スリランカの同時多発テロを受けて政府はインタネットを規制しましたが、米中でまったく異なるインタネット規制が議論されています。
アメリカでは言論の自由の規制につながりかねない投稿内容のチェックについて。中国は国内データの持ち出しについて。アメリカのテック企業が過度に影響力を持っているのではないかという警戒感が根底にありそうです。
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CNBCはFacebook and other social media sites are shut down after the bombings in Sri Lanka, but some warn that could make problems worse(スリランカの同時多発テロのあとフェイスブックなどSNSが閉鎖されたが、事態悪化の声も)の中で、300人近くが死亡した同時多発テロを受けてスリランカ政府が誤った情報の拡散を防ぐためにSNSを閉鎖したと伝えています。
閉鎖されたのは、フェイスブック、メッセンジャー、ワッツアップ、インスタグラム、ユーチューブ、バイバー、スナップチャットだそうです。
これに対して情報を得る重要なツールがなくなり、2018年3月の緊急事態宣言を出した際に効果がなかったと指摘。VPNと呼ばれる技術を使って迂回する人が相次いだということです。また、情報遮断のあと暴力が増えたという声も紹介しています。
New York TimesはFree Speech Puts US on “a Collision Course” With Global Limits on Big Techの中で、フェイスブックのザッカーバーグCEOが相次ぐ批判を踏まえて自社に対する規制の必要性を訴えたことで、保守層から言論の自由に対する制限を求めていると批判が高まっていると伝えています。
これに対してフェイスブックのロビイスト集団は、規制はあくまでもアメリカ以外のことを指しているとご説明に回っているとしています。
イギリス、ドイツ、オーストラリア、ニュージーランド、インドではテック企業に投稿内容を厳しくチェックするよう求めていますが、言論の自由を重視するアメリカは独自の道を歩んでいるとしています。
1996年に設けられたCommunications Decency Actの230条によりテック企業は投稿内容から免責されているということですが、過度にテック企業を保護するものだという指摘も出ています。
特にニュージーランドの銃乱射事件の映像がフェイスブックにアップされ、会社が気づいて削除するまでに4000回再生されほかのサイトに投稿されるなど企業の対応が不十分だと批判されています。
一方でトランプ大統領を始め保守層は、フェイスブックやグーグルは保守的な投稿に厳しすぎると反発。オンラインの言論の自由に制限を課すとテック企業は過剰反応して投稿削除するだろうと専門家のインタビューで締めくくっています。
FTはTrade war with US delays China’s rules curbing data transfers(米中貿易戦争で中国、データ移管を制限するルールに遅れ)の中で、中国政府が外国企業によるデータの国外持ち出しを制限する措置の発表が先送りされると報じています。
国境をまたぐデータ移管について中国政府は当初、去年の年末までの発表を予定していましたが、「重要なデータ」を中国国内にとどめるようにという曖昧な中国政府の義務化の結果、クラウドの使用方法の再構築を迫られかねないアメリカの金融機関やIT企業の反発が予想されているということです。
2年前に案として公表された際「重要なデータ」とは「経済発展」や「公的利益」に関するものと幅広く定義されていたそうです。中国国内のIT技術やクラウドサービスの利用を求める一環で、中国の免許を持った企業しかクラウドサービスを提供できなくなったためアマゾンは中国企業に国内ビジネスを売却したということです。
記事
- 2019年04月23日 07:02
【インターネット規制】
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