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稼ぐ男ほど、稼ぐ女性と結婚したがるワケ

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「有能な奥さん」に引く男たち

男たちはどうやらまず「年収8倍、2400万円」、しかも「奥さんが有能な女」というところで引くようなのだ。「どこかで自分と比べるみたいなんですよね」と彼女は言う。気後れやひがみを表出させるようにして、「それって特殊な業界の話でしょ」とか、「初めはヒモみたいな男だったんだね。奥さんが貢いでくれてよかったね」「外見だけでそこまで上っても、あとで実力がバレたら転落するんじゃないの」とか、愚にもつかない感想を口にする。

あのねぇ、本当に外見だけでそこまで上り詰めるわけないでしょう、人心を掴む魅力も実力もあるのを、奥さんは見抜いていたから惚れ込んで投資したんじゃないの、と、口の悪い私などは「あんたたちはそんなんだから……」と言いたくなるわけだが言うまい。(いや、言ったも同然だけど。)

そして、その愚にもつかない感想の1バリエーションとして「奥さん働く必要ないじゃない」が出るというのだ。そう言われ慣れた、当の「自分が働きながら夫の年収を8倍にした」彼女は、「皇室の美智子上皇后だって、雅子皇后だって共働きなんだが?」と失望を隠さない。

“男の甲斐性”の定義をアップデートせよ

ここで冒頭の問いに戻るのだ。「夫の収入が多ければ妻は働く必要がない」だろうか? そういった「常識」はとうに過去のものとなったいま、そう口にする男性は、わざわざ健気にも、日々の糧を得る責任をその一身に背負い込んでしまっているのではなかろうか。収入がそこそこの、突き抜けられない男たちほど、共働きが当たり前の社会になってもなお、心のどこかに稼ぐのは男の役割という古い価値観を持ち続けてしまう。だからこそ、年収2400万円の男や有能な奥さんに引き、気後れやひがみを表出させる。妙な年収プライドが邪魔をして「有能な奥さんを見つけて共に働き続けていこう」という発想にはならないのだ。

各種メディアで多くの連載を抱える、人気フィナンシャルプランナーの山崎俊輔氏は、著書『共働き夫婦 お金の教科書』(プレジデント社)で「現代は夫婦3組のうち2組が共働きという時代。結婚退職をする人の割合は1980年代後半では37%だったが、2010年代前半には17%弱まで下がり、もはや少数派になっている」と指摘する。

さらに現代の事情に精通したフィナンシャルプランナーとして、「共働夫婦は二人合わせて5億円ほどの生涯賃金を見込め、さらに退職金や年金で1億円以上が上積みされる可能性も。結婚退職しないこと(させないこと)は夫婦が幸せになるカギ」とし、「共働きカップルの結婚(では)、寿退社を許さないのが今の時代の『男の甲斐性』」とまで明言している。

もういい加減、稼ぐことが男の甲斐性という呪縛から、男たちも解放されるべきときがきているのではないだろうか。

(フリーライター/コラムニスト 河崎 環 写真=iStock.com)

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