- 2019年04月26日 07:00
【針のむしろのフェイスブック】
世界最大の交流ネットワークを運営するフェイスブックのプライバシー保護をめぐり、捜査や制裁に関する報道が相次いでいます。
[画像をブログで見る]CNNは、New York AG opens investigation into Facebook over email contact collection(ニューヨーク州司法当局、フェイスブックの電子メール収集で捜査)の中で、フェイスブックが最大150万人の利用者の電子メールアドレスを本人が知らない間に収集していたことに対して、ニューヨーク州の司法当局が経緯などについて捜査を開始したと報じています。
2016年以降にフェイスブックに加盟した利用者が対象で、このリストはその後、ターゲット広告の精度を上げるためなどに使われたということです。
これについてニューヨーク州の司法当局は声明を発表し「フェイスブックは消費者の情報に対して配慮が欠ける行為を繰り返し行う一方で、同時にそのデータを用いて利益をあげてきた」と指摘した上で「今こそフェイスブックは消費者の個人情報の取り扱いについて責任を持つべきだ」としているそうです。
SNSなどのジョインする際に電子メールが必要なことはよくあるとしつつ、フェイスブックはさらに電子メールのパスワードを求めたということです。
カナダのGlobalNewsは、カナダのプライバシー保護委員会が25日、フェイスブックがカナダのプライバシー保護法に違反したとして、カナダの連邦裁判所にフェイスブックを提訴すると報じています。
ダニエル・テリアン委員長は記者会見で、「フェイスブックはプライバシーに関する行動を見直すという約束を拒否した。彼らのプライバシーの枠組みは空っぽだ」と述べて、フェイスブックの利用者の個人情報保護の対策が不十分でデータ管理について説明責任が欠如していると批判したということです。
NewYork Timesは、フェイスブックが24日に行った決算発表で、米政府で消費者保護を担当するFTC=連邦取引委員会が進めている調査の結果、30億ドルから50億ドル(約5500億円)の制裁金を科せられる見通しを示したと伝えています。
フェイスブックが利用者の同意なくイギリスのデータ分析会社CambridgeAnalyticaにデータを流出し、それがトランプ陣営に流れたと去年に明らかになって以降、FTCが調査を進めていて、巨大テックに対する過去最大の制裁金になるということです。
また規制緩和を推し進め企業よりの政策をとっているトランプ政権にあって、規制強化につながるとしています。
これまでの最大の制裁金は、グーグルに対してオンライントラッキングのあり方を正直に示していなかったとして2012年に科した2200万ドル(約24億円)。
一方、年間の売り上げが560億ドル(約6兆2000億円)のフェイスブックにとって、50億ドル(約5500億円)の制裁金は痛くないだろうとしています。
一連の調査は終わっていないということですが、米SEC=証券取引委員会が多額の制裁金について投資家に知らせるよう求めることが一般的なため、フェイスブックが決算で制裁金の見通しを示したことはFTCの調査の終了が近いことを示唆したものだと総括しています。