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京都企業に見る株式投資の真髄

2014年、京都企業の経営者に来てもらい、大学で90分間喋ってもらった。京都を代表する5社の会長や社長だった。その話から、京都企業の優れた経営が理解できた。その後、僕は京都企業ウォッチャーとなっている。では京都企業の株式に投資すれば、報いられるのか。

結論を先に示せば、過去を分析するかぎり、京都企業に投資すれば、普通の上場企業に投資するよりも報われた。
京都企業(上場企業)の特徴は製造業の比率が高いことにある。ノーベル賞社員を生み出した島津製作所に象徴されるように、都だった(今でも少なからずの住人が都だと思っている)京都だから、高い製造技術が伝承されてきた。その流れを受け継ぎ、上場企業が生まれている。

大阪と異なり、物真似で稼いでも尊敬されないとの意識、すなわち高いプライドがある。このため、製品の独自性が高く、競争が少ないため、利益率が高い。安売りして稼ごうとは思っていない。
京都のプライドは「東京パッシング」という一面をもたらす。京都企業の多くは京都に本社を置いたままで、東京に移そうとしない。グローバルに事業展開しているから、東京に本社を移す必要性に乏しい。実際、海外での売上高比率は7割近くに達している。日本の他の製造業は5割をようやく超えた程度である。

東京の大企業に製品を納入しようとしたところ、サラリーマン社員が応対し、氏素性から質問が始まった。それで嫌になり、海外に飛び出した創業者が複数いる。プライドが高いので、東京の大企業の、そういう肝っ玉の小ささが許せないのだろう。
独立独歩のスタンスが強く、政府におもねらない。当然、規制に頼って生きようとは思っていない。実力主義である。ただし、京都企業同士は仲が良く、情報交換も盛んなようだ。緩い結びつきだろう。

自己資本比率が高く、現預金(いつでも現金に替えられる金融資産を含む)の保有も多い。政府やメディアの論調からすれば、無駄な資産を抱えていることになる。配当率を高め、自己株を取得して現金を投資家に流出させれば、自己資本利益率(流行りのROE)がもっと上昇するだろう。

それでも京都企業の多くは言われるがままには動かない。というのも、銀行に頼りたくないからである。ベンチャーだった頃の記憶だろうか。それとも、設備投資や企業買収のとき、銀行に資金繰りの相談をすることなく、即座に意思決定できるからだろうか。いずれにせよ、政府やメディアの言動を無視している。

そんな京都企業のうち、東証第一部上場している製造業について、他の東証第一部上場の製造業比較してみた。上で書いたように、売上高当たりの営業利益率の高さ、海外売上高比率の高さが目立つ。総資産当たりの営業利益率も高い。一方、ROEは多少だが見劣りする。ROEに関して、京都企業の「銀行に頼らない」との意地を念頭に置くと、京都企業の長所が目立つ。

投資収益率(配当込み)だが、例えばアベノミクスが始まった2013年1月からこの3月までを計算すると、京都企業は年率15.8%だった。他の上場製造業は11.0%、東証一部全体は(つまり非製造業を含めると)12.8%だった。
いくつか投資スタートの時期を違えて計算したが、同じ結果だった(他の上場製造業と東証一部全体の投資収益率の大小関係は変化するが)。

結論は、最初に書いたことの繰り返しだが、投資家にとって高く評価できる京都企業の株式は、高い投資収益で報いてくれた。投資家にとって期待通りだったとも言える。少なくとも過去はそうだった。
将来の投資収益率はどうなのか、投資家自身が考えないといけない。また、京都企業(東証第一部、製造業)といっても30社近くある。小口資金の場合、企業を選ばないといけない。投資家のセンスが問われている。

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