記事

「結果として沖縄に大変な迷惑をかけた、大いに反省」鳩山由紀夫元首相が振り返る平成

2/2

私益か国益か、天皇陛下の政治利用

Getty Images

角谷:さて、31年間の間に鳩山さんと天皇陛下(明仁上皇)の関わり合いはどのようなものがありましたか?

鳩山:総理時代に一番頭を悩ませたのは、当時の習近平副主席が近い将来首席になると。時間的には30日ルール(天皇との会見は1か月前までに申請する慣例)というのがあって、それは守れないけれども天皇陛下にお目にかかりたいという希望を持っていると。なんとかして欲しいという話があった。

その時に宮内庁長官らとやりとりをして相当嫌味を言われましたけれども、対面させていただくことが出来るようになりました。その時の経緯が天皇陛下と私の間の関わりで、今でも天皇陛下の政治利用ではないかと言われるところですよね。そこはどう思われます?って私が聞くのもあれですけど。

角谷:外交の問題は私達にとって分かりにくいものがたくさんあると思うんですよ。ただ、裏側では色々なことが動いているはずなんですね。実は自民党の議員も含めてたくさんの議員に中国政府は接触して、なんとか天皇陛下に会えないだろうかというアプローチをしたんですね。

最終的には政権が首を縦に振らないと動かないと。実は自民党の議員もその時たくさん動きましたよね。鳩山さんなんとかしてもらえないだろうか、小沢さん(当時の幹事長)なんとかしてもらえないだろうかという風に、自民党の議員からもお願いや陳情が来るようになった。

最終的には政府が決断するということに対しての中長期的な外交関係をどうするか。それから陛下の気持ちに対してどうするか。こういうものに対しての歯止めが宮内庁としてあるはずですけど、それぞれが機能したと僕は感じるんですね。ただそれをどういう風に決断するかっていう政治決断は時の政権の鳩山さんの仕事だったということかなと思います。


鳩山:おっしゃる通り、中曽根元総理からもご進言がありましたし、小沢さんも相当強くプッシュをされていた。私は天皇陛下の政治利用かどうかという時に、国益になるかどうかというのが一番であって、それを党とか個人の私的な利益のために天皇陛下を使うというのは大変失礼な話だと思う。

でもあの場合は、近い将来トップになる方が「お会いになりたい」というのであれば、お会いさせていただくのが筋じゃないかと。それが国益だという判断をしました。批判されることをするのは、決して自分の政治活動にとってプラスではない。でも結論を出さなきゃいけないということで答えを出したつもりです。私は今でもそれが間違いだったとは思っていないんです。

政治的な意味では私は3回ほど、2人だけで天皇陛下と30分から1時間、話をしました。

角谷:全く2人になるんですか?

鳩山:全く2人です。緊張しますよ(笑)私の方からは、大臣が代わる時に「こういう人事になります」ということをまず申し上げます。

そのことに対する質問というのはほとんどないんですけれども、イスラムのことを色々と質問されたり、領土問題についてなどのお話をされたりする。非常に緊張する場面です。でも今思えば懐かしい緊張感だったなと思います。天皇陛下は今の日本の現状をどうすればいいのか。色んな問題に対して深いお考えをもってらっしゃるなと。私は心から尊敬を申し上げましたね。

令和時代の日本は世界から孤立する恐れも

角谷:さてその平成も終わって令和の時代がやって来ました。平成の思いとこれからの時代に向けて、どんなメッセージがありますか?

鳩山:私は日本が世界の中で孤立してしまいかねないような状況ではないかと思っています。

日本がどの国からは心から信頼されているのかといいますと、日中関係はかなり改善してよかったとは思います。その一方で、例えば一帯一路では「協力しますよ」と握手を求めながら、他方でこの間も奄美大島のお話を伺ったんですけれども、自衛隊の増強、ミサイル基地が出来ていく。与那国島とか石垣島、宮古島にも自衛隊がどんどん増えていく。まさにこれは中国を見ているとしか思えない。中国に対して一方で握手をしながら他方でゲンコツを握っているような状況の時に、習近平首席が安倍首相を心から信頼して打ち解けて話が出来るか。どうもそこまではいっていないような気がします。


