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ボトムアップで改善を 企業主導型保育所の定員割れ

定員割れが起きている企業主導型保育所への助成金に対して会計検査院が改善を求めている。税金の使い方で考えるよりも、ニーズにあっているのかで改善すべきではないか。

■計画もなく定員割れ

会計検査院は2019年4月23日付け「企業主導型保育施設の整備における利用定員の設定等について」を公表し、利用定員は保育需要等を踏まえて適切に設定されているかなどに着眼して検査したところ、内閣総理大臣に対し、会計検査院法第36条の規定により改善の処置を要求したとしている。

企業主導型保育所は、平成28年度に内閣府が開始した制度で、企業が従業員向けに開設する保育施設(複数の企業の協働設置も可能)へ認可保育園と同様に助成金を支出するものだ。

従業員だけでなく、定員の半分以下までは地域枠として一般の人の子どもを保育することも可能とされており、待機児対策としても期待されている。

しかし、住民に最も密接な基礎自治体の許認可が不要で都道府県に届出をすることで開園できてしまう。そのため、迅速に開園できるメリットはあるが、地域の保育ニーズに合致せずに開園できてしまうことや、自治体の保育園の配置計画などとの整合性が取れない課題があった。

極端なケースだと思うが、自治体が待機児対策として保育園を開園しているすぐ隣に企業主導型保育所がいつの間にかできてしまい、両方が定員割れてしてしまうことが可能性としては十分に考えられるのだ。

さらに、会計検査院は、どの程度利用するのかの利用計画が公開されていないことや合理的な理由がなく定員を決めていると指摘しており、実際に抽出して調査したところ、『全体の約4割が定員に対する児童数の割合(充足率)が5割未満だった。検査院は「助成の効果が十分に現れていない」として所管する内閣府に改善を求めた。

同保育所をめぐっては各地で定員割れや休園などの事態が相次いでいる』(日経2019/4/23)との結果となり、助成金が効果的に使われていない実態も明らかになっている。

■武蔵野市では?

企業主導型保育所については、助成を行う公益財団法人とうきょう仕事財団が、定員の状況をインターネットで公表している。

その内容を確認すると、企業枠の定員に対して武蔵野市でも充足していないことが分かる。

▼fujimuraナーサリー
定員 14名
従業員枠定員 7名
従業員枠空き 2名

▼さかいりんごの木保育園
定員 12名
従業員枠定員 6名
従業員枠空き 9名
※2019年4月1日入園児、0歳 2歳児を募集中申し込みは4月30日(火)【必着】

▼ピノキオ幼児舎吉祥寺アネックス
定員 15名
従業員枠定員 8名
従業員枠空き 4名

▼ぴかぴか保育園吉祥寺
定員 12名
従業員枠定員 6名
従業員枠空き 5名

武蔵野市内には企業主導型保育所が7施設あるが(平成30年3月31日現在・企業主導型保育事業ポータルより)、上記以外の状況はネット上では分からない。これは、掲載情報は任意であるためですべてが掲載されないためだ。

■ニーズにあっているか

従業員枠が埋まっていないということは経営的に大丈夫なのかの疑問が出てくる。より利用できる企業を増やすことが求められるが、自宅の近くにないなど課題があって埋まらないのであれば、対応策を考えるべきではないか。50%未満との地域枠の上限をなくすことが検討されていたが実現できていない。上限をあげる、撤廃するなども必要に思えてくる。

大切なのは、定員が埋まっていないから助成金を少なくする、なくすではなく、地域のニーズにあっているかどうかを検証し、必要であれば制度の改善を行い進めること。そのためには最も住民に近い基礎自治体と連携する。そして、その結果として待機児ゼロの実現とともに質を保てるようにしていくことだ。

この制度は、目的は良いとしても国が自治体の頭越しに始めた制度だ。しかも、保育園を所管する厚生労働省ではなく首相直轄と言える内閣府の制度であり、トップダウン型の課題が出てきているとも言える。やはり、住民に近いところから考えていくボトムアップ型にしていくべきとも思えてならない。

【参考】
企業主導型保育事業ポータル「企業主導型保育施設」従業員枠の空き枠情報の募集について((公財)東京しごと財団)
企業主導型保育所で考えたいこと(2017年12月14日)

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