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袴田巖さん釈放から5年 再収監阻止へ「恩赦」を出願(小石勝朗)

東京都内での「冤罪犠牲者の会」であいさつする袴田巌さん。(右)。(撮影/小石勝朗)

1966年の「袴田事件」で死刑が確定した元プロボクサー袴田巖さん(83歳)が47年7カ月ぶりに釈放されてから、今年3月27日で丸5年になった。静岡地裁の再審開始決定は昨年6月に東京高裁で取り消されたが、袴田さんは郷里の静岡県浜松市で姉の秀子さん(86歳)と静かな暮らしを続ける。検察が求める釈放の取り消し(再収監)を阻止するため、恩赦による刑の執行免除を出願した。

「50年闘ってダメなら100年頑張るしかない」

釈放5年に合わせて支援団体が3月23日に東京都内で開いた集会で、秀子さんは力を込めた。「目の前にいる巖を大事に、毎日を楽しく生きたい」と語る。

高裁決定後、袴田さんの弁護団が最高裁に特別抗告し、検察は抗告棄却と再収監を求める意見書を提出。双方がDNA鑑定をめぐる書面を出し合っている。3月27日には支援者が最高裁へ3万6055筆の署名とともに早期再審開始の要請書を渡した。しかし最高裁の調査官は弁護団との面会に応じず、審理の動向は見えない。

袴田さんの衰えを待つかのような長期化が懸念されるが、本人は健康で、浜松市内を数時間歩いて「巡回」する日課は変わらない。ここ半年で7回、朝に思い立って秀子さんと上京し神社や皇居を回った。3月2日には冤罪犠牲者の会の結成総会に参加した。ただ、長期の身柄拘束による精神障害が残り、「まともに話ができるのは20?30%」(秀子さん)という。

恩赦は3月20日に袴田さんと秀子さんが静岡地検へ出願した。現在の平穏な生活を背景に、再審請求の審理が長引くことによる「拷問」のような精神的負担を緩和するために、また、再収監という「世界的にも類を見ない人権侵害」を避けるためにも、死刑の執行を免除するよう求めている。

新天皇の即位に伴い今秋に見込まれる恩赦をにらむが、限られた残り時間の中での選択だ。

(小石勝朗・ジャーナリスト、2019年4月12日号)

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