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国会議員の代理投票、女性の権利で焦点(西谷玲)

今年は統一地方選と参院選の年。国会は統計不正問題で野党が与党を追及はしているが、与党で3分の2を握っているために予算審議はさくさく進み、年度内成立はまず確実な情勢だ。

法改正とは少し違うが、若手議員を中心に進めようとしているのが国会改革だ。小泉進次郎氏が中心のプロジェクトチーム(PT)が取り組んでいる。焦点の一つが代理投票の可否だ。たとえば議員の出産と国会が重なったらどうするか。その解決策として代理投票がある。すでにスペインでは2012年から導入されている。

そもそも国会では女性の数が少ない。だから、たとえば国会の女性トイレの数は男性よりもかなり少ない。20世紀の最後の頃まで、男性トイレを「ベニヤ板」のようなもので区切って女性トイレとして使っており、唖然としたものだ。あんな状況下で女性の権利や活躍といった議論が出て来ようがないという気にさせられた。

妊娠、出産するような年齢の女性国会議員がぽつぽつ登場するようになったのは21世紀になってからである。国会に保育所も作られ(国会議員だからといって入所できるわけではないが)、イクメン議連やパパママ議連なども結成された。

現在も自民党の加藤鮎子衆議院議員(父は故加藤紘一氏)が第2子を妊娠中だ。目立ってきたおなかを抱えて国会内を歩いている。ああいう姿が国会内で見られるだけでも意味があるように思う。政治とは日常の風景であり、特殊な世界ではないのだということが感じられるからだ。

しかし、代理投票実現への道はなかなか厳しそうである。反対派の根拠は、憲法56条第2項の「両議院の議事は、(中略)出席議員の過半数でこれを決し」という記述だ。森山裕自民党国会対策委員長は明確に慎重姿勢を示しているし、自民党のベテラン議員の間では反対・慎重論が強い。

なぜなのだろう。PTでは対象を妊娠中や出産直後の女性に限定している。国会議員たるもの、国会議事堂に出てきてこそ意味がある、という原則論はわかる。しかし、妊娠で体調を崩すこともあるだろうし、出産した直後だったらその国会議員の職務をしなくてもいいというのだろうか。最初から議論もしない、という姿勢ではあまりに世の中の潮流から外れているといえないだろうか。

冒頭に書いたように今年は統一地方選の年である。日本はまだ地方議会の2割に女性が一人もいない。そんな状況を変えようと、立候補の準備を進めている女性たちがいる。そういう女性たちも、妊娠、出産したらどうしろというのだろう。子どもを連れて議場に入り、厳重注意を受けた女性市議もいた。

当事者である加藤鮎子氏は、当事者であるがゆえに動きにくそうだが、ここは何といわれても後に続く女性のため、ということで自分の身をもって、代理投票の制度が必要なのだということを国会内外に強く訴えてほしい。少子高齢化の今、国会議員と子育てを両立する議員こそが先頭にたって政策を作ってもらいたいのだ。

その姿こそが議論を巻き起こし、共感あるいは批判を呼ぶだろう。そういうことがないと、この国の政治の土壌はなかなか変わらない。情けないことではあるが。

(にしたに れい・ジャーナリスト、2019年3月8日号)

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