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テレ東・名物DがLINE編集者の持ち込み企画をガチ検討 『1秒でつかむ』高橋弘樹氏インタビュー

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BLOGOS編集部

若者のテレビ離れが叫ばれる中、独自路線を行く番組作りでファン層を拡大しつつあるテレビ東京。他のキー局に比べると小規模ながら個性的なスタッフが数多く揃う同局で、ひと際異彩を放つのがバラエティ番組『家、ついて行ってイイですか?』(毎週水曜21:00~)の演出・プロデューサーを務める高橋弘樹氏だ。

時に、企画から撮影、演出まで全てを自ら手がけ、局内の企画会議では誰よりも多くの企画を提出するという同氏だが、このほど長年の経験で培った企画術をまとめた著書『1秒でつかむ 「見たことないおもしろさ」で最後まで飽きさせない32の技術』(ダイヤモンド社)を上梓した。

今回、高橋氏に取材を行う機会が得られたため、弊メディア・BLOGOSで掲載するインタビュー記事という設定で企画案を持ち込み高橋氏に見てもらうという“フェイク”インタビューを行った。【取材:島村優】

読者が興味を持つシーンを企画に落とし込め!


持ち込み企画案①「あなた○○の人ですか?」

概要:事前準備なし、アポなしで、街中で偶然出会った相手にインタビューを行い、その人の人生について掘り下げる企画。 例えば、夜中1時に新橋の立ち食いそばで食事をしながらため息をついているスーツの男性に話を聞き、相手の内面を掘り下げる(※1)。相手が誰かわからないまま、聞き手の関心に沿ってその人がどんな人物か想像しながら会話を展開。


うーん、これだけだと読みたいと思わないかもしれません。もっと入口で興味を持ってもらえるものの方がいいと思います。

この例で言うと、ただ立ち食いそば食ってるだけより、もっと興味があるシチュエーションがないと。「深夜」とかは良いと思うんですけど。

——なるほど。事前に準備しすぎず取材対象者を掘り下げる、という狙いだったのですが…。

それも魅力的ですが、やはり多くの人に見てもらうには、なんで今、ここでこんなことしているんだろう、っていう違和感がある人に聞く方がいいかもしれません。『家、ついて行ってイイですか?』なら“終電後”というシチュエーションです。

取材相手も一般人だと、その人自体に興味を持つことは難しいから、時間とか行動とか、読者が興味を持ちそうな場面を考えて企画を立てた方が良いですね。何をやるインタビューかを前面に打ち出す。「○○の人」だけだと、その前提が感じられないので、そこをもっと企画に出した方が良いかなと。

——確かに、ただ偶然出会った人に話を聞くだけだと弱いですね。

なんで真夜中に歩いてるんですか、とか、なんで真夜中に飯食ってるんですか、とか、そういう方が面白いかもしれませんね。

※1
高橋氏は相手を取材するには、自分「取調べ力」が大事だとする。 「自分自身への認識を明確にしておかないと、自分が「興味深い」と思った事実や、「魅力的だ」と思ったストーリーの魅力を、うまく受け手に伝えることができない」
—高橋弘樹 『1秒でつかむ』 p.164

相手が話しやすくなる「心の貸し借り」を意識せよ!


企画案②「すいません、相席いいですか?」

概要:お店で偶然居合わせた人にいきなり話を聞き始め、即興インタビューする内容。なぜここにいるのか、何をしていたのか、これまでどんな人生を送ってきたのか、などを聞いていく。映画「ダイナー」のような、一見ダラダラした会話の中に隠れている本音や考えさせられる一言を拾いたいという狙い。


構造は違いますけど、千鳥の『相席食堂』みたいなものですよね。こういうのはありだと思うし、僕も基本的には好きです。

あと、これは設定の話になりますけど、相手がより深くまで話す仕掛けはしていいかなと。相席ってことで、酒を飲んでいるのは良いと思うんですけど、あとは例えばおごるとか。

——おごることで、相手が話すようになるんですか?

手練の演出家はよく使う手段ですが、相手に心理的な負担をかけるというのは、実はこういう仕掛けの一つ。インタビューとかでも、遅刻してきた人が必要以上に話してくれることってありますよね。

——よくありますね。申し訳ない気持ちで、いつもより口が滑らかになると。

あざといですけど、演出の方法として、限られた時間のインタビューで「心の貸し借り」をどう作っていくか、みたいなことも時に技術だったりします。これは営業の仕事でも、外交でも同じだと思いますが、心の貸し借りを作って本音を引き出したり、相手に譲ってもらったり。

僕だったらまず、おごります。人間って、相手にしてもらったことに無意識に報いようとすると思うので。『家、ついて行って〜』でも必ずタクシー代をおごってますね。

——タクシー代をおごるってことには、そういう機能もあったんですね。

高橋氏が手がける『家、ついて行ってイイですか?』/テレビ東京

本音を引き出す「設定」を作れ!


企画案③「他人の履歴書」

概要:日本経済新聞の名物企画「私の履歴書」のイメージで、本人ではなく他人が回顧する構造のインタビュー企画。会社の若手社員が社長を、秘書が政治家を…様々な人たちが本人の代わりに、本人の考えているだろうことを回答し、実際のイメージとのギャップを浮かび上がらせる。


例えば、この会社のパターンだと、若手社員は匿名でやるんですか?実名で?

——実名かなと。

僕だったら、これは匿名でやるかな。実名でやると本音が出ないですから。こういう企画だと、本音を言いやすくする環境という設定が大事な気がします。(※2)

最近は『ダウンタウンなう』みたいなお酒を飲んで語る番組が流行ってますし、『家、ついて行ってイイですか?』もお酒を飲んでいたら本音がでやすいかもな、という狙いがあります。何かを暴露するにはそういう設定が必要になると思います。

——暴露に限らなくてもいいかなとは思っていましたが、確かにそちらの方が企画としては立ちますね。

はい。その設定が大事で、そういう風に考えると実名の若手社員じゃなくて、匿名にするかな。

設定でいうと『家、ついて行って〜』はそういう本音がでやすそうな気分にある時を狙っています。お祭りのように「ハレ」と「ケ」で言ったら「ハレ」の瞬間とか。あとは気分がリラックスしてる銭湯上がりとか。

——ああ、なるほど。

もっと言うと「本音」を引き出すことを狙うなら、若手社員より退社した人だけが語る会社の話、とかも本音が出そうだなと。そういう設定が1つあるといいですね。

※2:すべては設定力
「見たことないおもしろいもの」を描くため、「ストーリー作り」に苦心しても、誰も見てくれず自己満足しているだけでは意味がありません。より多くの人に見てもらおうとするなら、「設定がすべて」です。
—高橋弘樹 『1秒でつかむ』p.235

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