- 2019年04月28日 15:21
林業振興の金が都市にばらまかれる不可解
2/2林業ゼロの自治体の使い道
では、林業地帯を持っていない都会の自治体では、森林環境譲与税をどう使えばよいのか。大きく分けると二つある。
一つは、木材利用の促進や普及啓発。公共施設の建築に木材を使って林業を支援する(まさか外材は使わないだろう?)とか、都市の住民に林業の大切さを知ってもらうイベントに使いなさいという安直な発想である。
もう一つは、連携する地方の自治体の森林整備のために回すというもの。仲のよい山間地域の自治体に回して上げなさい、という何のために配分したのかわからない使い道。
たとえば、東京23区はいずれも林業ゼロだが、全部で約3億5000万円の金が下りてくる。その中で港区は、木材生産地の市町村と連携して木質化アドバイザーを新たに設け、開発事業者に内外装に木材活用を指導する事業に使うという。
千代田区、中央区、新宿区、中野区、板橋区は他の自治体の森林整備に当てるそうだ。ただ金額が少ない自治体では、基金を設けて次年度に繰り越すところが多そうだ。ある程度たまってから使おうというわけか。
森林林業に限定した使い道というのは意外と難しい。すでに各都道府県にある県版の森林環境税でも、使い切れずに苦慮している。長野県では森林組合の不正事件が起きたこともあり厳しく用途をチェックした結果、翌年度への繰り越し金が5億円を超えるほど膨らんでいる。
そうでなくても森林を健全にするどころか破壊しているかのような間伐・皆伐が横行している林業地に、もっと伐りなさいとお金を回すのだろうか。
新税を設ける際の説明では、間伐などの林業作業、林業人材の育成・確保、木材利用の促進、普及啓発、その他……であったが、真面目に考えれば使い道は非常に狭いし、なんでも普及啓発、あるいはその他に含めたら使い放題になる。なお都道府県の使い道については、「市町村の支援等に関する費用」とあるだけ。
とくに横浜市は、神奈川県版の「水源環境保全税」と市独自の「横浜みどり税」があるのだが、それらの使い道でも困っている。市内で使い切れずに隣接自治体に支出する有り様だ。そこに国からも下りてくるとなると、三重に課税されて三重の目的限定の財源ができたことになる。
不誠実な「見えない税金」
思うに、この税金はスタート前にほとんど破綻しているのではなかろうか。
各住民の所得を無視して住民税均等割に上乗せする課税というのは、国税として不可解だ。それが可能なら、そのうち国防費とか社会福祉費用などを名目に定額の徴税が行われかねない。しかも目的税ぽく徴収しつつも、譲与税方式で使い道は自分で考えろとばかりに市町村に渡すというのも理屈が合わない。
そして明らかに新税による増税なのに、住民税の上乗せの形で徴収して見えにくくしていることも不誠実で嫌らしさを感じる。見えなければ取りやすいとでも考えたのか。野党も「森林のためなら」とほとんど反対しなかった。
もっと真摯に税金と使途に向き合うべきだろう。
※Yahoo!ニュースからの転載


