- 2019年05月15日 17:43
「マスゴミ」の汚名そそぐ日
2/2こうした中、読売新聞が読者の批判に正面から向き合った。4月19日、12人が死傷した東京・池袋の自動車暴走事故における加害者の表記の問題だ。通常事故を起こしたら加害者の表記は「容疑者」になるはずなのに、今回は「旧通産省工業技術院の飯塚幸三・元院長」と表記された。それに対する批判だった。元官僚という『上級国民』だから特別扱いなのか、という言説がネット上に飛び交った。
これに対し読売新聞は、「容疑者でなく元院長、加害者の呼び方決めた理由」と題した記事(5月10日)を掲載した。その中で、加害者が事故後入院しており、逮捕や書類送検はされていなかったことから、「容疑者」の法的立場にはなかった為、「容疑者」との標記を使わなかったと説明した。また、「飯塚さん」や「飯塚氏」などの敬称をつけるのも事故の重大さを鑑みると違和感があることから、過去政府の要職にあった事実を踏まえ、「元院長」との呼称に落ち着いた、との経緯も記した。
納得するかしないかはともかく、新聞が読者の批判に対し丁寧に説明を掲載するのは極めて珍しい。今後こうした流れが普通になることを願う。そして、テレビも同様に批判に対する丁寧な説明が求められるのは言うまでもない。
昨今、テレビの報道姿勢に厳しい目が注がれいる。社会の倫理観から乖離していると感じるケースが多いのだ。
読売テレビが5月10日に放送した報道番組、『かんさい情報ネット ten.』のコーナー「迷ってナンボ!」で、大阪市内の飲食店に「男性か女性か分からない常連客がいる」という情報を受け、お笑いタレントが当該客を直撃、性別を尋ねたり、保険証を確認したり、体を触ったりするなど、しつこく確認を求めたVTRが流れた。その後、スタジオ生出演中のコメンテーターが「許しがたい人権感覚の欠如」と指摘し激怒した。番組を見た人ならわかるが、キャスター陣は凍り付き、しどろもどろになって、まさに放送事故レベルだった。

渦巻く社会の批判に、結局読売テレビは5月13日放送の同番組でキャスターや解説デスク、報道局長らが謝罪し、同コーナーの休止が決まった。筆者の前稿「驕るワイドショー久しからず」でも指摘した通り、報道とワイドショーの垣根が無くなり、報道倫理に基づく番組制作がなされていないことがこうした問題を引き起こしている。読売テレビのこの件は氷山の一角だ。いつ同じような問題が噴出してもおかしくない。
テレビは面白さを優先するのではなく、視聴者の普通の感覚に寄り添った番組作りを心掛けてほしい。「笑い」は社会において大事なスパイスだ。しかし、それは権力を風刺したり、人の愚かさを気づかせるものであってほしい。弱者やマイノリティに対する優しい目線をみな必要としているのだ。
マスコミがマスゴミと呼ばれなくなる日が来ることを切に願う。それが社会にとって利益になると信じて。



