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古代ローマの無常観-セネカ「生の短さについて」

無常観は日本特有のものですか?」とお便りいただいたので。

日本特有のものではなく、むしろ日本は世界に遅れてたと言えるかも。
たとえば「徒然草」(14世紀)に似た書物が古代ローマ(1世紀)にある。
皇帝ネロの時代に生きたセネカの「生の短さについて」だ。

「誰もが現在あるものに倦怠感を覚えて生を先へ先へと急がせ、未来への憧れにあくせくするのである。だが、時間を残らず自分の用のためにだけ使い、一日一日を、あたかもそれが最後の日ででもあるかのようにして管理する者は、明日を待ち望むこともなく、明日を恐れることもない。」P28

「生きることにとって最大の障害は、明日という時に依存し、今日という時を無にする期待である。」P32

セネカもまた、今この時を生きることの大切さを説いていた。
人生と真に向き合えば、人は必ず「世の無常」を痛感することになり、不確実な未来に人生を託し、現在をなえがしろにしてきたことを嘆くもの。
そして隠遁生活のススメを説くところまで同じなのだ。

「あらゆる世間的な営みから遠く離れて生きる人の生が豊満でないなどということがありえようか。その生は一片たりとも他人に譲渡されることはなく、・・・一片たりとも運命にゆだねられることもなく、・・・一片たりとも余分なものもないのである。その生の全体が、いわば見返りを生む。」P38

無常観は日本特有のものではない。人類共通のものかもしれない。
でも、日本の無常は、その来歴がいささか奇妙なんだ。
他国の歴史では初期の段階で人生と向き合い、「哲学」はじめるのに、日本人が文字を手に入れて以降、真剣に向き合ったものと言えば「恋」。
そして「叶わぬ恋」を通じてようやく「無常観」が立ち上がってくるような?

リンク先を見る 生の短さについて 他2篇
(2010/03/17)
セネカ
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