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深刻化する”自衛官のなり手不足” キーワードはいじめ・パワハラ対策、やりがいの提供?

自衛隊の人員不足の問題が表面化している。状況を改善すべく、防衛省では最前線で活躍する若者たちを紹介するだけでなく、アニメを用いたポスターやCM、芸人が様々な任務に挑戦する動画など、あの手この手でリクルートに力を入れているが、定員の24万7000人に対して、22万6000人と定員割れの状態。中でも有事の際には最前線で働くことになる"士"とよばれる若者たちは必要な人数の7割しかいないという。

女優やモデル、声優を起用し、自衛隊の最新情報や魅力を発信する人気雑誌『MAMOR(マモル)』(扶桑社)の高久裕編集長は「"日本は平和で良いね"と言うが、それが自衛隊の人々の働きの上に成り立っているということを多くの人に理解してほしいなと思う」と話す。

23日放送のAbemaTV『AbemaPrime』では、元陸上自衛官で防衛庁長官・防衛大臣を歴任した中谷元衆議院議員、軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏とともに、自衛隊の現状を議論した。

中谷氏は「自衛隊に入ってこられるのは18歳から26歳くらいまでだが、20年前にはその世代が1600万人いたのが、今は1100万人しかいない。他の国は徴兵制などで18歳から22歳までに1度は軍隊で社会に出るが、日本は志願制。景気がいい時は民間に行く方が多いし、大学進学率も高い。

また、士は任期付きでもあり、資格試験をパスすればどんどん上に上がっていく。そのため、初期の段階である"士"の方が少なくなっている。本当はピラミッド状の構成になっているのが望ましいが、30年前くらい前から日本は逆ピラミッドみたいな状態が続いている。一方、災害や事故、北朝鮮のミサイルや中国の空母への対抗など、仕事は減らない」と話す。

高校卒業後に陸上自衛隊に入隊するも3年後に辞めてしまった上野直人さん(28)は「やりがいを見つけるのが大変で、訓練をしても生かすところがないというところに疑問を感じた」と話す。

東日本大震災の時には救助活動や物資の調達など、被災者支援に尽力する自衛官たちが大勢いた一方、すべての隊員が持ち場を離れるわけにはいかず、上野さんも駐屯地のテレビで仲間の勇姿を見ながら訓練に励んだ。「自分は何やってんだろうなあと感じた」。

また、かっこいいCMと現実とのギャップも感じた。規則違反をした際に書かされたという反省文には、文字がぎっしり。「清掃時間なのに戦闘服にアイロンをかけてしまったということで、"これ1枚、全部埋めてこい!!"って。普通の企業だったらパワハラになると思うけど、自衛隊では上官の命令は絶対だから」。

有事の際には身勝手な行動は許されない自衛隊では、上官の命令や規則を体に覚えこませるため、一般社会とは異なる文化が存在する。しかし入隊してからそのことに気付く若者も多く、時には脱走する人も現れるという。「1年に2、3回くらいあった。街中で見つかるまで探した。いじめに耐え切れなくなって逃げ出して、最終的には自殺した人もいた」。

元航空自衛官の小西誠さんは、15年前から"自衛官人権ホットライン"という相談窓口を開設、現役自衛官やその家族からの相談に乗ってきた。パワハラやいじめなど、これまでに受けた相談の件数は延べ3000件に上る。組織改善、ひいては人員不足解消にもつながればと考え、相談者の個人情報を伏せた上で自衛隊に情報を提供することもあるという。

中谷氏は「自衛隊が何のためにあるのかというと、一つは国を守るため。やはり離島や岬のはずれで24時間監視したり、災害があれば出動できるよう待機したりしているし、いざという時に役に立てるよう、日々トレーニングを重ねている。10人、100人と、チームでやるのが自衛隊。やはり一人っ子などが集団生活すると、最初はかなり精神的に辛いと思う。しかしやっているうちに要領もコツも徐々に覚えてくる。しかし、いじめやパワハラがないようと努めているところだ」と話す。

黒井氏は「やどこの国の軍隊でも厳しい訓練というのはあるが、必要な厳しさがといじめ、パワハラは違う。そういうのは反省して直していく、風通しを良くしていくことは必要だ」と指摘した。

一方、20代で自衛隊を去る人や、50代前半で定年を迎える人のために、セカンドキャリア対策も必要だ。自衛隊では各種運転免許、船舶関係、航空関係、医療関係、またブライダルプランナー、ネイリスト、キャリアカウンセラー、調理師などの資格が取れるようにもしているという。

中谷氏は「1年間で辞めたとしても、その1年間は国家を守るという大事な仕事をしたわけだし、体力、気力もそうだが、判断力、礼儀作法などの能力が上がって、立派にやられていると思う。4年間大学に行くより、自衛隊に4年間いれば様々な資格も取れるし、団体生活にも慣れるので、非常に能力が高いと思う。

警察官とか消防よりも住居や食事の支援のレベルは高いし、安定した社会保障制度もある」とした上で、「アメリカでは軍人のステータスが非常に高く、退役後も公共料金などの面で優遇される」とも話した。

黒井氏は「20年、30年前とはがらりと変わり、自衛隊をリスペクトしようという人の方がメインになってきている。ただ、こういった資格が取れるとか、あるいは生活費がかからないというのは高度成長期のリクルートの言葉で、今の若者はそれだけでは振り向かない。どちらかというとやりがいが大事。これは一人一人の問題になってしまうので、プロモーションをすればいいという簡単なものでもないと思う」と話していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

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