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- 2019年05月13日 07:18
「自動運転車を作ってハイ終わり、ではない」スペシャリストが語る未来のモビリティ社会
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2019年3月23~24日、開発したアルゴリズムを自動運転プログラムに実装し、試験路での自動走行時のアルゴリズム精度を競う競技「自動運転AIチャレンジ」が開催されました。そのサイドイベントとして、東京大学大学院 特任准教授 松尾豊氏、TRI-AD取締役 最高技術責任者 鯉渕健氏、本田技術研究所 上席研究員 杉本洋一氏、 日産自動車 総合研究所所長 土井三浩氏、ティアフォーCTO 加藤真平氏など、AI、自動運転分野の第一人者が一同に介し、「自動運転と未来のモビリティ社会」をテーマにパネルディスカッションが行われました。ディスカッションで浮き彫りになったのは、自動運転のさまざまな“課題”。実用化に立ちはだかる技術的、社会的な課題をどのように解決していけばよいのか、5人のスペシャリストによる白熱した議論をお届けします。
――鯉渕
「自動運転の実用化で問題となるのは、どこまで安全が求められるか、ということです。自動運転による事故率が人間の平均的なドライバー程度では認められないでしょう。かといって、じゃあどれくらいなら許されるのか。仮に、交通事故の80%が自動運転で削減されても、残り20%の事故が取り沙汰され悪目立ちするでしょう」
――松尾
「私は、実用化にはとりあえず明確な安全基準を作るほかないと思います。航空業界では、人命に関わるクリティカルな事象の発生率が10のマイナス9乗(回・飛行時間)以下、つまり、10億時間に1回の発生以下に抑える、という明確な安全基準が定められ、この絶対的な基準を根拠に、全ての部品、飛行の基準が規定されています。たとえば、航空機にパイロットが2人搭乗する理由は、1人が心臓まひになる確率は10のマイナス9乗を上回っているが、2人同時になる確率はその基準を下回るから。自動車業界も、航空業界と同じく、一旦何らかの明確な安全基準を設けてしまえば、その基準を基に様々なオペレーションの決定が可能となるでしょうね」また松尾氏、加藤氏は、自動運転をめぐる政治家の役割についても言及しました。
――松尾
「自動運転車の事故をめぐる倫理的問題が取り沙汰されますが、そもそも、多かった事故が自動運転で減るのは明らかに良いことでしょう。本当は、事故が減るのだから実用化しよう、という世論が形成されるべきで、これは政治家が取り組むべき課題だと思います」
――加藤
「政治家が取り組むべきは、自動運転の実用化に伴うリスクのリストアップ、それぞれの発生確率、深刻度の数値化、対応の明確化です。事故がどうしても起こってしまうことを前提に、さまざまな対応策を考えるべきでしょう」
松尾 豊氏
東京大学大学院工学系研究科総合研究機構 特任准教授
鯉渕 健氏
トヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント株式会社(TRI-AD) 取締役 最高技術責任者/トヨタ自動車株式会社 先進技術開発カンパニー 先進安全領域 領域長
杉本 洋一氏
本田技術研究所 上席研究員
土井 三浩氏
日産自動車株式会社 VP、総合研究所所長、Alliance Global Director
加藤 真平氏
東京大学大学院情報理工学系研究科准教授/株式会社ティアフォー創業者 CTO
自動運転導入の第一歩は、明確な安全基準を作ること
最初のトークテーマは、「自動運転実用化の基準について」。自動運転車による事故をどう捉えるか、倫理的問題にも踏み込む議論が行われました。
――鯉渕
「自動運転の実用化で問題となるのは、どこまで安全が求められるか、ということです。自動運転による事故率が人間の平均的なドライバー程度では認められないでしょう。かといって、じゃあどれくらいなら許されるのか。仮に、交通事故の80%が自動運転で削減されても、残り20%の事故が取り沙汰され悪目立ちするでしょう」
――松尾
「私は、実用化にはとりあえず明確な安全基準を作るほかないと思います。航空業界では、人命に関わるクリティカルな事象の発生率が10のマイナス9乗(回・飛行時間)以下、つまり、10億時間に1回の発生以下に抑える、という明確な安全基準が定められ、この絶対的な基準を根拠に、全ての部品、飛行の基準が規定されています。たとえば、航空機にパイロットが2人搭乗する理由は、1人が心臓まひになる確率は10のマイナス9乗を上回っているが、2人同時になる確率はその基準を下回るから。自動車業界も、航空業界と同じく、一旦何らかの明確な安全基準を設けてしまえば、その基準を基に様々なオペレーションの決定が可能となるでしょうね」また松尾氏、加藤氏は、自動運転をめぐる政治家の役割についても言及しました。
――松尾
「自動運転車の事故をめぐる倫理的問題が取り沙汰されますが、そもそも、多かった事故が自動運転で減るのは明らかに良いことでしょう。本当は、事故が減るのだから実用化しよう、という世論が形成されるべきで、これは政治家が取り組むべき課題だと思います」
――加藤
「政治家が取り組むべきは、自動運転の実用化に伴うリスクのリストアップ、それぞれの発生確率、深刻度の数値化、対応の明確化です。事故がどうしても起こってしまうことを前提に、さまざまな対応策を考えるべきでしょう」



