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民事執行法の改正法が成立

まだ国会のサイトには出ていないが、5月10日の参議院本会議では以下の議案が可決成立したとのことである。→親権者立ち会いで子引き渡し=改正民事執行法成立

第四 民事執行法及び国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律の一部を改正する法律案 (内閣提出、衆議院送付)

この改正は、民事執行法については子の引渡し執行についての特則を設けたことと、債務者の財産開示手続を拡充強化したことが大きな柱となっている。

子の引渡しについては、arret:子の引渡しの審判に基づく間接強制が過酷執行として許されないとされた事例で紹介した最高裁決定が出たばかりだが、動産の引渡し執行に関する規定の借用と間接強制とで賄われていたところを、先行して子の引渡しの強制執行規定を整備したハーグ子奪取条約実施法の規定をお手本に、しかしそこで浮かび上がってきた問題点を考慮した内容で、子の引渡しの直接的な執行を可能とする規定にしたのである。

詳しいことはまた触れる機会もあるだろうが、執行官が子の引渡しに直接的な執行をすることができ、その際には威力も用いることができるとか、間接強制を先行する必要は必ずしもないとか、子を監護している親がいないところで、引渡しを求める親がいれば、引渡執行が可能であるとか、色々と工夫されている。

ただし、子の心身に悪影響を及ぼすような執行は当然できず、例えば親にしがみついている子を引っ剥がすような実力行使はもとよりできない。

その意味で、新法の下でも今よりはマシかも知れないが、依然として子の直接的な引渡執行には限界があり、間接強制によらざるを得ないが、これも相手がお金がないというときにどんな実効性があるのかは疑問が残されている。

上記のエントリでも書いたように、子の意思を執行段階でも確認するための工夫が必要であると、私は思う。

財産開示については、これまで債務者に陳述を求めるだけの形ばかりの制度だったが、今後は一定の範囲の第三者に債務者の財産情報の開示を求めることができるようになる。これもやってみないと実効性があるかどうかはわからないところが残されてはいるが、とにかく裁判で金払えと命じても絵に描いた餅、たとえ債務者が金持ちでも手をこまねいているしかないという状況が少しでも改善する方向に進めば良いと思う。

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