない「返品」を実際に体験するのです。この衝撃の直後、店内ではピックアップタワーで注文品を5秒でピックアップします。すぐにウォルマート・アプリでストアモードにある店内マップを使った商品検索やプライスチェッカーを試します。
⇒さらにARスキャナーやウォルマートペイを使った買い物、そしてアプリ上にあるレシートを使った返品せずに返金を行うのです。まさに「体験に勝る学びはなし!」ということでウォルマートでは次々に買い物体験を行います。優れているECポイントから課題点や改善点を浮き彫りにしながらクライアントにオムニチャネル化の「あるべき姿」を考察してもらうのです。
いつも思うのですが、世界最大の小売業が行っている、世界最先端のオムニチャネルに触れた参加者の表情を見せてあげたいです(笑)。アメリカに来ても売り場を見て店長の話を聞くだけだったクライアントにアプリを使ってウォルマートでシームレスな買い物すると「えっ!」の連発です。
一連のEC体験からウォルマートの既存店ベースが19四半期連続で前年を上回っている理由が腹に落ちるのです。で、なぜウォルマートがEコマースに莫大な投資を行っているビジョンも分かるのです。今まで持っていた流通業の在り方を見直すクライアントもでてきます。
アメリカ小売業ではEコマース体験に勝る学びはなし!です。ウォルマートが好調な業績を維持しているのはオムニチャネルへの投資ですから...