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経団連解体論が欲しかった

今日の日経朝刊1面左の特集コラムに、経団連会長、中西氏の日本経済への抱負が述べられていた。「さすが」と言いたかったのだが、寝ぼけた箇所がいくつかあった。

日本経済がについて、「過去に固執したらロクなことがない」、「次に挑戦する分野をどのように創っていくのか」の発想がないといけないと述べているのは、そのとおりである。

では、具体的にどうするのか。この点で、認識と知恵が偏っているか不足している。むしろ過去と目先にとらわれているように思えた。

僕は最近、経営はワンマンが理想だと思っている。中西氏の出身母体である日立も、完全にワンマンとはいかないものの、一時期潰れそうになったからワンマン的な大鉈を振るう経営者を戴くことができたのではないか。

ワンマンな経営は意思決定が大胆で早くなれる。振り返ると1980年代以降の日本企業は秀才的幹部を多くかかえ、官僚的になり、衆愚的とも表現していい経営体制に陥った。

大過ない堅実な経営を目指したつもりなのだが、時には秀才の想定になかった落とし穴(不動産バブルや財テクが象徴)にはまり、ある時には鳩首会議をしているうちに意思決定が遅れ、ようやく決定した設備投資が余計なものになったり、意思決定できなかったためにグローバルな競争から脱落したりした。やれたことといえば、係長の権限の範囲であるコスト削減経営のみという企業も多かった。

もちろんワンマン的経営には暴走の危険性がある。その経営のナビゲーションになり、ブレーキになる組織が当然必要である。優秀かつ中立的なスタッフやアドバイザーをいかに抱えるのか。社外の情報をいかに収集し、活用するのか。この点が重要である。

この意味で、中西氏には、「企業組織の抜本的改革」を述べてもらいたかった。経団連として通年採用を打ち出したのは、組織の抜本的改革という意識があったからではないのか。それとも、大学生を早い段階から採用活動に巻き込みたかったからにすぎないのか。

そもそも論からすれば、今の経団連という組織自身が過去への固執だと思っている。企業内での「上がり」を経験した経営者が、日本的企業序列の中で次の「上がり」、つまり経団連の会長を目指す。その「上がり」の役割として、政府に要望を「上申し」という、日本社会の秩序維持というか、階級を前提としたというか、日本という井の中の仲良しクラブというか、そんな活動方針こそ経団連のコアである。それこそ、中西氏の言葉にある「ご破算」の最初の対象だろうと思っている。

教育に関して、STEAM(科学、技術、工学、芸術、数学)教育を提唱しているが、これも役所の提唱(そもそもはコンサル的駄洒落キャッチ)を受け売りしているだけで、経営者として考えたものではないだろう。経営者として自分で考えたものなら、もっと別の教育改革論が出てきて然るべきである。この点を議論すると長くなるので止めるが、要点として、多くの教育が重複している一方で、必要な教育が抜け落ちていることだけを指摘しておく。

特集の最後でエネルギー問題をとり上げ、原子力発電を打ち出したのは、ある意味で失笑ものだろう。「化石燃料を使い切ったあと」を根拠にしているのは「そうかな」と思うものの、日立の得意先を含めた我田引水の感を否めない。

今のままの原発であれば、国民感情からして新たな建設は到底無理、既存の設備はいずれ老朽化し、原発廃止である。もっと現実を直視し、中期的に新たなエネルギー源に力を注ぐべきだろう。「化石燃料を使い切ったあと」を根拠に原発を復活させたいのなら、それこそ原子力発電のための抜本的な基礎技術研究を提唱すべきである。専門家軍団をかかえた日立のトップ経験者の発言として特集で述べていることは矮小すぎるし、繰り返しになるが、我田引水と思われても仕方ない。

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