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公立病院、統合・再編へ 厚労省、医療費抑制狙い 正しいんだけど現在の社会情勢を加味しないと机上の空論

共同通信です。あまり他の新聞等は追随していません。
公立病院、統合・再編へ 厚労省、医療費抑制狙い
>国や自治体の公立病院、日赤などの公的病院について、厚生労働省は24日、手術件数などを分析し治療実績が乏しい場合は統合や再編を促すことを決めた。夏にも具体的な病院名を公表し、地域での議論を求める。
まあこの厚労省の発言がどこまで正確かわかりませんが、今手術をしない病院はなかなか利益が出ず、簡単には儲からなくなっていることは事実です。そして手術数だけで病院の優越を決めるなんて愚の骨頂なんですが、病床利用率なども加味されているんでしょう。でも日赤まで組み込むなんて凄い時代です。
>分散している医療機能を集約し、病院ベッド数を減らして医療費を抑制する狙い。効率的な体制にして医師の働き方改革につなげる目的もある。ただ、対象病院は縮小や廃止となる可能性があるため、反発も招きそうだ。
病床数を減らせ!これは夕張で有名な森田医師がよく言っている内容です。(最近は一部正しいことだと思っています。)例えばある病院で産婦人科がなくなることがニュースになります。ただ10km以内に他県ですが大きな周産期センターがあるのでこの病院の分娩が減ってもおそらくそこまで実臨床としては問題ありません。この意味ではこの病床を減らすことは多分正解です。ただ病床が減れば病院全体としては利益が出ないため潰れます。住民たちは少しでも近いところに病院がないとと心配します。そう安心と安全、感情の問題になります。

またこの新聞記事にあるこの部分
>同病院は、生活保護受給世帯などを対象に市が出産費用を助成する「助産制度」の指定施設。市内には他に指定施設がないため、休止の間、制度利用者は他市の指定病院で出産することになるという。
生活保護患者の受け入れは病院の自由です。このようなある意味いびつな社会的な対応が実際の現場では問題になっています。また生活保護はまだ受けていない、そして費用を払えない、いや今後生活できそうもない患者さんを受け入れ、その行政的対応を入院後病院が行うなんてことが実際ではよく起きています。

支払い能力がない患者を引き受けると病院は医療費を払ってもらえません。この医療費を請求する作業を行わなければいけません。本来生活保護申請作業は行政の仕事ですが、行政の対応も決してすばやいものではないため、入院と同時に病院が作業を一部肩代わりしていることがよくあります。個別に難しくある意味とても面倒な仕事で時間と手間がかかるのですが、その事務作業等の費用を病院は請求できません。そう医療費は払ってもらうために病院は行政の仕事の肩代わりというボランティアをしているのです。

また潰そうとしている病院には、DPCで困った患者の受け皿という役割もあります。退院はさせられない、でも入院させておくと他の治療が必要な患者を入れられない。そして入院日数が伸びると病院の利益も減る、だから転院させたい。でも受け入れる病院がないため退院させれない。いわゆるボトルネック現象は少なくとも私が勤務した急性期病院全てで起きていた事実です。

そのような小手先の対応を急性期の病院で行うことが本当に望ましいのか。そして施設では受け入れられない、でも病院で受け入れると利益が出ない、このような患者がたくさんいる現状で具体策を示さずただ病院を潰すだけでいいのか。本当に厚労省の現場に丸投げという仕事ぶりはまあいつものことなのですが、日本の医療が混乱するだけでしょうに。あの藤掛病院で書いた事実は何一つ変わっていません。

一番大切なことは、その地域においてどのような医療を行うことがいいのか、そしてそれに必要なベッド数は、そして施設の数は、それをある程度余裕、安全域を持たせて決めていくことが必要なこと、いわゆる地域医療構想の確立です。でもなんの教科書もありません。本当に難しいものとなります。小さな地域ごとにその特性を考え個別にやっていくしかありません。

今は利益だけで(まあそれしか簡単な指標がないからですが)やっていこうという厚労省。まあいつもながら現在の社会情勢を加味しない机上の空論としか思えません。

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