- 2019年05月13日 11:33
【読書感想】パスタぎらい
2/2日本はスナック菓子大国である。アジア圏はどこも大体スナック菓子が充実してはいるが、日本ほどの種類の多さとクオリティの高さを感じさせる国はない。
アメリカといえば、ポテトチップスやポップコーン発祥の地でもあるわけだし、さぞかしスナック菓子の種類が豊富なのだろうという勝手なイメージを持っていたが、実際一時期この国で暮らしてみてわかったのは、確かにスーパーマーケット内でスナック菓子の棚が占める割合は大きいけれど、それは決して種類が豊富だからではなく、それぞれの商品のサイズが巨大でカサがあるからだった。枕みたいなサイズの袋に入ったポテトチップスも普通に家庭用として売られていたが、
決して日本のように、多種多様な種類のスナック菓子があるわけではないのだ。
これは、3年前くらい前に僕がアメリカに行った際も、同じことを感じたのです。
とにかく売り場は広いスーパーマーケットなのだけれど、置かれている食品のバリエーションは、日本のコンビニのほうが多いくらいではないか、と。
アメリカには「ジャンクフード大国」のイメージがありますが、むしろ、日本のほうが質的には充実している気がします。
ヨーロッパの人たちは、「ワイン・ナショナリスト」の傾向が強い。イタリア人ならイタリア産のものを、さらに自分たちの暮らしている地域や、家族や親せきに縁のある地域のものを選ぶ。これはフランスやスペイン、ポルトガルといったワイン多産国でも同じだろう。
ポルトガルに暮らしていた時は、近所の酒屋やスーパーマーケットの売り場に置かれていた8割が、ポルトガル産のワインだった。個人商店に数本だけ置かれていた隣国スペインのワインが気になって買おうとしたら、「ポルトガルにいるのにスペインのワインなんか飲むな。それはスペイン人の観光客用だ」と店主のオヤジに忠告され、薦められたアレンテージョ地方(ポルトガル中西部)のワインと取り替えた。
スペインでも同じく、街中の酒屋には隣国であるはずのポルトガルもフランスのワインも置いていなかった。かつて夫の実家に帰省する際、何本か美味しいと感じたポルトガルワインを持って行ったことがあるが、棚にいったんしまわれたそのワインが実際に飲まれたのはその数年後、いつものワインを切らしてしまって止むを得ず、という理由によるものだった。
その夫の実家にフランスからの客人が、ボルドーの名酒を持ってきたことがあった。さすがに皆珍しがって飲みたがり、その場では盛んに「これは噂通り美味しい!」などと口にしていたが、客人が帰った途端、「でも、本当はあのワインより絶対地元のワインのほうが美味しいよな……」などと小声で漏らしていたこともある。私はボルドーの名酒の方が遥かに美味しかったのだが、彼らのワインに対する保守性とその徹底ぶりは、われわれ日本人やアメリカ人のような「多国籍食文化受け入れ型」には、かなり信じ難いものがある。
日本人は、最近とくに「日本ってこんなに素晴らしい!」という話を好んでいるように思われますが、食に関しては、ここまでナショナリストではないですよね。
正直、「なんでも地元のもののほうが美味しい」というほうが、お金もかからなくて良いのではないか、とも思うのですが。
この本を読んでいると、食に対してこだわりが強く、好き嫌いもけっこうあるのに、さまざまな国で、現地の人と親密になるために、かなりハードなメニュー(「南太平洋の村での蝙蝠のシチュー」や「モスクワの謎の小骨だらけの得体のしれない肉の煮込み」など)も口にしている、というヤマザキさんの振れ幅の大きい生きざまに圧倒されてしまうのです。
「嫌いなものは嫌い」でも、人間、けっこういろんな場所で生きていけるのです。
「肝が据わってさえいれば」なんですけどね。
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