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橋下徹「これが真相・大阪維新の大勝負」

大阪維新の会が圧勝した大阪ダブル・クロス選挙に続き、4月21日の衆院大阪12区補欠選挙でも維新系の候補が議席を確保した。2015年の大阪都構想住民投票で一敗地にまみれた維新は、いま、なぜ再び旋風を巻き起こしているのか。そこには維新創設者の橋下徹氏が「維新のニューリーダー」と絶賛する吉村洋文大阪府知事の深謀遠慮があった。

橋下氏が一部想像を交えながら内幕を明かす。プレジデント社の公式メールマガジン「橋下徹の『問題解決の授業』」(4月23日配信)から抜粋記事をお届けします――。

(略)

毎月22日の「都構想推進一斉行動デー」


※写真はイメージです。(写真=iStock.com/akinbostanci)

大阪維新の会のニューリーダーである吉村洋文(当時大阪市長)は、直轄の都構想戦略本部チームに徹底的なリサーチと分析を指示した。2017年11月の第1回会合が開かれたときには、すでに次のようなことが話し合われた。

・若者の維新離れ→維新支持層は40、50代が多く、本来のターゲットである若者世代、子育て世代に弱い。
・若い世代が自民党支持に流れているが、自民党支持層の一部は都構想を支持している。ここを切り崩したい。
・70代以降は維新反対・都構想反対で固定化しているため、ひっくり返すのは難しいと思われる。
・世論調査は無党派層向けに行いたい。調査業者も、これまでやってきたところに固定化するのではなく、複数の調査業者の結果を多角的に分析すべき。メディアからも積極的に情報を入手すべき。
・調査の分析を基に効果的に活動するための方針を決定する。

驚くことに、都構想戦略本部はこの時点で大阪維新の会の弱点を把握し、1年半後のダブル・クロス選挙ではその弱点を見事克服している。

(略)

このようなチームを作ったときの最悪な形態は、権限者と責任者がはっきりせず、皆好き勝手に意見を言うだけで議事録一つも作らず、具体的な行動指針が何も決まらないというものであるが、吉村の都構想戦略本部チームはその真逆の最良の形態であった。

(略)

この都構想戦略本部は、月に一度開かれ、吉村も必ず参加した。毎回、非常にレベルの高い議論が熱を帯びて行われ、儀式的な報告会にはならないのが特長だ。毎回、現状分析、課題の洗い出しから、その解決方法までの結論を出して、行動指針としてまとめる。解決方法の結論が出なければ次回会議までに各自が解決方法を考えてくる。

そして都構想戦略本部会議で決まった行動指針は、大阪維新の会の各議員団(府議会議員団、大阪市議会議員団、堺市議会議員団、その他の市町村議会議員団)を通じて、大阪維新の会の全メンバーに伝達され、彼ら彼女らは毎月22日に定められた都構想推進一斉行動デーでその方針を実行する。

(略)

そしてこのような組織活動で重要なことは「チェック」である。ここは組織活動にはやたらと厳しい、選挙対策本部長の今井豊が、メンバーの活動状況に目を光らせている。あまりにもサボりが目に付くようなメンバーには、きっちりと厳しい注意・指導が入る。

このような密度の濃い都構想戦略本部会議は、2017年11月から、公明党との決裂が報じられる直前の2018年12月まで、毎月行われていた。

前代未聞! 「ダブル・クロス選挙」がひらめいた瞬間

2017年4月大阪維新の会と公明党との間で都構想の協議推進に向けての合意文書が交わされ、それからは一定公明党の協力が得られていたが、2017年10月の衆議院議員総選挙が終わると、また公明党が非協力的な態度に変わった。公明党は、とにかく「常勝関西」の衆議院6選挙区を死守することが至上命題であり、そのためなら大阪維新の会とも協力関係を結ぶ。しかしこの衆議院6選挙区を死守できれば、その協力関係に熱が入らなくなるという繰り返しだ。ある意味、非常に分かり易い政党だ。

(略)

そこで松井一郎(当時大阪府知事)ら大阪維新の会の執行部は、当初2018年の秋頃までに住民投票をする予定だったが、さすがにそれは無理だと判断し、それでも遅くても大阪府議会・大阪市議会議員の任期である2019年3月までには住民投票をすべきだと考えていた。しかし公明党は全く応じない。松井たちは公明党と政治折衝を繰り返すも、話がつかず、2018年の年末を迎えてしまうのである。

ここで吉村は、今後、事態がどう動くかの予測に力を入れ、自分たちはどのタイミングで何をしなければならないのかのシミュレーションをし始めた。都構想戦略本部に事態推移を予測して自分に報告するよう指示しながら、松井などの維新の会執行部とも協議を始めた。メディアからも情報を得ながら、吉村が今後の事態推移のパターンを整理していったのである。

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吉村はこれらの要素を基に、いくつものパターンを予測した。いわゆるロジックツリーの作成である。政治の動き方については、政治のプロである松井たちにも意見を聞いた。そうすると、あるポイントが見えてきた。

公明党と合意ができるなら、あとは合意を確かなものにする実務的な作業だけでいい。

しかし決裂するなら、4月の統一地方選挙に向けて、爆発的な民意を湧き起こす必要がある。その沸き上がった民意を引き寄せて府議会・市議会で過半数ないしは圧倒的多数を得て、公明党との次の政治折衝に繋げなければならない。何よりも、次の衆議院議員総選挙のときに常勝関西6選挙区を巡って公明党と政治折衝できる環境を整えておかなければならない。

「俺と松井さんを入れ替えるクロス選挙を統一地方選挙にぶつける。そうすれば通常の出直し選挙と異なり、俺と松井さんの任期は4年間さらに延びる。その間に衆議院議員総選挙が必ずある」

吉村の頭に、知事・市長の任期満了前の同時辞任、立場を入れ替えてのダブル・クロス選挙という前代未聞の戦略・戦術がひらめいた瞬間である。単なる思い付きではなく、事態予測をしっかりした上での判断だった。(敬称略、事実に想像を加えたフィクションです)

(略)

(ここまでリード文を除き約2100字、メールマガジン全文は約1万2000字です)

※本稿は、公式メールマガジン《橋下徹の「問題解決の授業」》vol.149(4月23日配信)を一部抜粋し、加筆修正したものです。もっと読みたい方はメールマガジンで! 今号は《【圧勝・大阪ダブル選(3)】なぜ大阪維新の政治は自公政権にも対抗できるのか? これが強さの源泉「都構想戦略本部」だ》特集です。

(前大阪市長・元大阪府知事 橋下 徹 写真=iStock.com)

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