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残念な人ほど"私は悪くない"と言い訳する

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人は何のために仕事をするのか。ネットニュース編集者の中川淳一郎氏は「究極的にはカネのためだが、それにしても『怒られたくない』という気持ちの人が多すぎる。そういう人はつまらないアウトプットしかできない」と指摘する──。

■人が仕事をする目的とは?

我々は何のために仕事をしているのだろうか。


※写真はイメージです(写真=iStock.com/SoumenNath)

「自身の成長のため」「社会とのつながりを得るため」「仲間とともに何かをつくり上げる達成感を味わうため」「社会をより良くするため」といった話は、わりと耳にする。ときどき「お客さまの笑顔のため」などと気持ちの悪いことを語る人もいる。

人によりいろいろな理由付けはあるだろうが、私は、基本的にはコレが究極の目的だろうと考えている。

生活を成り立たせるにはカネが必要だから。

「働く」という行為にさまざまな意義を見出し、自分なりに目的を持つことで、より熱心に、より真剣に取り組めるようになるなら、それはそれで結構なことである。だが人は、第一義的にはカネのために働いているのだ。

■人が真面目に仕事に取り組むのは「怒られたくない」から

この「労働の対価としてのカネ」という果実を得るために、もっとも必要なものは何なのだろう。仕事をするうえで、人はなぜ努力をしなくてはならないのか、なぜミスをしてはいけないのか、なぜ理不尽を飲み込まなければならないのか……そういったことを、若き日々に私も考えていたのだが、27歳のころに答えは出た。

人は怒られたくないから仕事をする。

まさにコレである。拙著『夢、死ね! 若者を殺す「自己実現」という嘘』(星海社新書)でも書いたのだが、人々がマジメに仕事に取り組む際の原動力は「成長」でも「社会とのつながり」でも「達成感」でもなければ、「客の笑顔」でもなんでもないことを知った。とにかく、私も含めた凡人はカネのため、そして「怒られたくない」から必死に仕事をするのである。そして「私、ちゃんと仕事してますから」とアピールするのだ。

■クライアントのために粉骨砕身の日々

この真理に気付いたきっかけは、クライアントである米企業・X社の日本上陸のPR活動を手伝ったときに遡る。当時、私は広告代理店の社員で、ミッションは次のようなものだった。

【1】上陸を高らかに発表する記者会見の運営
【2】X社のメディア露出を最大限にするためのメディアへのアプローチ
【3】記者会見後のメディアとの個別インタビューのセッティング
【4】X社のCEOを含めた幹部たちの、訪日中の宿泊先や食事の確保といった下準備

たとえば【4】については「朝食に寿司を食べたい」などと要求されるため、築地市場の有名店「寿司大」へ朝5時に出向き、「おまかせ寿司」を8人前買って宿泊先に届けたりした。とにかく広告代理店というのは、客のためには何でもやるのである。

メインイベントである記者発表会は11月1日だったのだが、私は準備が本格化する10月16日から11月1日までの17日間で、家に帰れたのはわずか4回、総滞在時間は5時間である。X社の本社があるアメリカ・西海岸との時差の関係もあり、昼間は日系クライアントの仕事をし、夜が深まってからX社の仕事をした。

■深夜、クライアントの担当者が電話口で叫んだ

アメリカ現地の始業時刻である午前9時は、日本時間では午前2時である。X社の日本法人の担当者・A氏とは、20時あたりからやり取りが頻発し、書類の修正などを次々と命じられ、X本社の始業時間に間に合わせるべく日英両語での資料作成を求められたりした。

そんななか、午前2時まで数時間というところでA氏から新規書類の依頼が来た。X社幹部が日本滞在中、いかなる動きをするのかを「これからすぐエクセルにまとめてほしい」という依頼である。私は別クライアントの業務にも追われていたので、さすがに「それは難しいです」と返答したところ、彼女は電話越しで狼狽して、こう叫んだ。

「困ります! これを出さないとジェニー(本社の上司)が怒るんです!」

■仕事は「より怒る人」が優先される

このとき、私はすべてを悟った。仕事とは「より怒る人を優先してやるべきものなのだ」と。そしてA氏にとって、上司のジェニーから怒られることは最大級の苦痛であり、自身のポジションを維持するためにもジェニーだけは絶対に怒らせてはならないと考えていたのだろう。

この「ジェニーが怒るんです!」という言葉を聞いた瞬間、私の脳裏には自分のつくる書類を待つ日系企業Bの営業担当の顔が浮かんでいた。「このB社用の書類を今日中に完成させず、『明日送ります』と言っても彼は怒らないだろう。でも、ジェニーは数時間後に書類がないとめちゃくちゃ怒るのだろうな。だったらジェニーのための仕事を優先しよう。Aさんを窮地から救おう」──そう判断した。

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