- 2019年05月09日 11:20
【読書感想】レンタルなんもしない人のなんもしなかった話
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レンタルなんもしない人のなんもしなかった話
作者: レンタルなんもしない人
出版社/メーカー: 晶文社
発売日: 2019/04/17
メディア: 単行本
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内容紹介
【なんでこんなに優しいんだろう。】
「ごく簡単な受け答え以外、できかねます」
twitter発、驚きのサービスの日々。
本当になんもしてないのに、次々に起こる
ちょっと不思議でこころ温まるエピソードの数々。
行列に並ぶ、ただ話を聞く、絵画のモデルになる、一人カラオケに付き合う、
掃除をしているのを見ている、ドラマに出演する、行けなかった舞台を代わりに見る、
カレーを一緒に食べる、ヘッドスパを受ける、裁判の傍聴席に坐る、映画を見る、
ボウリングに付き合う、ブランコをこぐのを見守る、ラーメンを食べる、深夜の徘徊に同行する、
言われたとおりのコメントをDMで返す、離婚届に同行する、なんもしないホストになる……etc
「なんもしない」というサービスが生み出す「なにか」とは。
2018年6月のサービススタートから、2019年1月31日「スッキリ」(日本テレビ)出演まで、半年間におこった出来事をほぼ時系列で(だいたい)紹介するノンフィクション・エッセイ。
僕は書店でこの本を見かけるまで、「レンタルなんもしない人」のことを知りませんでした。
いや、これだけネットに入り浸っているのだから、どこかで名前や活動を見かけていた可能性が高そうなので、まったく観測範囲になかった、と言うべきなのだろうか。
こんなに有名そうな人なのに……ネットというのは、人それぞれ、「見えている世界」が違うし、それは年々顕著になってきている、ということなのでしょうね。
この本では、「レンタルなんもしない人」が、2018年6月の活動開始から、2019年1月31日にテレビ番組『スッキリ!』で紹介されるまでの半年間にやってきたことを日記のような形で追っています。
こういう本をつくる場合には、話題になったり、印象的だったりという、いくつかのエピソードを深く掘り下げていく方法もあったと思うのですが、この淡々とした日記形式は、「レンタルなんもしない人」の雰囲気に合っているように感じました。
【利用規約】(以下暫時追加)
「レンタルなんもしない人」というサービスを始めます。
一人で入りにくい店、ゲームの人数あわせ、花見の場所とりなど、ただ一人分の人間の存在だけが必要なシーンでご利用ください。
国分寺駅からの交通費と飲食代だけ(かかれば)もらいます。
ごく簡単なうけこたえ以外なんもできかねます。
こんなルールでスタートした「レンタルなんもしない人」なのですが、僕がリアルタイムでこれをネットで見ていたら、「こんなの誰が利用するのだろう?」としか感じなかったはずです。
思いついたのが「出張先などで、一人で焼き肉に行きづらいときに、一緒に行ってもらう」ということくらいかな。
そうだ、オフ会に一緒についてきてほしい。
僕は案外なんでもひとりでできてしまうし、「なんもしない人」が傍にいたとしても、「なんもしない人」として扱う自信があんまりないのです。
とりあえず、場所取りとかチケットの並びとかは想像できるのですが、それに関しては、早々に「あんまり興味が持てないのでやめます」と宣言されています。
そもそも、それは「なんもしない人」がやることでもなかろう、と。
しかしながら、この本を読んでいくと、世の中には「とりあえず誰かに、そこにいてほしい」というニーズが少なからずあるということに気付かされます。
僕が知っているこの半世紀くらいでは、今ほど「おひとりさま」が生きやすい時代はないと思うのだけれども、それでも、「ひとりでは生きづらい、居づらい場所」というのが、世の中にはたくさんあるのです。
それは「こちら側の思い込み」の場合が多いのかもしれないけれど。
「焼肉食べ放題の店に行って全力で食べたいけれど、友達とだとどうしても遠慮してしまうのでついてきてほしい」とか、「ドラッグストアめぐりが趣味だけれど、ひとりで長時間店内にいると怪しい人だと思われるので一緒に来てほしい」とか、「引っ越しのときに、誰かに見送ってほしいのでお願いします」とか、読んでいると、「ひとりではやりづらいけれど、知り合いに頼むのはハードルが高いこと」って、世の中にけっこうあるんですよね。
なんとなく、人のぬくもりがほしいけど、自分の世界に介入されたくない、ということも。
人と人との関係とかつながりにはさまざまな状態があって、「レンタルなんもしない人にお願いするくらいが、ちょうど良い距離」が、いまの世の中には存在している、というだけのようにも思われます。



