- 2019年04月24日 08:44
週休3日制って、本当に実現できるんですか? 休息の専門家に聞いたら「1日ごとの行動計画が必須」だとわかった
2/2クライアントもあなたの会社と同じ問題を抱えている

アレックス
(1)〜(3)は社内での取り組みですが、社外に向けて実施すべきことはありますか?

パン
クライアントの期待をマネジメントすることです。

アレックス
週休3日制の導入についてクライアントを説得するのは、少し難しそうですね......。

パン
みなさん、とても心配するんですが、実際にやってみると、それほど大きな問題ではないとわかるものです。
ニーズを把握し、非常事態に備えておけば、クライアントは協力的になってくれるはずです。なぜなら、クライアントも同じ問題を抱えていて、あなたの会社が同じ問題解決をしていると映るからです。

アレックス
たしかに、「社員の幸福度を上げて、効率性と収益性を高めたい」という考えは、クライアント企業も抱いているはずですもんね。

パン
長年のビジネスパートナーであるのなら、クライアントはあなたの会社のカルチャーを理解しています。そして、あなたの会社が実行できるのなら、彼らもたぶん実行できるんです。

アレックス
クライアントの理解を得るためには、まず何から始めたらいいでしょうか?

パン
はじめに、「これは一定期間の実験で、いずれ終わりますよ」と伝えると、相手の理解も得やすいです。
早めにKPIを明確にしておくのも大切ですね。
「キャッシュフローはどうなっている?」「納期は守られている?」の確認も必要です。数字が安定、または伸びているのなら安心です。そうでないなら、もっと難しい決断をしなきゃなりませんが。

アレックス
成果を維持できていることを証明しないといけないんですね。
零細企業の取り組みが、5年後には有名企業に取り入れられているかも

アレックス
こういった実験は、大企業よりも、小さい企業のほうがやりやすいと著書に書かれていますが、なぜですか?

パン
小さい会社の方が、企業文化と業務プロセスの変革を試しやすいからです。
「大企業だからできない」というような障壁があるわけではないと思うのですが、企業文化の変革は、小さい企業から始まって、やがて大きな企業へと浸透していくというパターンが多い。

アレックス
たしかに。

パン
近年、企業がすぐにスケールするという事実があります。
ある土地の零細企業による風変わりな実験が、5年後にはフォーチュン100(*2)企業の間でニューウェーブになっているかもしれない。
(*2)米フォーチュン誌による企業ランキング

パン
オラクルやグーグルだって、週休3日制への移行を阻むものは何もないですよ。とても優秀な企業ですから、すぐにやりこなせるでしょうね。

アレックス
週休3日制をすでに取り入れている大企業はありますか?

パン
日本のZOZOと韓国のWoowa Brothersがあります。
どちらも社員数が約1000人で、どんどん成長していますが、私の知る限り、今のところ週休3日制をやめるつもりはないようです。
週休3日制なら、仕事で燃え尽きなくて済む

アレックス
日本では急速な少子高齢化が進んでいて、深刻な人手不足に直面しています。勤務時間の削減は、経済を停滞させませんか?

パン
もし生産性の維持が目標でしたら、経済は停滞しないでしょう。
長期的には2つの重大なインパクトがあります。
1つは、キャリアの寿命が延びることです。
多くの人は「週5日働くよりも週4日働いて3日休むほうがいい。ストレスが少ないし、体力も奪われない。」「燃え尽きて引退しなくて済みそうだ。自分の好きなことをしてるけれど、これを20年後もしている自分の姿が想像できるよ」と話しています。
大規模な組織にとって、労働力を長く引き止められることは、多大な利益となるでしょう。

アレックス
無理なく仕事を楽しめれば、年をとっても、仕事を続けられるということですね。

パン
もう1つは、勤務時間を短縮すると、会社でのテクノロジーの使い方を考え直すようになることです。
「従業員からどれだけ労働時間を搾取するか」という発想をやめて、「テクノロジーでどれだけ生産性を上げ、いかにして得たものを社員と分け合うか」という発想になります。

アレックス
ふむふむ。

パン
モバイルのテクノロジーは、社員に22時にメールする手段ではなく、社員が邪魔されずに仕事できる環境をつくり、1日の終わりに解放されるための手段だと考えましょう。
報酬に対する考え方を変えたら、週休3日制を取り入れられた

アレックス
日本には、残業代に依存する社員がたくさんいます。勤務時間の削減で、労働者は不利益をこうむることになりませんか?

パン
残業は廃止するか、残業が発生したときのルールを変更すべきです。
給料のかなりの額が残業代として支払われていることや、時給制の働き方は大きな問題です。

アレックス
現状に問題があると。

パン
長年、時間に対する報酬をクライアントに請求してきた法律事務所に話を聞きました。彼らにとって、週休3日制への移行は、想像を絶することです。
なぜなら、彼らには「クライアントに請求可能な時間数を最大化すべし」という考え方が刷り込まれているからです。
でも、時間でなく案件に対する報酬へと徐々に移行し始めたようで、週休3日制を導入する余地も生まれています。

アレックス
報酬が何に対して支払われるかの考え方を変えたのですね。

パン
はい。ですが、時間あたり報酬のうち、どれだけの割合で人材が実際に働いて稼いだものなのかは、よく考える必要があります。

アレックス
みんなが満足できるように週休3日制の実現するには、さまざまな制度や環境を整える必要がありそうですね。働き方を考えるためのヒントをたくさん聞くことができました。ありがとうございました。
翻訳:河崎環/編集:藤村能光、鈴木統子/執筆:Alex Steullet



