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いい大人が"いきなり英会話学校"は逆効果

記憶力が衰える年齢になってからスタートしても、英語力は伸びる。数多くの50代の英語力アップを実現してきたプロは「50代には50代の勉強法がある」とアドバイスする。

■「最初から英会話スクール」は得策ではない

記憶力が衰える年齢になってから英語を学ぶのは、至難の業のようだが、「そんなことはない」とMr.Evineこと恵比須大輔さんは断言する。主に社会人を対象にした「やりなおし英語JUKU」を主宰する恵比須さんは、いわば英語につまずいた経験のある人を教えるプロ。

「英語は単純に記憶力だけで学ぶものではありません。確かに年をとれば瞬発力はなくなりますが、大人には大人の学びの要領があります」(恵比須さん、以下同)

英語を勉強するとなると、まず浮かぶのが英会話スクールという選択。しかし、英語が苦手で、一から学ぶ場合には、あまりお勧めはできないと恵比須さんは言う。

「英会話スクールは、ある程度英語が話せるようになってから通うほうが効果的です。お金を払って、英語で話す経験をし、いろいろな表現を学ぶ場所と考えたほうがいい」

「やりなおし英語JUKU」では、日本人はもちろん、ネーティブのスタッフも中学の英文法を中心に日本語で教える。いわば、こてこての学習塾だ。

とはいえ、いくら苦手とはいっても、中学英語からやり直さなければいけないのか?

「たとえばセンター試験の英語の問題は難しいというイメージがあるでしょう? でも、中学英語がしっかり身についていれば、ほぼ80点は取れるのです」(円グラフ参照)


■文法を日常に落とし込めるのは「50代の特権」

英語ができるようになった人ほど、英文法が大事な鍵だと気づくという。

中学英文法を30日でやり直す『Mr.Evineの中学英文法を修了するドリル2』

「多くの人が、英文法が中途半端な状態で英会話へと走ってしまいますが、中学の英文法はネーティブスピーカーたちの普段の会話のコアです。コアがぐらついていると、英語力を身につけようと努力しても水の泡になってしまいます」

文法を疎かにするのは、いい加減な基礎工事の上に家を建てるようなもの。いくら勉強しても、応用が利かないから、丸暗記した英語しか話せない。聞き取りも、語順(文構造)の理解ができていないから、次にくる言葉が予測できず、行き詰まる。

「でも、中学生のようにゼロからではないので、英文法が苦手だった人でも大丈夫。ポイントは文法を1つ学んだら、自分ならどういう場面でこの文法を使うかを考えること」

中学で比較級を習ったときは「ジョンはトムよりも背が高い」といった例文だったが、これを自分の仕事、たとえば、今期と前期の売り上げの比較といった、具体的なものに落とし込んで実践することが大切なのだ。

「“How are you?”のような表現でも文法がわかっていれば、“How was your interview?”(面接はどうだった?)とか、“How is your shoulder?”(肩の調子はどう?)と、いろいろ活用できます。でも、日本人は“What's the condition of your shoulder?”みたいな文を作ってしまいがち。それでも通じますが、Howを使ったほうが簡単だし一般的です。

『何色が好きですか?』と尋ねるときに“What do you like color?”とやってしまう人がいます。これも、疑問(形容)詞の後には名詞がくるという文法を知っていれば、What colorがまずきて、do you like? となるとわかります」

進行形は「~しているところ」と覚えている人は多い。でも、それだけでは文法の学習としては浅いのだ。

「進行形は、一時的な習慣化されていない状況に使うものです。“It's raining.”というのも、雨はずっと降り続くわけではないと知っているからです。『ハリー・ポッター』を今、目の前ではなく、家で読んでいる場合でも“This week, I'm reading Harry Potter.”と言っていい。

文法を日常に紐付けした形に落とし込んでいくのは、若者より50代のほうが、社会的経験があるぶんイメージしやすい。経験を生かせるのは50代の特権、若い人にはできません」

■英語を学ぶ教材の選び方と使い方

では、どんな教材を選べばいいのだろう。書店には英語を学ぶテキストが溢れていて、チョイスに迷う。特効薬みたいな教材があるはずだと期待して選んでは「違う、もっといいものがあるはずだ」の繰り返し。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/Koji_Ishii)

「どれがいいかわからないと、ベストセラーに飛びつきがちですが、一から学ぶのなら、ロングセラーのオーソドックスなものを選ぶことです。

教材は道具。どう使いたいのか、自分の勉強スタイルに合った装丁かどうかも大事。私の作ったテキストはB5サイズ。普通の教材に比べると大きいでしょう? 持ち運びには不便。そのぶん、家でしっかりやってくださいという思いからです」

ある単元でつかえても、そこで止まらずに前へ進むのも教材を使うコツだと恵比須さん。先に進むことで、わからなかったことが「あ、そうか」と理解できることも多いからだ。

そして、同じ教材を最低5回は繰り返し取り組むこと。1回クリアしたら終わりではなく、書いてある内容を説明できるようになるまで復習する。だから解答は教材に書き込まずにノートや紙に書いたほうがいい。

では、話す練習はどうだろう。

「日本人の性格でしょうが、粗相のないようにと完璧を求めすぎ。第2言語ですから、文法に則っていれば、少々間違っていても相手も推測してわかってくれます。It is important for us to~とペラペラじゃなくて、たどたどしくIt is important…ah…for us to…ah…でもいい。ただ『イットイズ…えー…インポータント』ではダメです。英語はアクセント、イントネーション、音の繋がりが大切なので、これらも文法と一緒に練習しましょう」

文法が身につけば、リスニングの力も飛躍的にアップする。

「文型とは、英語の情報発信方法を端的に示したものです。語順が頭に入っていれば、次にこういうものがくるだろうとわかってくる。すると耳への入り方がまったく違います。

リスニング上達のポイントは、文法的解釈ができているか。そして、連結音や脱落音といった音声変化が理解できているかの2点です。よく『先生、何回聴いてもこの音が聞き取れません』と質問があります。脱落音だから、聞こえないのではなく、言っていないのですが、言っていないのに、なぜわかるのかといえば、ネーティブは音だけで理解しているのではなく、無意識に文法的解釈をしているからです」

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恵比須大輔(えびす・だいすけ)

兵庫県神戸市生まれ。「やりなおし英語JUKU」と「Evineの英語塾」を関西で主宰。初心者を対象とした「話せる英文法」指導に従事している。徹底的に中学英文法を学ぶ「Mr.Evine」シリーズは、英語をやり直したい人の定番テキスト。

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■▼50代の陥りがちなダメな勉強法


(フリー編集者 遠藤 成 写真=iStock.com)

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