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暗号資産(仮想通貨)

  「サトシ・ナカモト」なる正体不明の人物が発明した「ビットコイン」が市中に出回り始めたのは、2009年1月でした。以来、紙幣や貨幣のような実体を持たず、インターネット上でやり取りがなされる電子データである「仮想通貨」が、世界を席巻するようになりました。

  2017年4月、「資金決済に関する法律」が改正され、ビットコインを先駆けとする仮想通貨が、わが国で初めて法律上に位置づけられました。この法律によって仮想通貨がモノやサービスの決済手段だと正式に認められることになりました。仮想通貨の取引業者を登録制にしたことも、世間の安心材料となりました。

  金融庁のある意味のお墨付きが、仮想通貨ブームというよりもバブルを惹き起こしました。決済や支払いの手段として広く普及することを見越した法改正でしたが、投機目的の売買が急速に拡大する結果となったのでした。

  しかし、バブルははじけました。その契機となったのは、2018年1月に発生した仮想通貨「NEM」の不正流出事件でした。「なんでビットコインはコインチェックがいいんだよ~」と、人気芸人の出川哲朗が連呼するCMがいまだに耳にこびりついていますが、そのコインチェック社が不正アクセス攻撃を受け、約580億円に相当するNEMが流出したのでした。

  このような流出事件や投機的な動きなどを踏まえ、利用者保護の確保や業務の適正化、取引ルールの整備・明確化の観点から、金融庁は資金決済法と金融商品取引法を改正しようとしています。改正案はまもなく審議に入るでしょう。

  法令上の呼称も、仮想通貨から「暗号資産」に変更されます。決済や支払手段としての通貨としての信認を失い、投資用の資産としてみなされるようになったということです。昨年、仮想通貨は年間の「新語・流行語大賞」にノミネートされたほど社会に浸透した言葉でしたが、早くも死語になろうとしています。それにしても、暗号資産という呼称も意味がわかりにくい上、不気味な響きがします。

  暗号資産(仮想通貨)については国内法の整備も重要ですが、マネーロンダリング(資金洗浄)やテロ資金供与対策を目的とした国際的な規制強化も急務です。日本が議長国を務める6月のG20大阪で、何としても参加国の合意をとりつけるべきです。北朝鮮の経済制裁逃れを封じることにつながるからです。

  国連では、北朝鮮がコインチェックなど暗号資産取引所へのサイバー攻撃で奪った暗号資産を換金することで、不正に外貨を取得していたとする報告書が提出されています。昨秋まで1年9か月間、5回のサイバー攻撃で約6300億円も稼いだとのことです。

  安倍総理は7月の参院選対策として北朝鮮カードを使いたいのでしょうか、「無条件で」日朝首脳会談を行う意向を示しました。私は、暗号資産に対する国際的な規制強化の合意を取りつけてからのほうが会談は望ましいと考えています。

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