記事

大阪カジノ、部分開業なんて辞めてくれよ

さて、大阪がカジノ事業者からの開発コンセプト案の募集を始めるそうです。以下日経新聞より転載。


大阪府知事、IR「24年度に部分開業も」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44164370U9A420C1AC8Z00/

カジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致を巡り、大阪府・市は24日、事業者からのコンセプト案の募集を25日に始めると発表した。国は今夏にIR整備の基本方針を策定する見通し。国に先行して準備を進めることで事業者の意向などを的確に把握し、秋ごろを予定する公募手続きへの円滑な移行を目指す。

府・市は2025年に大阪で開く国際博覧会(大阪・関西万博)前の開業を目指している。吉村洋文知事は同日の記者会見で「万博前は絶対条件ではない。(IRを)最高レベルにするにはどのくらい時間がかかるか事業者に聞く」として24年度の全面開業にこだわらず、部分開業もあり得るとの考えを示した。


選挙が終わったらさっそく公約破棄と言いますか「万博前は絶対条件ではない」などと観測気球を打ち上げ始めておる状況ですが、「万博までの開業ありきではない」というのは寧ろつい先日の府知事選で争った自民党系候補の小西氏の公約であったハズですが?

【参考】2024年までの大阪IR開業なんて無理
http://blog.livedoor.jp/takashikiso_casino/archives/10016989.html

まあ、私としては維新の方々が早晩公約を翻すであろうことは予想済みだったので全く驚きはないのですが、一方で大阪が新しく示したスケジュールで2025年以降に開業するとなると、そこには新たな実務上の問題が発生することとなります。それが区域整備計画の認定期間に関する問題です。

そもそも我が国のIR整備の認定はたったの10年と、マカオの20年、シンガポールの30年と比べると驚くほど短い期間しか設定されていません。この短い期間で巨大な開発の初期投資を回収するというのは非常に難解な作業であり、投資環境で見ると日本のIR開発は国際的にみてもけして恵まれた環境にありません。詳細は以前、以下の様な文書としてまとめましたのでご参照ください。

【参考】我が国のIR事業の制度的リスク要因とその補完手法に関する考察https://www.sugarsync.com/pf/D2862156_08425846_989185

で、この10年という認定期間ですが、さらに最悪なことは「国交大臣が区域認定をした日から起算して10年」という法律上の設定となっている点。当然ながらIRの開発というのは、国からの区域認定が最初にあって、その後に実際の開発が始まるわけで、区域認定から起算して10年という意味は即ち「開発期間も含めて10年」という意味となります。現在、我が国が期待している規模の施設開発というのは、通常、4年前後は開業までの開発期間が必要となろうという規模ですから、最初に国から認定を受けた期間の中で実質的に施設営業が可能なのは実質6年前後になるのではないかと思われます。

そしてその条件が更に悪くなると想定されるのが、今回論議に挙がっている大阪夢洲におけるIR開発です。大阪夢洲では皆さんもご存じの通り、2025年5月~11月の約半年に亘って大阪万博が開催される予定となっており、夢洲におけるIR開発はこの万博開催用地のすぐお隣となっています。

これは来年開催予定の東京五輪でも同じことなのですが、通常この種の大規模な国際イベント開催にあたっては、イベント開催期間中は元より、原則的にはイベントの半年前ほどからテロ対策の為に近隣地域における大型開発は控えるようにと警察当局から要請が出ます。これは、ビル等の大型開発の資材搬入に紛れて様々な爆発物等が持ち込まれるのを防止するほか、建設中の建物がイベント会場近辺に残存することで警備が手薄になることを防止する為の措置です。

そして、もう一つの大阪にとって厳しいルールが、IR整備法第17条第2項の定める「認定設置運営事業者は、特定複合観光施設のうちカジノ施設の営業を先行して開始してはならない」とする規定。IR整備法は、認定されたIR整備計画の内、一部の開発を先行して開業する「プレオープン」は認めていますが、カジノ施設の営業はその他施設に先行して開始してはならない、即ちすべての開発が終わった一番最後にしかオープンできないという規定です。統合型リゾートというのは、原則的にカジノ施設が収益エンジンとなって、その他施設の運営を財政的に補助するものとなっていますから、もし大阪が2024年に部分開業のような形でIR施設をプレオープンさせたとしても、肝心の収益源となるカジノが開業できないですから、寧ろその後、カジノが営業出来る状況になるまで赤字を垂れ流すだけの施設となるということであります。

要は、大阪万博の近隣用地で開発される大阪のIR整備区域は、大阪万博の開催半年まえ程度から厳戒警備区域となることは想像に難くなく、警備上、その期間中に施設開発を停止せざるを得なく可能性が高い。その期間は万博開始の半年前に、開催期間の半年を合わせて約1年。先述の通り、我が国のIRの整備認定期間は国際的な標準から見ると驚くほど短いわけですが、それが更に1年ほど浪費され、実質的なカジノの営業期間が短くなる。そして、それらは全て事業者側が負うリスクとなり、ひいては開発投資額そのものを低減させてしまうことに繋がるワケです。

背後にそういう事情が見えているからこそ、私は昨日のエントリにて大阪は万博前と万博後の二つに開発計画を分けて、2つの区域認定の取得を目指すべきだと申し上げたわけです。万博を跨いで開発期間を設定する、もっといえば「名目だけ」2024年オープンとしていた先の選挙戦の公約を守るためにカジノ以外施設を先行開業させるのは、既に民間にとって厳しい投資環境となっている日本のIR開発を更に厳しいものにするだけである。私としては絶対に避けるべき計画であると考えているわけです。

【参考】大阪は2つのカジノ導入を目指すべしhttp://blog.livedoor.jp/takashikiso_casino/archives/10032618.html

あわせて読みたい

「カジノ解禁」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    国会前の官僚残業 最悪な展開に

    室橋 祐貴

  2. 2

    小室哲哉 KEIKOに離婚求め調停中

    文春オンライン

  3. 3

    即位の礼知っておきたいポイント

    SmartFLASH

  4. 4

    キムタク新作 視聴率12.4%低調か

    NEWSポストセブン

  5. 5

    世界が評価 雅子さまの国際感覚

    NEWSポストセブン

  6. 6

    N国のツッコミ警戒?いだてん低迷

    渡邉裕二

  7. 7

    教員いじめ 校長は刑事告発せよ

    上田令子(東京都議会議員江戸川区選出)

  8. 8

    ラグビー「にわかファン」が反響

    BLOGOS しらべる部

  9. 9

    賛否呼ぶ献血PR 批判内容に疑問

    AbemaTIMES

  10. 10

    北朝鮮 米韓に新たな解決策要求

    ロイター

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。