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池袋暴走事故で考える高齢者の運転、高齢になるほど「運転に自信アリ」のデータも

19日、東京・東池袋で暴走する車に跳ねられ、松永莉子ちゃん(3)と母親の松永真菜さん(31)が死亡し、8人が重軽傷を負った事件。車を運転していたのは、旧通産省 工業技術院の飯塚幸三元院長(87)。飯塚氏はガードパイプに接触した後もハンドル操作をせず、アクセルを踏み続けたまま2カ所の交差点を制限速度を超える猛スピードで走り抜けていたという。

また21日、兵庫・神戸市のJR三ノ宮駅付近で、市営バスが横断歩道に突っ込み歩行者を跳ねる事故が発生。大学3年生の柳井梨緒さん(20)とアルバイトの那須勇成さん(23)が死亡、男女6人が重軽傷を負い、運転していた大野二巳雄容疑者(64)を過失運転致死の疑いで逮捕した。

87歳と64歳という高齢者の運転で起こった事故。「警視庁交通総務課統計」によると、高齢運転者(第1当事者)の交通事故発生件数は減少傾向にあるものの、事故全体に占める高齢運転者の事故割合は増加している。

また、MS&ADインターリスク総研株式会社によれば、運転に自信がある人の割合は、20代から年齢が増すほど低くなる傾向にあるが、65歳を境に再び上昇。80歳以上は72.0%が「自信アリ」と答えている。

こうした傾向について、臨床心理士で明星大学准教授の藤井靖氏は「メタ認知能力」が関わっていると分析する。

「自分のことを客観的にみるメタ認知能力が、だんだん落ちていくんだと思う。一方で、年齢と有能感には相関関係があって、年齢が高くなるほど『自分はなんでもできる』という感覚が増すことも指摘されている。80代となると免許自体持っている人が減り、自分は『運転できる人なんだ』と。実年齢に対し、主観的年齢を子どもの時は高く、年齢を増すほど低くみるともされている」

75歳以上になると、免許更新の際に認知機能検査と高齢者講習が実施される。認知機能検査では、検査時の年月日や曜日、時間を記載する「時間の把握」、4種類のイラストを記憶し思い出す「手がかり再生」、白紙の解答用紙に指定した時計の文字盤を描く「時計描画」などが実施される。

しかし、藤井氏は検査項目が不足しているとの見方を示し、「これらの質問項目は、我々が病院で認知症の疑いがある方に検査をする内容の一部。

脳には遂行機能といって、物事の計画を立てたり順序立てて実行したり、複数のことに注意を払う運転に必要な能力だが、この検査ではその能力が高いのか、以前より落ちたのかはわからない。高齢者講習も基本的には指導で強制力もないので、事故を誘発する背景にはあると思う」と言及。

では、年を重ねて有能感が増した人を家族が説得することは可能なのか。

藤井氏は「関心と納得」がキーワードだとし、「本人が自分の運転能力や年齢に関心を持って、大丈夫かどうかを自己確認する。納得するにもプロセスが必要で、定年退職を控えた時にその前から心の準備をするように、運転がまだ大丈夫な時から自分に関心を持って、これから車なしでどうやって生活するかを判断する時間を持つ。高齢者には高齢者の不満はあると思うので、何歳になったら免許を取り直すなどの国の制度が備わっていくべき」だとした。

(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)

▶︎防犯カメラに猛スピードで通過する車の映像

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