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「PDCA」は日本企業を停滞させた元凶だ

■脱PDCA、日本経済再興の処方箋

「OODA(ウーダ)ループ」という戦略理論をご存じだろうか? 孫子の兵法や宮本武蔵の『五輪書』にも学んだ米空軍のジョン・ボイド大佐が朝鮮戦争のとき、1機の戦闘機で数十機の敵機を撃墜する戦果を挙げ、その戦術を理論化したものだ。米国では、経営大学院でも注目され、現在では多くの企業が経営戦略に採用するなど、民間にも広く普及している。「たとえば、選挙戦でも役立てられていて、トランプ氏が大統領選で勝利したのも、ウーダが奏功したからだといわれています」と、著者で経営コンサルタントの入江仁之さんは明かす。

入江仁之氏

ウーダは、「Observe(見る)」「Orient(わかる)」「Decide(決める)」「Act(動く)」「Loop(見直す)」という思考プロセスからなる。目指すべきビジョンをまず描き、それを実現するための戦略を、状況を見ながら組み立て、行動する。しかし、1度決めたビジョンや戦略も、環境の変化に応じて見直す。だから、想定外の事態にも対応できる。

「戦況は時々刻々と変化していきます。ボイド大佐は、最前線の部隊が敵の出方に応じて、迅速に意思決定したほうが得策だと考えたのです」と入江さん。

入江さんは、大手外資系コンサルティングファームなどを経て独立。トヨタ自動車、パナソニック、日立製作所などでコンサルティングを行った実績を持つ。以前、米国IT企業であるシスコシステムズの戦略担当部門マネージングディレクターを務めていたとき、「ウーダの有効性に目を見張りました」と振り返る。

「ウーダは、シリコンバレーのベンチャーが、経営戦略の要としていました。ところが、当時の日本では、軍事の戦略理論としてしか見ておらず、日本企業にも導入を進める必要があると考えました」

入江仁之『「すぐ決まる組織」のつくり方』(フォレスト出版)

日本企業の間では、PDCAサイクルという戦略理論が浸透しているが、入江さんは、「それこそが、日本経済の停滞をもたらした元凶です」と指摘する。

「PDCAは、工業製品の品質管理などで有効なケースもあります。しかし、企業全体の経営戦略としては、適していません。先に決められたプラン(P)に縛られて、環境の変化に対応できなくなり、現場の考える機会や意欲、能力も奪ってしまうからです」

ウーダを取り入れた日本企業のなかには、3カ月間で生産性が50%以上もアップしたケースもある。そうしたウーダをわかりやすく解説したのが同書だ。入江さんは、「日本経済の再興の処方箋になれば」と意気込む。

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入江仁之

アイ&カンパニー・ジャパン代表としてOODAループなど先進的な経営モデルの提言と導入を主導。これまでに延べ1万人以上がOODAループを体験。

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(ジャーナリスト 野澤 正毅 撮影=宇佐見利明)

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