韓国はどうかというと、日韓関係、徴用工の問題、レーダー照射事件もありましたけど、そういうことを含めて厳しい環境になっている。この2つの国、あるいは北朝鮮に対してもせっかく南北が和解をし始め、私はこの方向は後戻りしないところまで来たと思っています。にもかかわらず常に安倍首相は北朝鮮に対しても半身の体制でいるように思えてならない。

またロシアもせっかくプーチン大統領と何度も首脳会談をやって、どんどん話が進むかと思いきやゼロに戻ったみたいな感じで。私は4月にクリミアに行く話があったのですが、行かないで日本にいることにしました。例えばクリミア問題に対する日本の誤解という結果として、プーチン大統領を完全に信頼させることが出来ていない。

じゃあ米国は信頼しているかというと、必ずしもそうではなくて。トランプ大統領はビジネスライクな方だから、ビジネスがうまくいけばいいと思っているんでしょうけど、中国の次は日本に狙いを定め始めている。農業と車と。多分、車を取れば農業を捨てるみたいな話にならざるを得ず、必ずしも強い体質ではない日本の農業がかなり厳しい状況に追い込まれる可能性が高い。「信頼しているのにそんなことやるなよ」というものが必ずしも通じる相手ではないのです。

そうすると周辺諸国のどこの国にも真の意味で親友がいないわけですよ。こういう国にしてしまった責任の一端も感じるわけですけど。私はだからこそこういう国々との信頼を令和の時代に築き上げる、令和の「和」に期待しています。

まさに平和な、あるいは協和と言ってもいいのかもしれません。そういう時代を作ってもらって周辺諸国と本当の意味で打ち解けていけるような環境をどうやって作るのか。私は東アジア共同体というのを持論で言っております。必ずしもそういうやり方でなくてもいいんですけど、常に紛争を戦争までいかないで対話と協調で解決しようという信頼関係が出来る国家に仕立てあげていく令和にしていただきたいなと思います。

角谷:もちろんそのためには政治も大事、外交も経済も色々なものが大事だけども、私達民間の付き合いは続きます。だって私達は中国も韓国も台湾も旅行で楽しんでいるし、アジア各国も楽しんでいるわけですよね。外国からもたくさんのアジアのみなさんが日本に来てくれている。そういう意味では少なくとも国民の信頼関係は意外とあるんじゃないかと思っています。政治や経済の偉い人達だけが利害関係で揉めているというのはちょっと不思議な感じがしますね。

鳩山:もったいないんですよね。

ネトウヨと呼ばれるみなさんに感謝

角谷:最後に1つ。鳩山さんはTwitterを始めネットで積極的に発言されている印象があります。ネットに対してはどんな思いがありますか?

鳩山:私はTwitter、Facebookをやっていて必要に応じて自分のメッセージを出すツールにしています。当然色々な方がおります。いわゆるネトウヨと呼ばれる方々からいつも大変強い反応をいただいて、感謝をしておるわけでありますが。

どんな意見があっても、それはそれで良いとしてもやっぱり自分は自分なりの意思を示す1つのツールとして。特に若い人たちにメッセージを伝えることが出来ると思っているので、これからも愛用させていただきたいと考えております。LINEも含めてですけどね(笑)


あわせて読みたい

「鳩山由紀夫」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    「親日本」が韓国に与えた納得感

    WEDGE Infinity

  2. 2

    GSOMIA破棄か 感情で判断の韓国

    ヒロ

  3. 3

    暴走事故の高齢者 資産移動防げ

    篠田 英朗

  4. 4

    なぜ匿名? 二宮結婚報道の異常さ

    山下雄平

  5. 5

    二宮のお相手 さんまが「魔性」

    SmartFLASH

  6. 6

    剛力破局 深田恭子に泣いて相談

    NEWSポストセブン

  7. 7

    日本と同じく滅びゆくアジアの国

    永江一石

  8. 8

    Apple製品にも影響?LGの大量廃棄

    tenten99

  9. 9

    千原せいじに元AV女優の新愛人

    文春オンライン

  10. 10

    前澤友作氏 人妻と脅迫トラブル

    文春オンライン

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。