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櫻井よしこ氏「憲法改正をみんな一緒に考えましょう」

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質問:フリーの東と申します。今憲法問題について論議を盛んにするということです。サンフランシスコ講和条約60周年ということもあります。先ほどから2点に絞ってお話しをされました。もうちょっと別の視点からも含めて。もう一つはみんなの党が4月の27日に改正案を出すという話もあります。そういう形で憲法改正の草案や議論のたたき台になるようなものをお出しになる予定があるのか。

櫻井氏:実はですね、2、3年前に出した「気高く、強く、美しくあれ-日本の復活は憲法改正からはじまる」という本の中でほんとにごく一部なのですが、前文や改正試案を既に出してあります。たとえば前文ですね。かなり長いので読んでしまうと時間がかかると思うのですが…。
日本国は緑深い山々と豊かな海に抱かれた美しい国土に、国民統合の象徴である天皇をいただき、20世紀もの悠久の歴史を積み重ねてきた。自然を移転し、命あるものすべてを慈しみ、穏やかな精神文明を育んできた日本民族は、一人ひとりの国民を大切にし、人の輪を尊んできた。神も下も結びて人の輪をもって国の基本となしてきた。

というふうに始まる前文があって、私なりの改正試案も既に出してあります。これをもっと全般的にやりなおすということも、もしかして必要かもしれません。ちなみに今年から私は民間憲法臨調の会長にもなりました。民間の側からきちんと政治に働きかけて、ほんとに憲法改正をしていきたいということです。微力ですけれど力を尽くしたいと思っています。

そして今、東さんがおっしゃった別の観点論点はどうですかということについて。たとえば家族のことですとか、家族というのはどの民族にとっても一番基本のユニット、単位なんですね。大事なことです。東北の大震災の時もやはり家族という絆がものすごく強調されました。日本国憲法には、家族を大事にするということが書かれていない。珍しいです。各国の憲法の中で、家族の大切さを書いていない憲法はものすごく珍しい。日本国憲法において、家族よりも個人が強調されている。

夫婦よりも、夫と妻、個人の共同体。家族は親と子供の共同体。そこから親も子供もみんな人間としての価値観は平等です。我が国には人生の先輩としての両親を敬うという考えがある。そういうことを大事にしてきました。それがまったく考慮されていない。そこから今のような戸籍は無しにしましょうとか。家族を無くして、個人籍にしましょうとか。社民党の福島みずほさんがおっしゃったりしていますよね。そういうような考えがどんどん出てきて、家族ではなくて一人ひとり独立したばらばらの人間の集合体というのが増えてきたのが戦後なんだろうと思います。こういったことももう一回考えてみないといけないんじゃないかと思います。

さっき59条の件に質問がありましたが、衆議院参議院のあり方についても今の二院制が機能しているかと考えないといけない。論点はたくさんあると思います。

質問:フリーライターの村上と申します。先ほど日本人の価値観というお話をされました。メディアはすごく大きな役割を果たすと思います。3.11以降いろんなマスメディアの発表と海外のメディアの発表とマイクロメディアの発表。これらが異なることがありました。なぜこうしたことが起こるのか。今の日本のマスコミに問題があると思うならば、それはどういったことなのかを伺えればと思います。

櫻井氏:メディアと今の民主党というのが、ある意味で情報の出し方が似ているのかなと、今ふと思いました。民主党が政権を取る前。いろんな人の期待が膨らんでいました。私は民主党に期待したことの一つは情報の共有ということだったんですね。

民主党は経験が無いし、うまく行政能力を発揮出来ないと思ってはいました。少なくとも情報の共有という意味においては、自民党よりもやってくれるんじゃないかと思った。情報公開ですとか、様々な政策決定のプロセスを透明化するという意味で、党内の議論も活発にして、若い代議士の意見を活かしながらみんなの意見を集合していくと期待していました。しかしいざ始まってみたら、すべてことごとく正反対だったと思います。部門会議は無くして、議員の皆さんは政策立案などしなくていいから選挙区に帰って選挙運動しろとか、情報公開も十分ではなかったし、誰が何を決めるのかということもまったく透明化されませんでした。重要な会議の議事録すら作っていなかったということすらありました。

