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企業倒産で振り返る「平成」30年(前編)~バブル崩壊、金融危機、リーマン・ショックに揺れた日本経済~

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5月1日から新元号「令和」が始まる。これを前に平成の30年間を振り返り、新時代の「令和」を展望した。平成はバブル経済の末期にスタートしたが、10年ごとに「100年に一度の大不況」と「戦後最長の好景気」が交互に訪れた激動の30年間だった。

Ⅰ.平成第1期(1989-1998年):消費税3%導入から金融危機まで

バブル崩壊の引き金「総量規制」の衝撃
 1989(平成1)年4月、消費税3%が導入された。日経平均株価は大納会に最高値の3万8,915円に達し、世の中は空前の「バブル景気」に酔いしれていた。だが、90年3月、旧大蔵省銀行局はバブル経済による異常な地価高騰と土地投機を抑えるため、金融機関に『総量規制』を通達した。

 その内容は 、(1)不動産向け融資の前年比伸び率を総貸出の前年比伸び率以下に抑える、(2)不動産業、建設業、ノンバンクへの融資実態の報告を求め、規制に違反した金融機関には是正を指導するものだった。通達後、金融機関は一気に不動産関連の融資に慎重になり、急速に信用収縮が進んだ。
 通達は91年12月に解除されたが、不動産を中心とする資産デフレを招き、バブル崩壊の引き金となった。

阪神・淡路大震災、消費税5%に
 不動産業倒産は、バブル景気に支えられて89年は年間285件にとどまっていたが、91年は1,156件、92年は1,169件と4倍に急増、「バブル崩壊」を象徴した。
 さらに、95年1月に「阪神・淡路大震災」が発生した。震災関連倒産は兵庫県を中心に3年間で314件にのぼった。この影響もあり地元地銀の兵庫銀行が戦後初めて銀行として経営破綻し、その後の金融危機を予兆した。

 97年4月に消費税が5%に引き上げられた。特別所得減税の打ち切りと医療費の自己負担増を併せて実施し、GDPは97年度にマイナス0.7%、98年度にマイナス1.9%と2年連続で水面下に沈んだ。この施策の失敗は、今も教訓として引きずっている。

住専問題が表面化
 この時期は、住宅ローン専門の住宅金融専門会社(以下、住専)の不良債権問題も大きな社会問題となった。90年3月の総量規制は住専を対象外とした。住専は不動産業向け融資に急傾斜したが、地価下落で回収不能の不良債権が住専全体で約6兆5,000億円に達した。このため95年には住専は8社のうち、7社が行き詰まった。政府は損失の穴埋めに6,850億円を予算から支出した。これが公的資金投入として大きな批判を浴びた。



金融危機、相次ぐ金融機関の破綻
 97年4月、中堅生保の日産生命保険が債務超過に陥り、大蔵省から業務停止命令を受けた。戦後初の保険会社の破綻だった。運用資金を株式に傾斜させ、含み損が膨らんだ。これを皮切りに97年11月に準大手証券の三洋証券が会社更生法を申請、戦後初めての証券会社の倒産となった。その後も北海道拓殖銀行、山一證券、徳陽シティ銀行と、相次いで金融機関が経営破綻した。
 さらに、98年は10月に日本長期信用銀行、12月に日本債券信用銀行と長銀2行が相次いで破綻、金融危機がピークを迎えた。

貸し渋り対策、「特別保証」制度創設
 この金融危機を背景に、バブル崩壊で貸出に担保とした不動産の急激な値下がりで担保物件が不良債権化した。これが銀行の「貸し渋り」、「貸しはがし」として表面化した。
 事態を憂慮した当時の小渕内閣は98年10月から「中小企業等貸し渋り対策大綱」に基づき、「中小企業金融安定化特別保証制度」(以下、特別保証制度)をスタートさせた。

 総額20兆円の信用保証枠を設け、当初は2000年3月末までの期限付きだったが、2001年3月末まで1年間延長し、保証枠を10兆円追加して30兆円とする措置を講じた。特別保証制度は、中小企業の金融機関からの借入れの際、信用保証協会が100%保証するもので、倒産減少に大きな効果を発揮した。98年に年間1万8,988件だった企業倒産は、99年には1万5,352件まで約2割(19.1%)減少した。

 中小企業の資金繰り改善に即効性をみせた特別保証制度の申し込みでは、信用保証協会の審査が必要だったが、保証要件が緩和され、ネガティブリスト項目に該当すること以外は、原則として信用保証の提供が認められ、事実上無審査に近かったとの声も多い。

 だが、「特別保証制度で得た資金で株やゴルフ会員権の購入資金に充てた」、「劣悪な企業にも融資を実行する誘因を銀行に与え、資金配分の効率性を損なう制度だった」など、金融機関の審査能力を阻害し、モラル・ハザードを引き起こしたとの厳しい指摘もあった。

 東京商工リサーチが調べた特別保証制度を利用しながら破綻した企業倒産は、99年が2,036件、2000年3,927件、01年4,771件、02年4,484件、03年2,662件と推移した。
 特別保証制度の効果については、中小企業庁が2002年9月の経済財政諮問会議に提出した資料で、「1万社の倒産、10万人の失業、2兆円の民間企業の損失を回避」させたと評価している。

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