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「政権奪取は共産党との絶縁が不可欠」 ―破防法の調査団体=日本共産党=暴力革命方針堅持― - 屋山太郎

 政界がなぜ一強多弱の状態になったか。安倍首相が任期切れになったあとのポストに誰が座るか。本来なら対立野党の党首が本命になるはずだが、国民はいま、自民党以外の党から首相像は浮かばないだろう。それというのも自民党以外の党を寄せ集めてみても過半数には届かず、神輿に乗せて皆が満足する人物も見当たらない。目下は5つか6つ程度の少人数のグループが乱立したままの状態だ。「あいつと一緒になるなら、オレは出る」と皆が言っている状態だから、野党合併は至難のワザだ。その嫌われ者の正体は日本共産党である。この党を狙い撃ちしたのは偏見ではない。政党原理が民主主義とは違うからだ。昔は陰で出回った文書は宛先に必ず「共産党を除く」と書いてあったものだが今回とは意味が違う。

 ところが現在の状況は共産党に嫌われたら1万票ほど減る危険があり、嫌うどころか頭を下げたいのが本心だろう。

 選挙制度を中選挙区制から小選挙区制に切り替えたのは、どの国の例を見ても、政権交代が必ず実現しているからだ。現に日本も1回実現したが、外交に失敗したうえ、政権運営も誤った。大きな野党を再生し、政権をとるに当たって不可欠なのは「共産党との絶縁」である。そもそも世界の民主主義国では憲法によって共産党を排除している国がある。どこの国も追及すべきは「自由と民主主義」である。ところが共産党の党運営の要はどこの国でも一様に「民主集中制」となっている。党の奥の方で勝手に決めて、決もとらず、参考意見や反対論もなく決定される。党運営の方針の中には「少数の反対があっても賛成で仕切れ」と書いてある。つい最近、全人代(中国人民代表大会)を見たが、政府が作成した活動報告を礼讃して学習する場になっている。

 日本共産党代表の志位和夫氏は委員長に就いて20年近い。誰にいつ選ばれて委員長になったのか。志位氏は「党員を増やせ、しんぶん赤旗を伸ばせ」とひたすら檄を飛ばしているが、党勢は沈みつつある。

 共産党を「政権の枠から外せ」という意味は、共産党の「民主集中制」という独裁手法と、他の与党のやり方とは全く違うからだ。

 2016年3月、衆院の鈴木貴子氏が「日本共産党と『破壊活動防止法』に関する質問主意書」を政府に提出した。これは国会で認められた質問形式の1つだ。政府は「日本共産党は現在においても破壊活動防止法に基づく調査団体である」、いわゆる、敵の出方論に立った「『暴力革命の方針』に変更はないものと認識している」という。

 同党の政党行動の規範は他の党とは根本的に違う。共産党はこの政府見解に異論をつけているがどうしてなのか。政党行動は明るく、明快でなければならない。この欄でしばしば共産党を取り上げると必ず見当違いの反論が来る。そのイチャモン体質を払拭しないと「愛される共産党」にはなれないだろう。

(平成31年4月24日付静岡新聞『論壇』より転載)

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屋山 太郎(ややま たろう)
1932(昭和7)年、福岡県生れ。東北大学文学部仏文科卒業。時事通信社に入社後、政治部記者、ローマ特派員、官邸クラブキャップ、ジュネーブ特派員、解説委員兼編集委員を歴任。1981年より第二次臨時行政調査会(土光臨調)に参画し、国鉄の分割・民営化を推進した。1987年に退社し、現在政治評論家。「教科書改善の会」(改正教育基本法に基づく教科書改善を進める有識者の会)代表世話人。

著書に『安倍外交で日本は強くなる』『安倍晋三興国論』(海竜社)、『私の喧嘩作法』(新潮社)、『官僚亡国論』(新潮社)、『なぜ中韓になめられるのか』(扶桑社)、『立ち直れるか日本の政治』(海竜社)、『JAL再生の嘘』・『日本人としてこれだけは学んでおきたい政治の授業』(PHP研究所)など多数。

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