- 2019年05月13日 11:22
三菱自動車の新型「eK」に試乗! 日産が開発も光る“三菱らしさ”
3/3結局のところ、日産のクルマなのか?
皆さんにとって気になるのは、新型eK/デイズでは、企画開発と製造で明確に役割が分かれているところだろう。
開発を担った日産が全てにおいて主導権を持ち、三菱はクルマを製造しただけ。そう考えるのは、実は早合点といえる。日産と三菱は、企画段階で新型車の目標についてじっくりと話し合った上、開発中もさまざまなステップで、三菱サイドが確認を行ったという。三菱では、新型車の開発に充当するはずの人員・コストを抑制できた分、新しいeKのキャラクターやデザインを追求することができた。その中で生まれたのが、全く新しいeKクロスだったのである。
三菱自動車がeKクロスを生み出せたのは、先代eKの経験を踏まえた結果でもあった。先代eKを発売した時に三菱は、軽自動車で人気の高いエアロパーツを装着したカスタム仕様「eKカスタム」を展開。これは日産の「デイズ ハイウェイスター」に相当するモデルだったのだが、ハイウェイスターの人気とは裏腹に、eKカスタムはあまり支持されなかったという経緯がある。そこで三菱は今回、同社らしいデザインのバリエーションを開発しようと考え、SUV風のeKクロスを作り出したのだ。

三菱は、ただ単にデザインの異なるeKを投入したのではない。バンパーやグリルに加え、コストの掛かるヘッドライトもeKクロスは専用設計なのだ。特に、大型の縦型LEDヘッドライトの開発には、搭載位置のスペースの関係で苦労したという。ただ、その努力は報われており、新型車の受注の約6割がeKクロスだそうだ。
「ワゴン」と「クロス」、どっちを選ぶ?
実際に「eKワゴン」と「eKクロス」を乗り比べてみると、eKワゴンからは素性のよさを感じた。何より、ボディがしっかりしているのだ。乗り心地もよく、静粛性も高かった。ホンダの新型「N-BOX」のように、イマドキの軽自動車は一皮むけて、リッタークラスのコンパクトカーの脅威となっているが、ekも明らかに、そのラインを狙っているようだ。
次に、モーターアシスト付きの自然吸気エンジンとターボエンジンのeKクロスを比較してみたが、ターボ車でなくとも十分、リッタークラスのコンパクトカーと勝負できそうに思えた。街中で時速60キロくらいまで加速するなら、自然吸気エンジンで十分。ekクロスにはモーターアシストが付いているが、これが割といい仕事をしているようで、加速力には若干の余裕を感じた。
この加速力には、新しいCVTも大いに貢献している。新CVTでは、加速時のエンジン音の抑制を目的に、無段変速のCVTでありながら、わざとATのようなステップ変速制御を行う。つまり、エンジンパワーを最も効率よく引き出すというCVTの魅力を最大限に発揮することをあえてやめているのだが、それは、フルにエンジンパワーを引き出す時に限った話。実は、市街地走行で使う時速60キロくらいの領域であれば、新CVTの方がエンジン回転数をより高くまで使えるので、加速はよくなるというのだ。
もちろん、加速のよさや高速巡行時の静粛性はターボが1枚上手だが、自然吸気エンジンも十分に作り込まれている。軽自動車の特性をしっかりと押さえたクルマ作りだ。最も魅力的なのは、真っすぐ走らせやすいところだろう。これは、新開発の骨格によりボディ剛性が高まった恩恵といえる。さらに、電動パワーステアリングには、センター位置に戻る制御などの改良を加えてあるそうだ。

もちろん、先進運転支援機能のマイパイロットも高速道路で試した。この機能を起動すると、クルマは同一車線内を設定した速度内で走行し、前走車に合わせて、加減速および停車まで行ってくれる。軽自動車には贅沢な装備といえるが、ボディから鍛えてあることもあり車線内の中央維持走行は安定していて、試乗区間で機能が停止したのも、大きなカーブの1カ所だけ。しかも、機能停止から復帰まではスムーズだった。これなら、緩いカーブと直線を中心とする高速道路であれば活躍してくれそうだ。もちろん、速度の低い渋滞時なら、問題なく前車を追従してくれるだろう。軽自動車でも、たまに遠出をする人なら選ぶ価値はありそうだ。
eKシリーズの全体的な評価としては、軽自動車を開発したことのない日産が、かえって軽自動車の常識にとらわれず、1クラス上のコンパクトカーまで意識した作り込みを行った恩恵が、随所に感じられるクルマに仕上がっていた。軽ハイトワゴンを検討するなら、候補に入れたくなる1台だ。
オススメは、やはりeKクロス。SUV風で、最低地上高もeKワゴンと変わらず、「なんちゃって」ではあるものの遊び心があるアクティブなスタイルは、乗る人を元気にしてくれ、所有欲も満たしてくれるだろう。基本的な安全運転支援機能は標準装備として付いてくる。あとは先進のマイパイロットを付けるかどうかだが、そこは自身の乗り方を念頭に置いて検討すべきだろう。
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