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大相撲とヤクザの関係 その繋がりと背景の歴史


元大関の琴光喜(時事通信フォト)

 昨年、日大アメフト事件をきっかけにスポーツ団体をめぐるスキャンダルが次々と噴出した。そのなかには、反社会勢力との関係が取り沙汰される内容も含まれている。ヤクザに詳しいノンフィクション作家の溝口敦氏と、フリーライターの鈴木智彦氏が、大相撲とヤクザが接点を持つ理由について語り合った。2人は、当サイトの対談で五輪とヤクザの関連について言及していた。

鈴木:五輪競技ではないけども、相撲ですね。

溝口:力士上がりのヤクザは多いですからね、昔から。

鈴木:ヤクザが自分の息子を親方に「面倒見てください」ってお願いして相撲部屋に入れるケースもある。ところが、それが続かず結局ヤクザになってしまうという(苦笑)。

溝口:相撲は江戸時代以来、興行の扱いで、ヤクザが主催して神社の境内で行なわれていた。そこからの歴史があるんです。

鈴木:昔は神社の境内で博奕をやっていて、その横で相撲の興行を開いていた。ちょうどラスベガスのカジノの横でボクシングの世界戦やっているのと同じで。

溝口:初期の山口組なんかでも、相撲の一座を連れてきて興行を打つ、というのは一つの資金源だった。ほんの最近まで、地方巡業でのトラブル抑止のために地元の有力ヤクザにお願いする、いわゆる「グズリ抑え」はあったと思う。

鈴木:力士の後援会をやっているヤクザは多かったですよね。ヤクザにとっても、有名な力士と仲が良ければステータスになる。だから後援会をやって、事務所にも手形を掲げたりする。それが暴力団の威光にもつながるわけです。

溝口:力士の側としても、カネはもらえるし、トラブルも処理してもらえる。モンゴルの横綱が大阪のクラブで騒ぎを起こして、山口組系太田興業が仲裁して話を付けたということもありました。

鈴木:ちょっと前までは宴会にも来ていました。俺がよく話していたのは大関で、ヤクザの宴会で俺の知り合いの娘と仲良くカレーを分け合って食べたりしていた。「俺はもともとこういうキャラだから警察に見つかっても何ともないっす」って言っていました(笑い)。

溝口:力士とヤクザは双方にメリットがあったんです。

鈴木:ただ、元大関の琴光喜は野球賭博に嵌まって暴力団関係者から口止め料1億円と脅されてしまった。ヤクザとの関係は一歩踏み外せば命取りになります。

●みぞぐち・あつし/1942年東京浅草生まれ。早稲田大学政経学部卒。『食肉の帝王』で講談社ノンフィクション賞を受賞。『暴力団』、『山口組三国志 織田絆誠という男』など著書多数。

●すずき・ともひこ/1966年北海道札幌生まれ。『実話時代』の編集を経てフリーへ。『潜入ルポ ヤクザの修羅場』など著書多数。近著に『サカナとヤクザ』、『昭和のヤバいヤクザ』。

※週刊ポスト2019年5月3・10日号

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