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10連休明け絶好調になる「最高の休み方」

もうすぐ10連休。せっかくの長期休暇、この機会に心も体もリフレッシュしたいもの。脳科学者の茂木健一郎さんと、そとあそび研究家の山本貴義さんが、働く女性にすすめする「最高の休み方」とは? 全3回の短期連載でお届けします。第1回目は大自然でのアクティブレスト(積極的休養)について。

■大自然の中で感じる特別な心地よさ

【茂木】僕は子どものころ、カナダの湖沼群を1週間かけてカヌーで回ったんですが、すばらしく美しい景色の中で水鳥が湖面から飛び立ったシーンを、今も鮮明に覚えています。こうした自然体験は海外では普通ですが、日本ではあまり聞きませんね。文化が成熟しているわりに、アウトドアの面では遅れている気がします。


【山本】僕の場合は昔から自然の中にいるのが好きで、そうした場所に行くとすごく心地よさを感じるんですね。実は僕、年中半袖でいるんですけど、それは肌に風が当たる感覚が心地いいから。一番大きかったのはアメリカ・ワイオミング州のグランドティトン国立公園での体験です。あの大自然の中に立ったとき、ゾワゾワッと鳥肌が立って、あまりの感動に動けなくなっちゃって。現代的な生活の中では感じにくいけれど、自然の中に行けばきっとその感覚が呼び覚まされると思うんです。それにはやはりアウトドアレジャーがぴったりだと思っています。

【茂木】そのスピリチュアルな感じは、海外のアウトドア体験では常に語られるものですね。小説では、レイチェル・カーソンの『センス・オブ・ワンダー』も有名です。日本ではパワースポットと言われる場所がそうですね。僕も、自然の中でしか感じられない精神の高揚って必ずあると思うんですよ。人間は、こうした脳回路をはるか昔から受け継いできているはず。でも、毎日都会で働いていたら、せっかくの回路もうまく働かなくなりますよね。


■羽生善治さんも休日はボーッとしている

【山本】僕も平日は会社や現場を飛び回っていて、週末だけ大分の自宅に帰る生活。平日は絶えずいろんなタスクが差し込まれてきて、目の前のことだけで頭がパンパンになってしまいます。でも、休日に出かけて自然の中に没入すると、全部スッと抜けて脳に空きスペースができるというか、自分の本来のリズムを取り戻せる。本当の休息ってそういうことかなと思うんです。

【茂木】脳科学でも同じことが言われていますよ。脳には「デフォルト・モード・ネットワーク」という神経回路があって、これは何も考えずにボーッとしているときだけ活性化するんです。このとき行われるのが脳のメンテナンス。人はこれによって新しい気づきを得たり、ストレスが解消したり、創造性が高まったりします。棋士の羽生善治さんは、休日には何時間もボーッとするそうですよ。脳のメンテナンスをうまくできているから、対局であれほどの力を発揮できるんですね。羽生さんだってボーッとするんだから、普通の人がボーッとすることに罪悪感を抱く必要はない。堂々とボーッとしてほしいですね(笑)。

【山本】納得です! 頭がパンパンのまま休日を終えてしまったら、仕事で本来の力を発揮できません。きちんと休息して、脳をメンテナンスしないとダメですね。その点、自然の中には「やらなきゃいけない!」というタスクもないのでボーッとせざるを得ない(笑)。周りのことを忘れて、自分の感覚に集中できるのもいいところだと思います。

【茂木】忙しく働いている人ほど、GWのような長期休暇は脳のメンテナンスに使ってほしいですね。特に働く女性は、平日は会社員、妻、母などたくさんの役割をこなしているでしょう。本当の意味で休息するなら、自然の中に没入するとか、普段の役割から解放されて1人の人間に戻る時間が必要ですよ。

【山本】僕がガイドしていたお客さんも30~40代の女性は多かったですね。みな普段は忙しく働いている。会社員だけではなく、気疲れが多い看護師さんや保育士さんも少なくありません。それが自然の中に入るとすごくいい表情になって、思いっきり楽しんで帰っていく。そういう場面を見ると本当に嬉しくなります。

■「感情労働」から解放される時間をつくる

【茂木】昔は労働といえば体力を使うイメージでしたが、今は体より心を使うものが多いですね。最近では、社会学者のA.R.ホックシールドが「感情労働」という言葉を提唱しています。これは、顧客のために自分の感情を作ったり抑えたりしなければならない労働のことで、代表的な職業としてCAが挙げられています。看護師や保育士もまさにそうですよね。日本では、一般企業でも感情労働をしている女性が多いんじゃないかな。


【山本】自分らしい感情を出せる、本来の自分を取り戻せる機会を持ってほしいですね。普段の仕事で体より頭を使っているわけですから、GWには家でゴロゴロして体を休めるのもいいですが、頭を休めてほしい。そのためにも僕は、軽く体を動かしたり自然とふれあったりする「アクティブレスト(積極的休養)」をおすすめしたいです。

【茂木】外に出かけて普段とは違う景色の中でボーッとすれば、脳のメンテナンスにもなるし精神的なリラックス感も得られるはず。特に都会で働いている人は、自然の中に身を置くのが一番の休息になると思います。出かけた先でアクティビティを楽しめればさらに効果的。非日常的な体験と「楽しかった」という思いが、GW明けからの仕事にいい影響をもたらしてくれるんじゃないかな。

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茂木 健一郎(もぎ・けんいちろう)
脳科学者。1962年、東京都生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士課程修了。理学博士。第4回小林秀雄賞受賞の『脳と仮想』(新潮社)、第12回桑原武夫学芸賞受賞の『今、ここからすべての場所へ』(筑摩書房)、『脳を使った休息術』(総合法令出版)など著書多数。

山本 貴義(やまもと・たかよし)
そとあそび研究家。アメリカ・ワイオミング州にあるグランドティトン国立公園の大自然に感銘を受けたことをきっかけに、2004年7月、アウトドアレジャー専門予約サイト「SOTOASOBI(そとあそび)」を創設。現在も、年間100日はアクティビティを取材する日々を送る。

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(脳科学者 茂木 健一郎、そとあそび研究家 山本 貴義 構成=辻村洋子)

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