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金正恩、再び軍事挑発の狙い

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北朝鮮が発射したミサイルと視察する金正恩委員長(2019年5月9日) 出典:DPRK twitter

朴斗鎮(コリア国際研究所所長)

【まとめ】

・短距離弾道ミサイル発射の背景に米朝首脳会談の失敗。

・金正恩は権威回復の為、米挑発の道しかなかった。

・金正恩は「力による安全」主張、文大統領の「平和構想」破綻。

【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されないことがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=45755でお読みください。】

北朝鮮の金正恩委員長は、「ミサイル発射と核実験は行わない」とのトランプ米大統領と交わした約束を早々と破っただけでなく、今年の年末まで忍耐強く待つとした方針まで投げ捨てて国連安保理決議に違反するミサイル発射の挑発に出てきた。

1、北朝鮮の短距離ミサイル発射認識で米日韓の対応に乱れ

5月4日午前9時6分~同27分、東部の元山・虎島(ホド)半島から東側に向け短距離弾道ミサイル2発と240mm新型放射砲(多連装ロケット)など約10発を発射した。約70~200余キロを飛行したという。

この発射に対して5月6日、パトリック・シャナハン米国防長官は、米国上院予算員会聴問会で、明確にミサイルと証言した。ダンフォード合同参謀本部議長もミサイルと断言している。

しかし韓国、米国、日本の各政府は、この5月4日発射のミサイルに対して、共に「飛翔体発射」などと「あいまい対応」に出た。韓国国防部に至っては発射直後にはミサイルと発表しながら、大統領府からの指示があったのか、40分後に「飛翔体」と言い換える醜態をみせた。それぞれの国が、金正恩委員長との対話に未練を持っていたからだと思われる。

写真 ミサイルの発射を視察する金正恩委員長(2019年5月4日) 出典:DPRK twitter

しかし金正恩は、米日韓のこうした対応を嘲笑うかの如く、続けて5月9日午後4時29分と同49分(日本時間)には、平壌の北西約160kmの平安北道亀城(クソン)から再びミサイルを2発発射した。高度約50Kmまで上昇し、飛距離は各々270Kmと420Kmだったとされる。韓国軍は当初この発射が「シンオリ」基地からなされたとしたが、実際はそこから40Km離れた亀城(クソン)だった。このことが分かるまでに40分もかかった。実際の戦闘が行われていたら韓国軍は壊滅的打撃を受けていただろう。

▲写真 トランプ米大統領(2019年5月9日) 出典:The White House facebook

これでさすがにトランプ大統領も、飛翔体などと言えなくなり、ミサイル発射と認め不快感をあらわにした。日本政府もトランプに追随してミサイル発射と断定し、「厳重に抗議する」との立場を明確にした。しかし韓国だけは、自国の防衛体制(3軸体制)を根底から揺るがす偏心軌道(eccentric ballistic)タイプの迎撃困難な新型ミサイルだったにも関わらず、いまだにミサイルと断定していない。

2、北朝鮮の短距離ミサイル発射は明確な国連安保理決議違反

マイク・ポンペオ米国務長官は5月5日(現地時間)、米国の番組に相次いで出演し、北朝鮮の挑発について「短距離で発射され、大陸間弾道ミサイル(ICBM)ではないという強い確信を持っている」と説明した。さらに「米国・韓国・日本にも脅威を加えなかった。今回の行動が(交渉上)妨げにならないことを希望する」と発言した。米国領に到達する中・長距離ミサイルではないから大きな問題にするつもりはない、という意味だと受け止められるが、これは見過ごせないミス発言だったと言える。

▲写真 ポンペオ米国務長官 出典:Secretary Ponpeo twitter

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