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「平成から令和へ」 ―戦後日本の偏向教育を正すとき― - 屋山太郎

 平成から令和に元号が変わった。私の家柄は天皇家と何のかかわりもないが、天皇家の行事には深い関心を抱いてきた。平成天皇、皇后陛下がサイパン島、ペリリュー島に慰霊に行かれた時は、私の願いを直接聞かれたのかと思った。太平洋に向かって深くお辞儀する姿は、日本人を代表して、美しかった。

 敗戦を迎えたのは、中学1年生の時だった。何十年もあとで判ったことだが、この間、GHQ(連合軍総司令部)はウォー・ギルティ・インフォメーションプログラム(戦争についての罪悪感を日本人に植え付ける宣伝計画)を日本中に広めたという。一方、教員の85%を組織した日教組は「教室こそ社会主義を学ぶ場」と称して堂々と偏向教育を行った。まともな事実、正しい歴史を教えた教師は教室から追放された。私が社会人になった頃から真面目な歴史本が発刊され、社会で共通した歴史観が通用するようになった。

 ローマに特派員として派遣されたのは29歳。外国人ばかりの記者クラブで時々お国自慢が始まる。当時イタリアのテレビ番組でアルファベットの26文字を教える番組をやっていたが、その程度の低さに驚いた。「ほとんどの日本人は1800字は知っているよ」と言ったところ誰も信用しなかった。

 日本から歴史教科書を送ってもらったが、当時出版された歴史本のほとんどが左翼系で、全く役に立たなかった。帰国してから教科書正常化運動に参加して改めて驚いたのだが、教科書はもちろん、教育指導方法まで、日教組に抑えられていた。

 彼らが未だに変わっていないのは国防の精神だろう。非武装中立論が平然と語られる国は日本しかない。憲法改正など、当然の政治案件だが、国会で議論すること自体に反対というのはこれまた日本だけではないか。その原因は誤った憲法を聖書の如くあがめる教育方針がそもそも歪んでいたからだ。

 慰安婦問題の記事を朝日新聞が取り消した。朝日は戦後の変更したマスコミの代表である。取り消すというのは伊達や酔狂ではできない。マスコミを代表する新聞が取り消すに至ったのは、空中に漂う空気を一掃したことだ。

 「ネトウヨ」という言葉がはやっている。「ネトウヨ」とは、得た情報を元にネット上で右翼的な発言をする人々の総称である。新聞の社説は読まない。必然的に左傾化した論説など読まないから、思想傾向は右傾化してくる。戦後占領軍と日教組が束になって日本認識を一変させた。その偏向を助け続けたのは新聞だ。世論調査を行うと、あの大間違いの左寄り世論が若干右傾化しているように見える。

 中学生の時、毎週のようにアメリカ人が「民主主義について」講釈してくれたが、あとから日本の歴史を知れば、慶応4年に明治天皇が発した五箇条の御誓文に「広く合議を興し、万機公論に決すべし」とある。これこそが民主主義の極意である。日本人の失敗は先人に学ばなかったことだ。

(令和元年5月1日付静岡新聞より転載)

屋山 太郎(ややま たろう)
1932(昭和7)年、福岡県生れ。東北大学文学部仏文科卒業。時事通信社に入社後、政治部記者、ローマ特派員、官邸クラブキャップ、ジュネーブ特派員、解説委員兼編集委員を歴任。1981年より第二次臨時行政調査会(土光臨調)に参画し、国鉄の分割・民営化を推進した。1987年に退社し、現在政治評論家。「教科書改善の会」(改正教育基本法に基づく教科書改善を進める有識者の会)代表世話人。
著書に『安倍外交で日本は強くなる』『安倍晋三興国論』(海竜社)、『私の喧嘩作法』(新潮社)、『官僚亡国論』(新潮社)、『なぜ中韓になめられるのか』(扶桑社)、『立ち直れるか日本の政治』(海竜社)、『JAL再生の嘘』・『日本人としてこれだけは学んでおきたい政治の授業』(PHP研究所)など多数。

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