たとえば3.11の時にSPEEDIの情報をなぜ出さなかったのか。これは現地に何回も足を運んで、被災した人たちと話している時にたとえば福島の浪江町の人、広野町の人。こういった所の人は、3.11の後どこに逃げたかというと、ちょうど風の向きから言うと、放射能が吹いていって落ちた先の方に逃げてしまった。もし政府が民主党があの時情報をきちんと出していれば、それは混乱は起きたかもしれませんが、少なくとも放射能が流れていった方向に逃げるということはしなかった。現に被災した皆さんもそう言っていますよね。

このことを民主党の担当大臣に聞いてみましたら、そのような情報を公開するとパニックになると思ったと云います。それって違うだろうと思います。パニックになったにしても、みんな判断する材料としての情報は与えられるべきだと思います。

それからメディアの話です。メディアもほんとに必要な情報をきちんと伝えているかどうか。なんとなくそこもコントロールしているというか。あまり負担を掛けないように。読者のために、きちんと自分たちはなんでやっているのだろうかと思っているとは思います。もちろん嘘の情報を流してはいけませんが、ギリギリのところでこういう情報があって出せるところは全部出していく。そのところも十分ではないと感じています。

質問:フリーランスの烏賀陽と申します。3.11の事に関連して。憲法から離れて申し訳ありません。政府は何もしてこなかった、拉致から守っていなかった。私がまったく同じように感じたのは福島の原発被害にあった人たちを取材した時です。福島第一原発から大規模な放射能漏れがある時に、住民がまったく避難出来なかった。情報も無かった。そういう意味で3.11の時、政府は福島の人たちを守ることが出来たかどうか。もし政府が国民を守るには何をすべきだったか。

櫻井氏:3.11の福島第一原発では人類が初めて経験する、複数の事故が起きました。その中で放射能が、水素爆発によって拡散されていったという時には避難をさせるべきだと思います。枝野官房長官が同心円で切ってずっとやっていましたが、あれはチェルノブイリの事故から考えてみてもほとんど意味がないことなんですね。

もちろん、チェルノブイリと福島第一原発の事故はまったく次元が違います。チェルノブイリは原子炉そのものが爆発しました。結果としてチェルノブイリで何が起きたかというと、放射能の高いところというのはまだら模様になっている。チェルノブイリの原発に近いところでも、まったく安全なところがある。かなり離れたところでも、ものすごく危険なところがある。これはSPEEDIのような最新の機器を使って、欧米のメディアでは情報が出ていた。それをまず出すべきだったと思います。その後ほんとに問題だと思うのは、メディアの問題でもあろうかと思いますが、放射能というのは一体どういうものなの?ということを政府は繰り返し出すべきでした。

日本は広島長崎の経験がありますから、放射能にものすごい恐怖感を持っている。それから怖いものをみないようにする。戦後の大学教育から原子力とか放射能がどんどん少なくなっている。日本人の放射能に対する理解というのは、私も含めてけして高いものではない。ですから枝野さんもいきなり記者会見を始めて、なんとかベクレル、ミリシーベルト、と言っても、いったいそれが人体にどういう健康被害を及ぼすのか、及ぼさないのか。自然界の放射能と、どのくらいレベルが違うというのか、わかりませんでした。わからない単位を使ってどんどん数字を言うものですから、それだけで恐怖を覚える。冷静に考えることが出来なくなっている。

その後の避難生活、村や街に帰ろうという動きをかなり不条理に止めていると思います。ですからきつい情報もそうでない情報も国民に出す。国民には考える能力がある。国民に情報を全部知らせる。これはほんとにすいません、ひどい状況です。その中でもここは安全ですとか。ここの人たちは避難しなくてもいいですとか。言える範囲のことをきちんと言うことで住人を守ることは出来たはずだと思いますし、すべきだったと私は思います。

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