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「私ってサバサバしてるから」系男女をめぐる諸問題について 「高校出てから一度もスカートはいたことないんですよ」なんて知らねぇよ - 山本 一郎

 本当にサバサバしている人物って、自分から「私ってサバサバしてるから」って言わないと思うんですよね。

 もちろん、意味のうえで「サバサバしている」というのは、割り切っている、引きずらない、さっぱりしているといった性格のことを言いますので、程度問題として、どうでもいいことにはサバサバし、こだわりを捨てきれないところはウザい、面倒くさいのは人として誰でもあることですし、いい歳した男女が繰り出す「そのサバサバアピールは一体なんだ」って毎回思います。いまでは自称サバサバ系男女を総称して「自鯖(じさば)系」とも言うそうですが、それってすでに魚類じゃないですか。

目の前で「私、失敗しないので」と言われると……

 ところが、私の立場柄どうしてもいろんな界隈の人物を見ると、この手の自称サバサバな男女が問題の中心にいることって結構多いように思うのですよ。大手企業での立身出世やバリキャリを目指す業務担当者であれ、ご担当の医局にいるお一人さま&お局さまであれ、介護職を束ねる管理職であれ、なんでこうみんな自分のことをサバサバしていると評価してもらいたいのでしょう。単に人間性としてクズで雑なのを自己弁護しているようにしか見えないのが残念です。

 先日も、その自称サバサバ系女子の部下がなんかやらかして問題になっているときに「私はサバサバしているので大丈夫です」とかいう発言をされたときは、さすがに「おまえ馬鹿なんじゃないの?」と口に出してしまいました。


柴咲コウにはもちろん何の罪もないわけですが…… ©AFLO

 自称サバサバ系の男性も女性も、だいたい決まって好きなのは米倉涼子や柴咲コウのような頑張って何かを切り盛りして決断する女優なんですが、これらの役柄としての女優を自分に投影するのは遠くでやっていただく分にはまったく構わないんですよ。私の知らないところで思う存分サバサバしていていただきたい。

 ただ、目の前で「私、失敗しないので(私の責任ではありません)」と言われると、同席する私もクライアントも怒るに決まってるじゃないですか。そういう大事なところでサバサバしてんじゃねえよ。ひっこめ。金返せ。そのように思うわけであります。

「性格が悪い」という非情な審判が下される

 なんかこうクール信仰と言いますか、ある種の「相手を見下ろしたい」と「面倒くさいことはしたくない」の絶妙なブレンドは、大概において自称サバサバ系人物に対して「性格が悪い」という非情な審判が下されるのが通常ではないかと思います。

 もちろん、頑張っているのは分かりますよ。ただ、男性であれば「俺、クヨクヨしないから」とか、女性なら自分から「女性の中にいるよりオトコの中にいたほうが生きやすい」とか「変な配慮は不要だから」などと言うんですけど、こっちが気を遣うんですよね。彼氏さんが貢いでくれたブランド品のバッグを写メで見せられ、その割に彼氏の稼ぎが悪いし食べ方が汚いという悪口に付き合わされるほうが、結構辛い思いをするんです。愚痴や悪口を言ってる時点で、全然サバサバしていません。

 おそらくは、頻出ワードである「女子とは気が合わない」「オトコと一緒に居るほうが楽」という話も、それだけガサツで他人に気を遣えなければ女性のグループから敬遠される存在にもなろうという予想はつきますし、もうちょっと協調性がないと厳しいんじゃないですかねという感想しか湧きません。「振り向いてくれるいい男がいない」とか「そこらの人では自分とは釣り合わない」とか言われても知らんがな。単にみんなから恋愛対象としてスルーされてるだけなんじゃないかと思います。

どこか遠くで頑張っていてほしい

「俺は週に一度は美容室にいかないと自分が自分でなくなりそうな気がして」やら「私って、高校出てから一度もスカートはいたことないんですよね」やら言われてもお前のライフスタイルに興味ねえよ。

 で、他部署の人も混ざって人事評価をスコア決めする組織でサバサバ系を自称する人々の評価を見ていたら、仕事には熱心だけど協調性ゼロで一緒に働きたくないと直訴する上司、同僚、部下、後輩が続出する始末でありました。

 もちろん、向上心が強かったり、企画提案に熱心だったり、新しい仕事のやり方で上役を巻き込んで大きく動かしたりというエネルギーがある人も中にはいます。そこは買うんですけど、そういう高い自意識の持ち主と一緒にチームを組まされる人たちは悲惨です。身の回りにいると、困るんですよね。頑張ってほしいけど、どこか遠くで頑張っていてほしい。

お前の業務態度を少しは良くしろって話をしてんだろ

 で、上司面談で「もう少しいろんな人の意見も聞いて仕事をしては?」と促されると、答えは「私、サバサバしてるので」。知らねえよ。お前の業務態度を少しは良くしろって話をしてんだろ。

 何よりも、男性から愛され親しまれる女性に対するいじめをしてしまったり、自分に対する叱責をサバサバした性格のせいにしたりするのは良くないと思うのです。そして、サバサバ系を自称する人はどういう理由か判で押したように上記のような同じ態度を取ります。

 おそらくは、そういうサバサバとした態度は気持ちに余裕のある時だけで、緊張した環境になると他人への悪口として噴出したり、同性へのいじめになったり、本当にこの人は大丈夫なのだろうか、と思うことがあります。通しで見ると全然サバサバしてねえじゃん。あまりにも妙な感じなので本人によく話を聞くと、いままでも同じような態度を取り続けたまま成人して働き始めて良い歳になって、それまでの職場はみんなその人に気を遣ってあげてきただけなんだということが分かります。

この手の自鯖系の傾向は

 改善してもらうのはなかなか大変です。いままで周囲の善意に乗って言いたい放題やり、少し注意されると「デキる人物はイビられる」と言い始めるあたりに破壊力の高い地雷臭がするので、せめて少しでも周囲と折り合って仕事や地域や家族に向き合ってほしいと願うほかないんです。とりわけ、女性のサバサバ系は問題行動を注意すると「女性差別だ」と言い始めることがあり、遠回しに「いや、お前の性格が悪いだけだぞ」と言い続けながら改善を促すしか方法がありません。

 この手の自鯖系は「自分より仕事ができる存在でいないでほしい」「自分よりかわいくしないでほしい」という別のトリガーがあるように見えますし、上には仕事のできるアピールをしつつ同僚には仕事を押し付け、部下やかわいい同性をいびる傾向が強くあります。「ズバズバモノを言ってサバサバしている私、カッコいい」と強く思い込んでいるんじゃないかと思うわけですよ。

 本人がそれで良ければそれでいいんですが、同僚がどんどん結婚していき、社内にいるフェミ男子に気を遣われつつもずっと孤立しているサバサバ系の人や、「俺、失敗を引きずらないから」とミスの反省もまともにせず結果として失敗を繰り返してしまう男性を見ていると、ほんとお前らもうちょっとどうにかならないのかと心から思ってしまう毎日であります。

(山本 一郎)

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