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日中の失敗の本質 宮本雄二著 中公新書ラクレ



世界は急速に変わり続けている。世界における中国の存在感、重要性は今後さらに強くなっていく。一方、国際社会は欧州の政治的混迷やトランプ大統領登場など、不確実性を増している。世界が新しい時代に突入したことを自覚し、新しい日中大国関係の構築が迫られている。副題に「新時代の中国との付き合い方」とあるように、「中国の大国意識と日本が培ってきた自信が不協和音を奏で、それぞれの発言や行動が相手の国民感情を刺激し合う状態」を脱し、新しいステージに入ったことを自覚しての日中関係をどう構想するか――歴史と時代をうねりのなかで把え、包括的かつ鋭角的な指摘が行われている。

「われわれは歴史から何を学ぶのか」――。戦前の日本は、アメリカの保有する国力と指導力、アメリカ社会のもつ強さを見誤り、最もやってはいけない対米戦争に突入した。そして戦前の日本は、中国の民族主義の力を過小評価し、強く叩けば屈服すると誤った。日本が大局的視点に立って中国問題に当たれば、日米戦争は回避できた。加えて、戦前の日本は、第1次世界大戦に対する欧米の痛切な反省と平和への希求、新たな理念や価値観を共有することに失敗した。

「われわれは今どういう世界に住んでいるのか」――。これまでのリベラル・デモクラシー、国際経済秩序のアメリカの時代を経て、"トランプ外交"は超大国疲れであり、"アメリカの時代"の終わりの始まりなのか。今、米中貿易戦争ではなく、米中の対抗する緊張が始まった。「新しい時代においても戦後国際秩序の基本は残る」という。

「習近平の"中華民族の偉大な復興""中国の夢""トラとハエ退治"」「中国外交の課題は、経済の合理性が要求する国際協調外交と、ナショナリズムが要求する国威発揚と対外強硬姿勢の間のせめぎ合いを止揚すること」「訪日中国人が日中関係を変える?」「日中関係の最も重要な変化は、日中間に軍事安全保障の新たな柱が立ったこと」「現行の国際システムから最大の利益を得てきたのが日本であり、中国だ。この国際秩序ないし、システムを維持し、発展させることが日中の共通の課題」「国民感情は簡単に移ろう。さらなる交流と相互理解が必要。米中の衝突を回避させるために動く力をもつのは日本しかない」・・・・・・。

そして「わが国が目指すべきは世界の現行秩序の根本を堅持し、世界の平和と持続可能な発展を確保するものでなくてはならない。日本外交は積極的に米中関係に関与し、・・・・・・能動的外交を展開すべきだ」「幅広い分野での協力関係、平和で安定した協力関係を構築せよ」という。

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