記事

生涯現役を体現する"カリスマ"の源泉【THE YELLOW MONKEY】

2/2
[画像をブログで見る]

「以前は周囲の意見に耳を傾けずに、バンドとしてどうしたいか? だけを考えていた気がします。現在も最終判断は自分たちですが、いろんな方の意見を聞いて取り入れるようになりましたね。このバンドはスタッフを含め『チーム』なんだという意識が強くなったんです」(ヒーセ)

またヒーセは、「再集結以降の僕らは、今のイエローモンキーはどういうものなのか、を試行錯誤してきた時間だったように思う」とも語る。その結晶が、19年ぶりに完成したオリジナルアルバム『9999』(フォーナイン)に閉じこ
められているのだ。

「アルバムのために制作した楽曲は、基本的に腕一本というか。グルーブだけで聴かせられるような感じになったのかなって。演奏に関しても緊密に音を合わせるより、多少のズレがあっても曲全体の持つ雰囲気を重要視して完成させました」(エマ)

テクノロジーを駆使すれば、音楽はもちろん、見た目などあらゆることを綺麗に"加工"することができる現代。しかし、彼らはその手法を敢えて使わずに、4人のありのままの姿をアルバムにさらけだしている。その潔さからは、年齢や経験を重ねたからこそ生みだせる深みがにじみでているのだ。

「自分たちが自信のあるものを表現して、それに対して時代がついてくるほうがカッコいいというか。現代の感覚と違うかもしれないけど、それをよいと世間に思わせることができたら、勝ちのような気がします」(エマ)

吉井は「活動休止した理由のひとつにテクノロジーに負けたと思う部分もあった」と続ける。

「時代の変化についていきたくないという思いがあったんです。当時はバンドっぽい音をやることが恥ずかしいという風潮があって。でも一度バンドを離れて、それぞれが腕を磨いて再び集まってみたら、テクノロジーに負けないものができたというか。それをうまく活用しつつも、このメンバー、年齢だからこそ出せる音が表現できるようになったのかなって」

ゆえに、見た目を若く取り繕うのはちょっと違うとも言う。

「そこが老いても、中身が綺麗でいればいいんじゃないかなって。ただ、(結成当初から)僕らは見た目も武器のひとつだと思っているので、トレーニングや食事制限は欠かせない。正直かなり大変ですよ(笑)」

[画像をブログで見る]

普遍的にいいと思う音楽を、ただ探し続けるだけ

年齢とともに進化する姿を響かせる反面、19年前と変わらないスリリングなサウンドも感じる今回のアルバム。ブランクをものともせず、世間に一石を投じる音楽を生みだし続けることができる理由はどこにあるのか。

「メンバー内に実際の兄弟がいるせいもあるけど、僕らは『ファミリー』のような関係なんです。ツアー中、散々一緒にいるのに、終演後全員でごはんを食べに行ったり、グループL I NEでやり取りしたり。だから意見の食い違いがあった時は、ちゃんと話し合える。風通しのよさがありながらも、お互いを尊重し合っている。それゆえの結果かもしれません」(ヒーセ)

再集結直後のライヴでは「もう解散しない」発言をしていた彼ら。アルバムを耳にしていると、その言葉が、今後も4人で経験を積み、常に進化しながら、音楽シーンの最前線を走り続けるという「生涯現役宣言」のようにも思えてくるが……。

「ロックってまだ100年も歴史がないものだから、お手本になるものが少ない。だから後の世代の人が僕らの活動を見て、『現役』だったかを判断するんじゃないかな」(ヒーセ)と、その姿勢はあくまでも謙虚で冷静だ。

そんな4人が思い描く、ザ・イエロー・モンキーが目指す未来の人間(バンド)像とは?

「現在ってカッコいい大人を目指す風潮がないというか。大人が若い人に寄り添っている社会だと思う。だから自分たちが、これからのカッコいい大人の手本になってもいいのかなって。そして、パッと聴いた瞬間に存在感を残せるような。自分たちが音を鳴らした時に『イエローモンキーというひとつのジャンルだよね』と言ってもらえるようになるのが理想」(エマ)

「僕らは、世代とか関係なく、誰の心の琴線にも触れるものを追い求めて活動しているんです。このバンドって、そこしかないと思っているんですよ。ロックではあるのかもしれないけれど、その手法をただ使っているだけであって。だから今後も、普遍的にいいと思ってもらえる音楽を探し続けるだけです」(アニー)

最後に吉井は「いい加減僕らのことを認めてほしいんですよ」とジョーク交じりに訴えた。

「例えばビートルズって、けなすような発言をしたら、周囲から怒られるじゃないですか。そういうポジションを狙っていきたいですね(笑)」

ザ・イエロー・モンキー
吉井和哉(1966年生まれ)、廣瀬洋一(’63年生まれ)、菊地英昭(’64年生まれ)、菊地英二(’67年生まれ)からなるロックバンド。4桁の最大数=4人の最大限という意味が込められた、19年ぶりとなるオリジナルアルバム『9999』(ワーナーミュージック)は、再集結後発表されたシングル曲を含む全13曲。同アルバムを携えた全国ツアー「THE YELLOW MONKEY SUPER JAPAN TOUR 2019 -GRATEFUL SPOONFUL-」(15会場27公演)が4月27日よりスタート。


Text=松永尚久 Photograph=柏田テツヲ

あわせて読みたい

「ロック」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    BLOGOSサービス終了のお知らせ

    BLOGOS編集部

    03月31日 16:00

  2. 2

    なぜ日本からは韓国の姿が理解しにくいのか 識者が語る日韓関係の行方

    島村優

    03月31日 15:41

  3. 3

    「いまの正義」だけが語られるネット社会とウェブ言論の未来

    御田寺圭

    03月31日 10:09

  4. 4

    カーオーディオの文化史 〜ドライブミュージックを支えた、技術の結晶たち〜

    速水健朗

    03月30日 16:30

  5. 5

    BLOGOS執筆を通じて垣間見たリーマンショック後10年の企業経営

    大関暁夫

    03月31日 08:27

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。