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「テロの季節」が迫るアジア―イスラーム過激派に狙われやすい国とは

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  • 5月5日から6月4日までのラマダーン(断食月)は、イスラーム過激派によるテロが活発になる時期にあたる
  • イスラーム過激派のテロはアジアに広がりつつあるが、とりわけフィリピンでは「テロの本場」並みにテロが発生している
  • 今年のラマダーンはISとアルカイダがテロ活動を活発化させるタイミングにあたるため、特に注意が必要

 それまでイスラーム過激派のテロがほとんど発生していなかったスリランカで200人以上の犠牲者を出す爆破テロ事件が発生したことから分かるように、いまやアジアのどの国でイスラーム過激派のテロが発生してもおかしくない。しかし、近年のデータを踏まえて、あえてテロの可能性が高いアジアの国をあげるとすれば、日本人観光客が年間約58万人(2017年)訪れるフィリピンがあげられる。

テロの季節

 5月5日から始まるイスラーム暦のラマダーン(断食月)は、イスラーム過激派にとって「テロの季節」とも呼べる

 ラマダーンとはイスラーム暦の12カ月のうちの第9月だが、イスラーム暦が太陰暦であるため1年間で11日ほどずれる。例えば去年2018年は5月16日~6月14日だったが、今年は5月5日~6月4日になっている。

 断食は信仰告白やメッカ巡礼などとともにムスリムの義務で、この期間中は妊婦や病人を除き、日中の飲食が禁じられている。この苦行は本来、貧しい人々の苦労を思い知るためのものだが、結果的にこの期間は宗教意識が強くなりやすく、イスラーム過激派によるテロも発生しやすい。

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 全世界での1年間に発生するテロ事件のうちラマダーン期間中のものは約10%を占め、12カ月の平均を上回る。しかも事件発生数、死者数ともに、その割合は長期的に増加傾向を示している。

「本場」以外への拡散

 これに加えて注意すべきは、近年ではラマダーン期間中のテロ事件が「イスラーム過激派の本場」中東・北アフリカや、南アジアのアフガニスタン、パキスタン以外にも拡散していることだ。

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 まず、全世界での年間を通じたテロ発生状況をみてみよう。「イスラーム国」(IS)が建国を宣言した2014年をピークに急増したテロ発生件数や死者数は、その後緩やかに減少してきたものの、IS建国宣言以前より高い水準で推移している。

 このうち、ラマダーン期間中に限定したテロ事件の発生件数が全世界に占める割合を地域ごとに検討すると、2014年以降に「本場」以外での割合が増えたことが分かる。例えば、2013年段階で中東・北アフリカ(約46%)とアフガニスタン、パキスタン(約27%)の合計が全体の70%を上回っていたのに対して、この期間のテロ事件の発生件数がほぼ同じだった2017年のそれらは約38%、約17%でおよそ55%にとどまった。

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 その裏返しで、この時期にはサハラ以南アフリカ、インドやバングラデシュといった南アジアなど、イスラーム世界からみた「周辺部」にあたり、従来は「イスラーム過激派の本場」でなかった土地でテロが目立つようになった。その一因は、台頭しつつあったISに支持や忠誠を表明する団体が各地に現れたことによる。

東南アジアの多様性

 そのなかにあって、東南アジアはやや様相が異なる。

 東南アジアにも国民の多くをムスリムが占める国はあり、なかでもインドネシアやマレーシアからはISに参加するため、それぞれ約800人、95~154人がシリアに渡っている(国際過激化研究センター)。

 しかし、東南アジアでのテロ事件は、ラマダーン期間中と12カ月平均を比較して大きな差はない。例えば、2017年段階での東南アジアのテロ事件は12カ月平均で85件だったが、ラマダーン期間中のものは83件だった。

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 この背景には、インドネシア当局やマレーシア当局の取り締まりが厳格であることだけでなく、東南アジアではイスラーム過激派以外のテロも目立つことがあげられる。ミャンマーの仏教ナショナリストやタイの少数民族武装組織は、その代表格だ。

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 ただし、その一方で、イスラーム過激派の活動が目立つ国もある。2017年のラマダーン期間中に限ってみれば、インドネシアやマレーシアでのテロ事件はいずれもゼロだったのに対して、フィリピンでは62件発生していた。事件数だけをみるなら、これはパキスタンを上回る水準だ。

 フィリピンは人口の90%以上をキリスト教徒が占めるが、東南アジアでのイスラーム過激派によるテロの一大中心地でもあることが分かる。

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