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コメディアンがウクライナ大統領に、日本は連携をと国際政治学者


写真:ロイター/アフロ

4月21日、ウクライナ大統領選の決選投票が行われ、下馬評通り、「ゼー」の愛称で知られるコメディ俳優ゼレンスキー氏(41)が、再選を目指す現職のポロシェンコ大統領(53)に圧倒的な差をつけて勝利した。

選挙中、訴えたのは「人々に笑顔を!皆で幸せを掴もう!」というコメディアンならではの公約。

5年前に当選したポロシェンコ大統領は、国内経済の立て直しに苦戦し、国民の期待に応えることができなかった。しかも、特権階級が国家財産を食い物にし、不動産や有望企業が中国資本に買収されるなど、至るところに汚職が蔓延することに。

そのため、数百万人のウクライナ人が国外に脱出してしまった。その上、ウクライナ東部のクリミアを武力で併合したロシアとの戦争は出口が見えず、戦死者はすでに2万人近くに達した。

国民には不満がたまる一方だった。

そんな折、人気テレビドラマ『国民への奉仕』で、議会に乗り込み、悪徳政治家や彼らを裏で牛耳る利権集団を叩きのめす熱血教師役を演じたのがゼレンスキー氏であった。

視聴者はその都度喝采をあげ、結局、ドラマのなかで大統領に選出され、次々に改革を進めていくことに。多くの国民はこのテレビドラマに酔いしれ、厳しい現実社会への不満のはけ口にしていたようだ。

実は、このドラマを企画し、3年近くも視聴率ナンバーワンに押し上げた「影の演出家」がいる。その人物こそウクライナの財閥の一翼を担い、ポロシェンコ大統領のライバルと目されるコロモイスキー氏である。この人気ドラマを制作・放映したテレビ会社のオーナー社長に他ならない。

今回の大統領選挙期間中も連日、ゼレンスキー氏の登場する過去の番組を放送していた。選挙活動もSNSやメディアを中心に展開。よくある演説集会ではなく、仲間のコメディアン俳優を動員し、各地でショート・コントを演じる作戦だった。

また、テレビドラマの名場面を有効に使ったメッセージ配信で、300万人を超えるフォロアーを獲得。ネットフリックスを通じて、『国民への奉仕』はアメリカでも放映されたため、海外からも注目を集める選挙となった。

日本での関心は低いが、ウクライナの大統領に誰がなるかは、日本の対ロ交渉にも大きく影響する。なぜなら、ロシアとヨーロッパ正面で対立しているのがウクライナであり、アジア正面で向き合っているのが日本だからだ。

日本固有の領土である北方四島に現時点で暮らしている島民の約4割は、スターリン時代にウクライナから強制的に移住させられたウクライナ人の末裔である。

いわば、ロシアの非合法な領土拡張に対して共闘できる立場にあるのが、ウクライナ人と日本人といっても過言ではないだろう。

ゼレンスキー新大統領は「政治経験ゼロ」が売りものだけに、過去のしがらみがない。日本にとっては、ロシアとの領土問題を解決する上でも、ウクライナ新大統領との関係を早急に打ち立てる必要がある。(国際政治経済学者浜田和幸)

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