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【読書感想】誰の味方でもありません

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誰の味方でもありません (新潮新書)
作者: 古市憲寿
出版社/メーカー: 新潮社
発売日: 2019/04/16
メディア: 新書
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Kindle版もあります。

誰の味方でもありません(新潮新書)
作者: 古市憲寿
出版社/メーカー: 新潮社
発売日: 2019/04/26
メディア: Kindle版
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内容(「BOOK」データベースより)
炎上したいわけではない。でも、つい言いたくなる。みんなが当然のように信じている価値観や正論って、本当にただしいのだろうか、と。いつの時代も結局見た目が9割だし、観光名所はインスタの写真に勝てないし、血がつながっているから家族を愛せるわけじゃない。“目から鱗”の指摘から独自のライフハックまで、メディアや小説など多方面で活躍する著者が「誰の味方でもない」独自の視点を提示する。

 社会学者の古市憲寿さんには、しばしばワイドショーで空気を読まない発言をしてネットニュースに採りあげられる人、というイメージが僕にはあるのです。

 小説を書けば芥川賞候補になるし、なんのかんの言ってもコメンテーターとしての需要は途切れないし、才能はある人なのでしょう。

 『とくダネ!』の司会の小倉さんも、「古市いじり」を楽しんでいるようにも見えますし。

 とはいえ、なんで古市さんに、コメンテーターとして、こんなにニーズがあるのだろう?と僕は疑問だったのです。
 このエッセイ集を読んで、腑に落ちたような気がしました。
 ああ、古市さんは、「言いたいこと、思いついたことをそのまま口にしてしまうがちな人」だけれども、逆に、他人からけっこうキツイことを言われても根に持ったり、あとで復習したりすることもなく、「こちらからも駆け引きなしで言いたいことをいいやすい相手」なんだろうな、って。
 『とくダネ!』のあの「小倉シフト」のなかで、小倉さんという権威に傍若無人な態度をさらりととれるのは、貴重な存在でもあります。

 林真理子さんから「古市くん、ママ活しますか」というLINEが来た。フグの名店、味満んに連れて行ってくれるという。グループLINEでの会話で、もちろん冗談なのだが、ふと思い出したことがある。

 僕はマネーフォワードという家計簿アプリを使っている。クレジットカードと連携していて、明細を自動的に「交通費」「書籍費」などと分類してくれるのだ。そのアプリを見返していたのだが、ある月の食費がたったの5000円だったのである。

 自分でもびっくりした。ベテラン主婦のように、スーパー巡りをして節約に励んだわけではない。一体何があったのか。

 カレンダーを見て答えがわかった。毎晩のように誰かと食事をしていて、一切自分でお金を払っていなかったのである。ある日は出版社に接待され、ある日は友だちにフグをおごられ、ある日はパーティーに参加して、という具合だ。

 昼間はもっぱら備蓄したチョコレートで暮らしているため、食費はほとんどかからない。唯一払った5000円は、スターバックスカードへのチャージ代である。

 自分でもひどい話だと思う。林さんには「あなたは無意識にパパ活ママ活してる」と言われた。確かに、性的サービスこそ提供していないが、本当によく色んな人にご飯をおごってもらう。

   古市さんは、若者たちにとっての「若者の代弁者」ではなくて、権力者や年長者が「若者に理解がある」ことを示したいときに都合の良い存在なのかもしれません。「社会学者」だし、「テレビにコメンテーターとして、よく出演している人」だし。

 でも、ここまでくると、「社会学者」というより、「太鼓持ち」みたいなものではないか、という気もします。

 古市さんが、「気軽におごられてくれて、後腐れもない人」だからこそ、お誘いがかかりやすい、というのもあるのでしょう。

 そこで、貸し借りとか、人脈とかにつなげようという野心が透けてみえる人は、誘う側も警戒するのではなかろうか。

 初めて安倍昭恵さんと会ったのは、もう6年以上前のことだ。慶應義塾大学のイベントで知り合い、僕の『絶望の国の幸福な若者たち』という本を渡した。

 数日後、彼女はフェイスブックに僕の本の感想を書いてくれた。さらに「日本なんて終わってもいい」という、本の中で一番過激なページの写真もアップされていた。当時は自民党が野党だった時代。時代錯誤な憲法草案を発表したり、今よりもずっと右に偏って。昭恵さんのフォロワーにも、非常に保守的な人が多かった。結果、コメント欄は大荒れになる。「日本なんて終わってもいい」とは何事だ、というわけだ。

 ほどなくして昭恵さんから食事に誘われた。そのメールには、私は本の内容に共感したけれど、あのような形で紹介してしまってごめんなさい、とも書いてあった。20代の若者に対しても、対等に接してくれる人なのだと思った記憶がある。

 昭恵さんに連れていってもらったのは、「たまにはTSUKIでも眺めましょ」というオーガニックバーだ(2018年に閉店)。店主の高坂勝さんは、脱原発派であり、思想的には反アベ。そこでどんな乱闘が始まるのかと思ったら、高坂さんと昭恵さんは完全に意気投合していた。

 その後、昭恵さんは二度目の「総理府人」となったが、パワフルに活動を続けた。交流を続けてわかったのは、彼女が本当に純粋な無私の人ということである。少なくとも利害やイデオロギーで人付き合いはしない。

『週刊文春』は悪意を込めて「善意の怪物」と表現したらしいが、あながち間違いではない。森友学園の名誉校長が話題になったが、昭恵さんは一時期、何と五十近くの名誉職を引き受けていたという。「社会のため」と言われれば断れない性格なのだろう。

 こういうことを自分の体験をもとに書けるのは、古市さんならでは、なのでしょうし、だからこそ、権力側のスポークスマン的な役割を、本人も自覚しないまま務めているのではないか、という気もするんですよ。

 みんなにごちそうをおごってもらって、月の食費が5000円なら、そりゃ「幸せ」だろう、とも思いますし。

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