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令和の時代と科学技術

今から30年前、 昭和から平成への改元は、昭和天皇の崩御という悲しみの中で慌ただしく迎えたが、令和への改元は喜びの中で祝うことが出来た。数年前から周到に準備して来たとはいえ、202年ぶりの国家行事で期待と不安が交錯したが、予想以上にお祝いムードが広がり、安堵している。

令和の時代も豊かで平和であることを誰しもが祈っているが、現実はなかなかそうは行かないようだ。緊迫する東アジア情勢もさることながら、我が国は少子高齢化に加え、顕著な人口減少という今まで経験したことのない現象に直面するからだ。恒常的なデフレ圧力、生産年齢人口の減少による生産力の低下、ライフラインを含めたインフラの維持困難、限界集落や空き家の激増など、数え挙げればきりがないほどの困難が予想される。

このような人口減少の圧力を少しでも和らげるためには、社会保障制度の抜本改革や、働くひとの確保、AIやIOTを駆使して生産性の向上や生活の質をたかめること、「ソサエティ5.0」を実現するための研究開発やイノベーションを強力に推進しなければならない。特に科学技術政策の課題は、イノベーションや応用分野のスピード化とともに、その種を生み出す基礎研究の国際水準を高度に保たなければならないが、現在の相対的水準は右肩下がりで危機的状況にある。

この問題を解決するため、昨年秋から自民党科学技術イノベーション推進調査会の中に基本問題小委員会を設置し、基礎研究の現状と改善策を早急に取りまとめた。まずは来年度の経済財政運営の基本方針(骨太方針)や予算編成に反映させる予定である。小委員会においては、これまでノーベル賞を受賞された科学者5名をはじめ将来の候補者や、科学技術行政のキーパーソン、研究支援に熱心な企業家、若手研究者からのヒアリングを実施した。

小委員会の運営と取りまとめにあたっては、私のパートナーで前参議院議員・畑恵がコーディネーター兼アドバイザーとして大いに力を発揮してくれた。参議院議員時代に科学技術政策を推進し、御茶ノ水女子大大学院にて科学技術政策に関する博士論文を著して学術博士となった。特にノーベル賞科学者などの招請は、彼女の人脈の広さに寄るところ大であった。この難しい問題に対して大いなる突破力を持って、共同作業に当たってくれたことに感謝している。

取りまとめの主な内容は、次の通りである。
1.我が国の基礎研究の現状は、引用論文数の相対的低下や博士号取得者の減少など、先進国の中でも最低水準にあり、これを克服しなければ、日本の科学技術の将来はない。
2.研究分野における適切な評価者(目利き)を確保するとともに、評価者のキャリアパスを整備すべきである。
3.大型プロジェクト研究においては、中間・事後評価をきちんと行い、納税者に対して透明性を確保すべきである。
4.任期なし雇用の拡大などで、将来を担う若手研究者や女性研究者を積極的に支援すべきである。
5.科研費補助金の採択率向上や一層の基金化を目指し、利用しやすい制度にすべきである。
6.国立大学の効率的経営を前提として、運営費交付金を十分確保し、基盤的研究に必要な資金確保に努めるべきである。
7.民間企業からの研究資金には間接経費を義務付けるとともに、寄付税制を大幅に改善すべきである。
8.URA(大学リサーチ・アドミニストレーター)などの研究支援人材を育成・確保すべきである。
9.学校教育において「科学する心」を積極的に育成すべきである。
10.我が国の科学技術政策を戦略的・一元的に決定する体制を再構築すべきである。
11.日本の科学技術は明治維新以来、種を蒔くよりも果実を収穫することを重視してきた。しかしこれからの厳しい時代を生き抜くためには、種を蒔きそれを育てることに力を注がなければならない。

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