- 2019年05月13日 11:33
【読書感想】パスタぎらい
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パスタぎらい (新潮新書)
作者: ヤマザキマリ
出版社/メーカー: 新潮社
発売日: 2019/04/17
メディア: 新書
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Kindle版もあります。
パスタぎらい(新潮新書)
作者: ヤマザキマリ
出版社/メーカー: 新潮社
発売日: 2019/04/26
メディア: Kindle版
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内容(「BOOK」データベースより)
イタリアに暮らし始めて三十五年。断言しよう。パスタよりもっと美味しいものが世界にはある!フィレンツェの絶品「貧乏料理」、シチリア島で頬張った餃子、死ぬ間際に食べたいポルチーニ茸、狂うほど愛しい日本食、忘れ難いおにぎりの温もり、北海道やリスボンの名物料理…。いわゆるグルメじゃないけれど、食への渇望と味覚の記憶こそが、私の創造の原点―。胃袋で世界とつながった経験を美味しく綴る食文化エッセイ。
フランスの美食家、ブリア=サヴァランの「どんなものを食べているか言ってみたまえ。君がどんな人間であるかを言いあててみせよう」という言葉があります。
この本、ヤマザキマリさんによる食べ物エッセイなわけですが、ヤマザキマリさんのファン、あるいは、ヤマザキさんの生きざまに興味がある、という人にとっては面白いはず。
逆にいえば、ヤマザキさんの個人的な体験とか好みに忠実な文章なので、「食の権威によるグルメエッセイを読みたい」とか「何か自分の知らない食べ物の世界を覗いてみたい」という人には、「なんか貧乏くさい食べ物の話ばっかり」だと思われるのではなかろうか。
僕の個人的な感想としては、「つまらなくはないけれど、わざわざ読まなくてもいいかな」だったんですよ。全然「おすすめ」になっていませんが。
ヤマザキさんの人生のさまざまなターニングポイントで、「食べ物」がきっかけになっているのです。
1995年に未婚で産んだ2歳の子どもを連れて日本に一時帰国した際、テレビ局のプロデューサーとイタリア料理店で会食をしたのがきっかけで、ヤマザキさんは札幌のローカル番組でイタリア料理を紹介することになりました。
最初にお披露目したのは、「アマトリチャーナ」というおそらく日本のナポリタンの原型となったと思しきトマト系のスパゲッティだった。これだって、食材費はたいして掛からない。生放送だったので、料理中の私の呟きもそのまま視聴者には届く。「人数で割っても食材費は一人百円そこそこじゃないでしょうかね」とか、「レストランだと千円以上で出してたりしますからね」とか、およそ料理番組にふさわしくない言葉が主婦層には大いにうけたようだが、レストランの経営者やシェフたちは腹を立てたらしい。当然である。
とにかく、安上がりで腹持ちするパスタはイタリアにおいては庶民のための食であり、イタリア映画でも貧窮した様子を表現する時は、大人数で大量のトマトソースのスパゲッティを食べるシーンをよく用いている。私もニンニク塩コショウパスタが続いて、さすがに飽きてきた時は、奮発してひと缶50円くらいのトマトの水煮を調達し、トマトソース仕様にしたりするのだが、自分の人生でいったいどれだけこの類いの「貧乏パスタ」を食べてきたのか数え切れない。
ヤマザキさんは、けっこう好き嫌いがはっきりしていて、生のトマトなどの酸っぱいものが苦手だったり、コーヒーが飲めなかったりという「苦手なもの」の話も多く出てくるのです。
ある土地で生活をしていくうえで、「食べ物が口に合うか」って、かなり大事なはず。トマトもコーヒーも苦手でイタリアで生活するのは大変だっただろうなあ。
ヤマザキさんは、日本、イタリアだけではなく、ポルトガルやアメリカでも暮らしていたことがあって、それぞれの国の食文化の比較もされています。