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なぜ迷走したのか? “日の丸液晶連合”ジャパンディスプレイ、台中3社の傘下へ - 大西 康之

 ジャパンディスプレイ(JDI)が12日、台湾の電子部品メーカー・宸鴻光電科技(TPK)など台中勢3社の傘下に入ることを発表した。12年に官製ファンドの旧産業革新機構(INCJ)が2000億円を出資して発足した“日の丸液晶連合”は平成で幕を閉じ、“中華液晶連合”に生まれ変わることになる。

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 JDIは経産省主導で、日立製作所、東芝、ソニーの中小型液晶パネル事業を統合した国策会社だ。ただ、ソニーのパネル事業の中には過去に買収した三洋電機とエプソンの液晶事業も入っており、この時点でJDIは5社の“寄り合い所帯”だった。単独では競争力を失っていた5社の液晶事業を寄せ集め、そこに税金を投入するという“ゾンビ事業の救済”が、白昼堂々と実行されたわけだ。


経産省 ©文藝春秋

 合併や事業統合の場合、生産拠点を統廃合したり、間接部門を1つにしたりすることで固定費を削って収益率をあげるのが普通だが、JDIの場合、公的資金を注入した“救済”だったため、固定費はほとんど削減されなかった。

 それどころか発足後にはパナソニックの茂原工場を買い取り、そこに約1000億円を投じてスマートフォン向けパネル工場に転換。15年には石川県にスマホ換算で月産700万台分のパネルを生産する大工場を総額1700億円で建設した。“親方日の丸”の気楽さで拡大戦線をひた走ったところを、新興の中国液晶パネルメーカーに足元を掬われる。寄り合い所帯の高コスト体質では勝負にならず、15年3月期から19年3月期(予想)まで5期連続の最終赤字という体たらくだ。

750億円の追加投資もあっという間に消えた

 そのJDIに対してINCJは発足時の2000億円だけでなく、16年から17年にかけても750億円の追加投資を実施している。「次世代パネルの研究開発および設備投資のため」という名目で調達した資金は、あっという間に日々の運転資金に消えた。

 INCJの会長は日産自動車取締役の志賀俊之氏。日産は逮捕されたカルロス・ゴーン前会長を会社経費の不正支出などで告発しているが、ならば経産省の言いなりでINCJがJDIに実施した3000億円近い投資は果たして適正だったのか。官製ファンドのトップとして、志賀氏には納税者に説明する義務がある。

(大西 康之/週刊文春 2019年4月25日号)

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