- 2019年04月23日 09:15
8割以上の日本語学校は"偽装留学生"頼み
2/3■日本語能力試験合格者に「国籍別」がない理由
留学生が日本語レベルを証明する試験には、他にも独立行政法人「日本学生支援機構」(JASSO)が実施する「日本留学試験」などがある。日本語能力試験を受けず、日本留学試験のみの成績で進学する留学生もいる。それでも井上氏の研究は、日本語学校の実態を知るうえで貴重なものである。
日本語能力試験は日本国内のみならず、世界各国で受験できる。N1合格者は国内受験者だけで2012年から4000人以上増え、17年には2万3378人に達した。N2に至っては3万4570人と、5年間で2倍近くになった。
しかし、同試験を統括する独立行政法人「国際交流基金」と公益財団法人「日本国際教育支援協会」は、国籍別の合格者を公表していない。井上氏が集計した文科省の資料も同様、公表しているのは日本語学校別の合格者までで、国籍には触れていない。
国籍別に公表すれば、合格者が中国や韓国など漢字圏の出身者に偏っていることが証明される。そうなれば、ベトナムなどアジア新興国の「留学ブーム」によってやって来た外国人たちが、実際には出稼ぎ労働者に過ぎず、しかも日本語学校の教育が全く機能していないことも明らかになってしまう。
それは日本語学校業界、そして日本語教育を推進する文科省や外務省、また「留学生30万人計画」を主導する安倍政権にとっても都合が悪いのだ。
■かつての留学生が学校経営者に
日本語学校の経営者には、在日中国人や在日韓国人が極めて多い。その背景には、日本語学校業界の歴史が影響している。
日本語学校の設立ブームは、政府が「留学生10万人計画」の達成を目指していた1990年代後半から2000年代前半にかけて一度あった。日本語学校を統括する一般財団法人「日本語教育振興協会」のデータによれば、日本語学校の留学生数は1996年の1万1124人が2003年までに4万2729人と4倍近くになった。同じ時期、日本語学校の数も287校から409校へと増えている。
現在の「留学生30万人計画」と同様、「10万人計画」の最中にも留学ビザの発給基準が大幅に緩んだ。結果、中国を中心に偽装留学生が大量に流入した。そして中国人に続く多さだったのが韓国人留学生だ。この頃、留学生として来日した中国人や韓国人たちに祖国とのコネクションを活かし、日本語学校の経営を始めた者がいる。だから日本語学校には、中国人や韓国人経営の学校が多いのだ。
■2度目のブームで新興国から大量流入
「留学生10万人計画」は2003年に達成された。そして同じ年、日本中を震撼させる事件が起きる。中国人留学生3人による「福岡一家4人惨殺事件」である。日本人の夫婦と子どもの家族4人が殺害され、遺体が博多湾で見つかった痛ましい事件だ。
3人の中国人留学生は皆、日本語学校を入り口に来日していた。そのうち2人は私立大学と専門学校に進んでいたが、いずれも生活費の工面に苦労していた、そこで犯行に及んだのである。この事件もきっかけとなり、留学ビザの発給基準はいったん厳しくなった。
その後、事件のほとぼりが冷めた5年後の08年、福田康夫政権が「留学生30万人計画」を策定した。当時約12万人だった留学生を2020年までに30万人まで増やすという計画だ。そして今度は、中国に代わってベトナムなどアジアの新興国から偽装留学生が流入する。その結果、日本語学校の留学生が急増し、業界は2000年代前後とは比べものにならない“バブル”に沸くことになる。
自らも留学生だった中国人や韓国人、さらにはかつて中国などから偽装留学生を入学させていた日本語学校経営者は、「偽装留学生ビジネス」に精通している。
違和感や罪悪感を抱くこともなく、偽装留学生の受け入れに邁進しがちだ。結果、彼らの経営する学校が規模を拡大し、大きな利益を上げることになる。
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